5月20日に行われた、広瀬 隆さんの講演会に行かれた、ツィッター仲間のkyokoさんから教えていただき、
船橋中央公民会にて行われた講演会の様子を収録したビデオを観ました。
最初の30分間だけですが、大事だと思った部分を書き起しました。
いつものように、とてもわかりやすいお話でした。
今の政府や電力会社が言っていること、それを丸ごとなんの検証も調査もなく、新聞テレビが垂れ流していること、
そして、本当にデタラメだった、電力会社からの数値……。
原発をとにかく手放したくない。手放したら倒産してしまうんだ!という、すでにもう電力会社とは名ばかりの、原発亡者の姿が浮き彫りになりました。
以下、広瀬隆さんの講演の、はじめの約30分間、本題に入る前に、我々一般市民への基本的な教育をされている部分です。
新聞とテレビが「節電だ!節電だ!」と、何を騒いでいるのかさっぱり分からない。
政府が決定した節電の数値目標
北海道 7%
東北 0%
東京 0%
中部 5%
北陸 5%
関西 15%
中国 5%
四国 7%
九州 10%
[注] 数値目標は、2010年(数十年に一回の猛暑だった年)のピーク時の最大使用電力との比較、対象。
期限が原則として7月2日~9月7日、北海道は7月23日~9月14日(9月10日~14日は夜) 時事通信 2012年5月18日
これまでに、関電が公に発表してきた不足%
25% ⇒13.9% ⇒7.6% ⇒16.3% ⇒14.9% ⇒ 5%……これだけコロコロコロコロ変わる不足分を公に発表できる会社を、一体どうやったら信じることができるのか?
5月18日の政府節電要請目標値は、去年の平年並みの夏の最大電力実績ととれほど差があるか?
北海道 17万kW増
東北 0万kW
東京 0万kW
中部 54万kW増
北陸 17万kW増
関西 153万kW減
中国 58万kW増
四国 11万kW増
九州 31万kW増
つまり、他の電力会社には「去年より多く使え」と行っているのに、関西地方のみ、なぜか153万kWも減らす必要があるらしい。
しかもそれが、なぜ節電なのか?
去年の関西地方は、平年並みの気温であったから、その夏より節電しろなどと言うことは、論外である。
関西地方では、企業も個人も、去年と同じように生活していればよい。
まして、猛暑の一昨年を引き合いに出して、昼過ぎからの短いピーク時の電力不足に備えて、なぜ、朝から晩まで節電するのだ。
中小企業が、四苦八苦して節電する必要など、どこにもない。
悪いのは、このような節電が必要であるかのように報道し、政府公報機関に成り下がったデレビと新聞である。
実際に、関西電力管内での2011年夏の最大電力需要は、大阪市で35.6℃となった8月9日午後2時の2784万kWでしかなかった。
それを、3037-2784=253万kWも過大に電力需要を見積もって、消費者に脅しをかけてきたのだ。
大飯原発3.4号機、118万kW×2基=236万kWを超える数字だ。
しかも、電力9社の昨年(2011年)夏の最大電力需要は、全社が過大想定で、実需より平均8.7%も大きかった。
この、実需より多かった過大電力量は、9社総計で、1456万kWにも達した。
→これは、原発14基分だ!!
昨年(2011年)夏8月に運転されていた原発は、全国で13基1132万kWでしかなかった。
つまり、昨年夏には、電力会社の想定より1456万kW-1132万kW=324万kWも余っていた。
去年夏に、原発が必要なかったのだから、今夏が去年並みの気温であれば、やはり原発ゼロでもまったく問題がないことになる。
最大電力予測を変えれば、いくらでも電力不足を演出できる。
去年最大の2784万kWを元にして考えれば良い。
多奈川第二と宮津エネルギー研究所は、どちらも老朽化していない。
動かさないだけだ!!
