ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「再稼働させてたまるか」ハンガーストライキ!

2012年05月04日 | 日本とわたし
みんな楽しくHappy♡がいい♪のkiikoさん、いつもありがとう!

以下はOur Planet TVで報道された記事から抜粋しました。

『国内にある商業用原発で、現在、唯一稼働している泊原発3号機が、定期検査入りする5月5日、
国内の、全原発の停止を祝う、カウントダウンイベントやデモが、全国各地で企画されている。
東京霞ヶ関の経済産業省前に、テントを設置し、脱原発を訴えている、いわゆる「経産省前テント」でも、
5月5日に向けて、様々な催しが行われる予定だ。
 
北海道電力の発表によると、泊原発3号機は、5月5日午後5時ごろから低下させ、午後11時ごろに停止させる。
原子炉本体が止まるのは、6日未明。
これにより、国内の全原発が停止する。
国内の原発が、全て停止するのは、日本原子力発電の東海原発と敦賀原発が、同時に定期点検入りした、
1970年4月30日から5月4日以来、42年ぶりとなる。
 
大飯原発の再稼働に反対して、集団でのハンガーストライキが続けられている「経産省前テント」では、
5月5日の全原発停止に向けて、「原発ゼロまであと4日」という、カウントダウンの標識が登場。
全国から、様々な人が、テントを訪れている。
 
2日には、瀬戸内寂聴さん(89歳)や、ノンフィクション作家の澤地久枝さん(81歳)、ルポライターの鎌田慧さん(73歳)がテントを訪れ、ハンストに参加。
医師に内緒で、ハンストを始めたという瀬戸内さんは、戦争中を振り返り、
「当時は、大本営発表を信じていておろかだった。ニュースは真実ではない。疑ってかかりなさい」と忠告した。
 
また、1日の夜からハンストを続ける澤地さんは、若い人に対して、
「自分の明日、好きな人と結婚して子どもが生まれる時に、不安はないのか?まずはそこから考えて欲しい」と訴えた。
ハンスト参加者は、4月17日から、5月2日までで、およそ110人となった。

医者に内緒で、若者に、そしてわたし達に、原発はなくさないといけないという思いを伝えようとしてくれはった瀬戸内寂聴さん(89才)。


90年生きてきて今ほど悪い日本はありません。
このままの日本を若者に渡せない。

90のばあさんがここに座ったら、マスコミに取り上げられ、それを見た若者が張り切って行動してくれると思って。

広島や長崎で、原爆の被害を受けた日本が、唯々諾々と原発を使っているのは恥ずかしい。
原発はなくさないといけない

誰かに任せて、なんで(原発が)無くなるんですか。
自分たちで戦って無くさなきゃいけないんです。
人任せにして、どうして無くなりますか。
自分が動かないとダメですよ。

何を考えているのかと思った。(原発の再稼働について)
これまでにないくらい、日本の状態は悪くなっている。

これまで生きてきて、福島の原発事故のような恐ろしいことは、戦争以外に一度もなかった。
政府は、再稼働をどうして焦るのか。

原発事故は人災であり、同じことを繰り返しては、子どもや若い人たちがかわいそうだ。

あなた達記者も、命をかけて報じなさい。(大手メディアに向けて)


わたしはね、前の戦争を経験しています。
だからその時にはね、もう非常に素直な人間だったからね、
もう、情報を全部信じていたの。
だから「勝った勝った」って言ったら勝ったんだってね、ちょうちん行列したりね、そういう事をしていたんですよ。
だから日本が負けるなんていう事はね、夢にも思わなかったの。
だけども、もう、見事に負けたでしょ?
その時私は北京にいて北京で終戦を迎えましたからね、
もうとても、殺されると思いましたよ、もう自分のことはね。
その時は本当に大本営の発表を信じてたね、自分の愚かさがね、もうつくづく戦後嫌になってね、
それで私はもう、
今までは、人の言う事をよく聞いてきたけれども、
これからはもう、自分でね、こう触ってね、体で感じたね、ものでないと、信じまいと思ったんですよ。
世の中に出ているね、ニュースっていうのはね、決してその真実じゃないと、私は今思っているんですよ。
だからね、「何でも疑ってかかりなさい」っていう事をね、若い人に言いたい。



そして鎌田慧さん(73才) ルポライター



5月5日に、日本の原発が全面停止するという事は、これは、原発反対運動の勝利です。
どうしてかと言いますと、その前に再稼働させようと、政府が悪あがきしてましたけれど、
結局それが出来なかった。
出来なかったのは、世論の力が大きかったからです。
全面停止してみれば、何不自由ない現実が立ち上がったわけで、
それが、1日でも長く続くことは、原発が全く不要であった事がはっきりする訳で、
つまり、原発社会っていうのは、巨大なフィクションであった、というのがよく分かると思います。