地元では、「電力不足と言いながら、なぜ動かさないのだ」という不満の声が噴出している。
関電は、「火力を動かせば原発ゼロでも電力が間に合う」という事実を知られないようにするため、
火力の整備を行わないよう、社内に指令を出している。
それはただ、若狭の原発11基の資産がゼロになった経営破綻を、何としても隠そうとする意図から出ている。
原発再稼働の必要論は、電力不足とはまったく関係の無い話である。
再稼働ができずに廃炉になると、資産は半減する。
仮に廃炉にならなくても、数年中に債務超過に追い込まれる。
経営危機が、再稼働の最大の動機なのである。
これは、関電幹部が明言したことであって、推定でもなんでもなく、事実なのである。
関電を例にとってみると。
*固定資産 3兆6280億3600万円
うち純資産 1兆5300億円(東京新聞)
1兆8324億1600万円(関電報告書)
1兆6417億8700万円(関電報告書)
うち
原子力発電整備 3568億8300万円
核燃料 5184億3400万円
原発試算合計 8753億1700万円が消える→資産のおよそ半分が消える
水力発電の場合
渇水を予測して、185万kWに小さく見積もるとしていたが、
3月12日には、この過大な渇水予測をおさえて225万kW、
4月10日には、193万kW、
4月23日には、203万kWに引き下げた。
とてつもなく過大な渇水予測である。
この数字は、実績に基づいて出した、としているが、それは過去に、原発を稼働させて水力発電を休止させた時代の実績であって、水力ダム本来の能力は、はるかに高い。
揚水を小さく見積もる理由は全く無いのに、235万kW⇒270万kW⇒216万kWとしている。
実際は200万kW以上増える。
大企業の独立系発電事業者(IPP)
新日本製鉄、東京ガス、大阪ガス(ガス&パワー)、[草冠に任]原製作所、昭和電工、トーメンパワー、日立造船、新日本石油精製と新日本石油(現・JX日鉱日石エネルギー)、日立製作所、神鋼神戸発電(神戸製鋼所)、出光興産、日本製紙、川崎製鉄(現・JFEスチール)、コスモ石油、宇部興産、住友金属工業、土佐発電(太平洋セメント)、住友大阪セメント、糸魚川発電(日本セメント)、大平洋金属(現・大平洋エネルギーセンター)、住友大阪セメント、ポリプラスチックス、明海発電、九州石油、双日佐和田火力(双日)、ジェネックス(東亜石油)、三菱レイヨン、三菱電機、さらに、住友商事や丸紅の子会社などなど。
例えば、
・神戸製作所の場合、
「昨年は、関電に、140万kWの電力を販売した。
さらに、神戸製鉄所12万kWと、加古川製鉄所45万kW、合計57万kWの能力がある。
関電から依頼があれば供給を検討するが、現時点ではまだ依頼が無い」という状態。
すぐれた独立系発電事業者(IPP)が、なぜわずか3%しか発電実績を持っていないか?
⇒送電線を独占する電力会社が、高額の送電線使用料(託送料)をふっかけて、電力自由化を妨害してきた。
必要なのは、国民と全産業のための、真の電力自由化⇒電力会社が独占する送電事業の分離なのである。
更に、これまでの計算には、民間企業が昨年夏の節電要請に懲りて、自家発電機やバッテリーを購入した分を、全く考慮していない。
今夏は、かなりの企業が、関電から電気を買わずに、自社でまかなう。
そうなれば、最大電力需要は、さらに小さくなる。
例えば、
・建設機械大手のコマツは、節電50%を全社の目標に掲げ、油圧ショベル生産拠点の大阪工場には、3000kWのLNG自家発電機を設置し、2012年7月から稼働する。
・大阪市の大和ハウス工業は、全国の事業所に、リチウム・イオン電池を1000台配備し、うち600台を、関電管内に置き、ピーク時の電力カットを実施する。
・京都市のオムロンは、ピーク時の電力カットシステムを導入し、25%の電力削減を可能にした。
・東レは、関連管内で、自家発電機の設置を進め、昨年夏に、20%の電力削減を達成した。
・武田薬品工業の大阪工場は、50億円を投じて、夏までに自家発電機を設置し、2台の移動電源車も導入。
・新日本製鉄は、真夏ピーク時の操業を夜間に移して、最大電力を抑える。
・ダイエーは、勤務時間を1時間早めたサマータイムを導入する。
・三菱自動車の京都工場は、休止していた自家発電機を復活させる。
・近鉄百貨店は、夏までに、照明の6割をLEDに交換して、電力消費を削減する。
・安川電機は、電力予測システムを全工場に導入して、電力消費削減を促す。
これは、節電ではなく、自家発電用としてエンジン発電機を使う。
いわゆる発電なのである。
経済産業省によると、全国の、この一般用エンジン発電機の生産量は、
去年から昨年の2月までの14ヵ月間の累積で、実に、全国で、803万kW、原発8基分にもなる。
これを、近畿経済産業局によると、近畿地方における一般用エンジン発電機の生産量は、
2012年2月までの14ヵ月間の累積で、実に、233万kW、大飯原発2基と同じ出力だった。
資源エネルギー庁は、被災した東北電力と東京電力管内で、自家発電設備導入促進事業費補助金の応募者を公募している。
東京都も、自家発電機設置の助成金制度を設けている。
全国で、この自家発電機の設置、補助金制度を充実させれば、たちまち日本全土の電力問題は解決するのだ。
福島原発事故で、エネルギー政策の大転換を求められる日本では、自動車のエコカー補助金より先に、この予算を国会で決議するべきである。
国会議員は怠慢すぎる!!