そしてもうお一方、澤地久枝さん(81才) ノンフィクション作家


日本国は、全部汚染されている位なんですよ。
だって、海に囲まれて、海のものを食べてる訳でしょ?
だけど、当然、魚はやられています。
で、深いところにいる魚がいますね、そういう魚が、かなり放射能が高いんですね。
いずれ、海も魚も、食べられなくなるような日が来ますよ。
今は、国が押さえているからね、数字をね。
でも、漁業も奪われ、農業も奪われ、子どもたちの健康も保証されない。
それから、大人たちは雇用がないというようなね、どん詰まりの状態でしょ。
今すぐ、生活をすっかり変えることはできないけれども、
よりいい方向へね、
元の生活ができる、それは場所がかわるかもしれないけれど、
おとうさんは両方?をやるし、仕事を与えられ、
そして、親子がそろって日常生活を送れるような方向へ向かうということぐらいしか、
私たちはしてあげられないじゃないですか。
でも、そういう方向も見えませんね。
でもそれは、言わなきゃやらないわ、この国は。
それをやりたい。
それから、こういう運動に、若い人が「なんだろう?」と、
自分の明日、つまり、好きな人がいたら、好きな人と結婚して、子どもが生まれる時に、あなたは不安がないのか?
という事から考えてもらいたい。
そうすると、このままいたら、ひどいことになるという事が、分かると思うのね。
まだ始まったばっかりみたいね、1年も経ったのにね、
でも、私は、若い人たちが目覚めてくれることに、希望を繋いでいます。




昨日と今日に渡って聞いた、四号機についての恐ろしい現実を、結局のところ、無意識にせよ無知にせよ、導いてしもたわたしらの先輩が、
ハンストをしてまで、怠惰で無意思になってしもたマスコミに訴えてる。

そして日本は、ほんまにひどい人間どもとシステム、そして放射能の塊を抱えた建物に、ぐるりと取り囲まれてしもた。

わたしはついこないだ55才になった。
これから命が尽きるその日までの間に、世界がとりあえず、せめて今の状態を保ってくれてるなら、
わたしはこの方々のように、思いをしっかり持ち、それを若い人達に伝えていける健全な心身を保ちたいと、
このお三方のお顔を拝見しながら、言葉を聞きながら、しみじみと思た。

そうせんと死ねん。
かんにんな、こんな世界にしてしもて……などと謝りながら、悔やみながら、死にとうない。
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小出裕章というひと

2012年05月04日 | 日本とわたし
木曜の午後からの生徒さんに、少しずつ早めの時間にずらしてもらい、運良く同じくらいの時間に終わった旦那とふたり、NYC行きの電車に飛び乗る。
こういう時、駅まで徒歩5分、というロケーションは超~助かる。

講演終了の時間が定かではないため、マンハッタンの駅の構内で軽く夕飯を食べることに。
旦那は野菜スープとビール。わたしはレント豆のスープとほうれん草のキッシュ。
旦那のビールをふた口飲んだだけなのに、ちょいとポワンとなる。
地下鉄に乗って、会場の教会に向かう。

教会の周りは長蛇の列。日本人ばっかり。そりゃそうや。今日の講演は日本語のみやもんね。


やっと入り口付近に来た。


チケットというても、わたしは偶然に、4日に行われる予定の記者会見に出席できるかどうかと、主催者の方にメールをしたところ、
記者会見は無理だが、3日の講演会があるので、小出氏の渡航代の寄付をしてくださったらチケットを差し上げます、とおっしゃってくれた。
そういう流れで手に入った席は、前から3列目のど真ん中。ありがたや……。

大判のスクリーン上には、こういう題目が書かれていた。
『日本に帰る前に知っておきたい「放射能」のこと』


なるほど、これは、そういう指向の講演会やったのか。
と思っていると、主催者の川井さんから、
「こんなに大勢の方に来ていただけるとは思っていませんで、会場時間の設定を甘くみておりました。
講演の開始を20分ほど遅らせていただきます」、との挨拶があった。
川井さん、ピンクの宗教者ガウンのようなものを羽織っていらっしゃる。旦那もわたしも、しばしガン見……。


講演に先立ち、イスラム教と仏教の僧侶による祈りと慰霊が行われた。


僧侶の中垣さんは、一昨年の広島の被ばくピアノコンサートin NYCでご一緒した。懐かしい再会!


その間、脇で見守る小出先生。長旅の疲れが心配。


けれども、この凛とした清々しさはなんやろう。


何度も何度も、もう数えきれないくらいに、彼の姿をインターネットの画像で見てきた。
声も、話も、そして最近では、怪人に変した演技も。
同じ内容の話が続き、彼が口癖のように言う『絶望』や『怒り』、そして責任の取り方を繰り返し聞くことに疲れたこともあった。
今回も多分、彼が話す内容は、ほとんど知ってることやろう。そう思ってた。
そして講演は始まった。


印象に残ったものだけを少し。

原子力発電所の数グラフ。アメリカと日本。
アメリカは、とおの昔に原子力発電というものに見切りをつけてて、勢いで作った原子炉のみが残ってた。


そのアメリカから原子炉を押し付けられたか誑かされたか、それとも日本のある人物が欲に目が眩んだか、
アメリカにオンブに抱っこで原発を建ててはまた建てして、深刻な事故が起ころうが地震が起ころうが、なり振り構わず増え続けてる日本。


そして福島の事故が起こり、世界のほとんどが原子力について考えを改めようとしている中、
東芝は、事故を起こした沸騰水型原子炉を作ってるGEにさっさと見切りをつけ、
事もあろうに、三菱が提携してたWHを買収し、三菱を追い出して、加圧水型原子炉でまた一儲けしようとしてる。


追い出された三菱は、新たにフランスのアレバと提携し、欧州加圧水型原子炉に手をつけることになった。


やめられへんのや、この東芝と日立と三菱は……。

教会のドームの中に、小出先生の声が静かに響く。いつもの、文脈最後の、のです、を離して言う癖は同じ。


休憩が15分あった。
その間に、教会に来ている400人あまりの者が、小出先生への質問を用紙に書く。
あれ?
ちょっとこの人……坂本龍一さんちゃうかしらん?


彼は最前列の、わたしの席の真ん前に座っていた。
iPhoneで、講演の様子を録画しながら、時折うなづいたり、じっと小出先生を見つめたりして、とても真剣に話を聞いておられた。
 
小出先生のすぐ後ろの天井。


講演が終わり、質疑応答が終わり、先生にサインや握手を求める長蛇の列ができた。
その長さを見ただけで、こりゃあかんとあきらめがついたので、会場に来ているはずの想田監督と、奥さんでダンサーの規与子さんを探した。

原発のこと、世界のこと、人類のこと、大阪のこと、国民投票のこと、人権運動のこと、話す事は尽きない、尽きるはずがない。
けれども、家に帰らねばならない。旦那も少し離れた所で我慢して待ってくれている。
後ろ髪を一万本ほど引かれながら、皆と別れた。
別れ際に、話の輪に加わってきた男性が、なんと、船橋監督ご本人だと知りびっくり仰天!
彼は『Nuclear Nation』を引っさげて、ベルリン国際映画祭で高い評価を受けた。
絶対に観たいと思っていた映画の監督さんだと知り、急に改まったしゃべり方をしている自分……とほほ。

帰りの地下鉄、平日の夜というのに本数少な過ぎ!
そんなイライラを溶かしてくれる、若者の胡弓の演奏。素晴らしかったので寄付!


やっと来たかと思ったら、新聞回収電車?!売り場のおっちゃん、全速力!


電車駅構内はかなり暑くなってきた。音がやたらとうるさい巨大扇風機。


こういうのをあちらこちらに置いてあるだけの、でもそれが今のような心持ちのわたしには嬉しい、蒸し暑いアメリカの電車駅構内。


講演を聞いて、というより、あの場に他の400人もの方々と共に、小出先生の説明する現実を聞き、気持ちに関わらず受け止めたこと、
受け止める側のわたし達は、みなそれぞれ違う環境で暮らし、違う感性と感覚と常識と主義と嗜好を持っていて、
けれどもあそこで、話を聞きながら笑ったこと、涙ぐんだこと、呆然としたこと、憤ったこと、
いろんな感情を、他の人の息づかいや体温を感じながら持ったこと、
その感情が、これまで一途に、自分が正しいと信じたことを、どんな中傷や迫害や苦境にも曲げずに貫いて生きてきた小出先生のそれと混じり合ったこと、

その体験はやはり、いくらネットでビデオを観ようが、ラジオからの声を聴こうが、絶対に得られないものだった。
彼が何を言ったかしたかではない、今まで彼がどのように生きてきたか。
それがやっと、肌で感じることができたような気がした。

旦那が「小出さんってハンサムやな」と言った。佇まいがすっきりして美しかったと。
わたしは、日本という国に、彼のように、ハンサムな生き様を貫いてきた人がいてくれて、本当に良かったと思う。
彼は常々、原発事故が起こる前に、日本のシステムを変えられなかったことを嘆いておられる。
けれどもわたしは、あの事故以降、生まれて初めて真剣に日本の社会の在り方を考えるようになり、
それで初めて知ったこの小出裕章という人が、こうやって日本のみならず、アメリカまで来て講演をしてくださる健康な心身を維持しておられることの意味を、今夜また、しみじみと考えている。

明日、というか今日、日本の原発が全基停止する。
原発からの電気を使わなくて済む日が始まる。
子ども達の未来のために、この日が永遠に続くよう、大人のわたし達は、気を抜かず、あらゆる手を尽くし、日本に巣食っている愚かなシステムと闘わなければならない。
コメント (20)
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