以上から、電源開発の水力+揚水を加え、来年には休止中の火力を稼働させ、自家発電機普及による最大電力需要の低下を加味すると、
デタラメの最大電力予測はどんどん変化していき、電力の余裕はますます増える。
コジェネによって熱を有効利用するガスタービン発電も、普及が本格化しつつある。
必要な電力と、不要な電力を、峻別して考えなければならない。
日本人は、まず無駄な電力消費量を減らすことが第一。
電力不足と騒ぎながら、トンデモナイ計画が次々と打ち上げられている。
電気自動車は、ますます電力消費を加速する。
原発5基分の莫大な電力を消費するリニア中央新幹線も、無駄のかたまりである。
最もひどいのは、オール電化住宅である。
今月7月には、中部電力が新潟県に建設中の、上越火力発電所が運転を開始するので、最新鋭のLNGコンバインドサイクル2基238万kWが加わって、電気が有り余るほどになる。
中部地方の人、企業にとって、浜岡原発の再稼働は、まったく必要が無い。
ただちに廃炉にしても、関電にはいくらでも融通できる。
以上から関電の供給力を総計すると、
3月12日時点のデータでも
①火力 41万kW
②休止火力の稼働 195万kW
③水力 253万kW
④他社受電 148万kW
⑤四国融通 170万kW
⑥中国融通 150万kW
合計 762万kW
中部電力・北陸電力の融通なしでも、不足387万kWを補って余りある過剰な電力になる。
電力会社はなにをするべきか?
電力会社の務めは、「原発の運転」ではない。
一般電気事業者と呼ばれる電力会社は、「電力を安定供給すること」が義務づけられた公益事業者である。
電力を安定供給ができないならば、電気事業者の資格がない。
関電は、原発の再稼働にかける無駄金があるなら、中長期的には、目の前、兵庫県高砂にある、三菱重工業で製造される、世界最高水準の天然ガス・コンバインドサイクル発電機を、急いで設置するよう、発注する必要がある。
そして、関西の企業に対して、電力不足の不安から解放してあげる。
それこそが、電力プロとしての役割である。
現在の関電は、素人の域を出ていない。
この、コンバインドサイクル発電機は今、千葉県と神奈川県の海岸沿いに設置されていて、首都圏の電力を賄ってくれている。
首都圏の人達は、千葉県と神奈川県に感謝しなければいけない。
天然ガスコンバインドサイクルは、環境アセスメントに7年かかるとされてきたが、実際には、政令改正だけで可能である。
政府が故意に、それをサボっていることが問題。
事実、東電には環境アセスメントなしの特例が実施され、フクシマ後の1年間に、合計170万kWもの火力発電所の増設がなされた。
東電以外の電力会社に対しても、環境アセスメントなしに、ガスタービンの設置を認める要請を現在出している。
敷地さえあれば、数ヶ月で設置できるのだ!!
原発は、中地震があるだけで、自動的にスクラム(トリップ)して、運転を停止するようになっている。
したがって、真夏のピーク時に、若狭湾で普通の中地震が起こる事態を考えれば、関西地方が原発に電力を依存する現在の状態は、どれほど電力不足を起しやすいかぐらい、誰もで分かるはずだ。
東日本大震災では、あの地震と津波の一撃で、太平洋岸に設置されていた原発14基が、全基爆発の危機に陥り、すべて運転不能になった。
「電力供給にとって、最も不安な存在が、原子力発電所である」という事実を実証したのが、
昨年の福島第一原発事故による、東日本全体の電力危機だったのである。
このように、大型電源を集中的に配置してきた日本の原発が、一挙にその地方を完全停電に陥れる危険性が実証された。
いま関電が依存しているのは、ごく狭い若狭湾に14基も抱える原発銀座であって、まさに関西経済滅亡の危機の象徴である。
今後は、防災対策上、できるだけ小型の電源を、分散して各地に配置しなければならないことが明らかになった。
コスモ製油所は、震災から10日後の3月21日に完全鎮火し、早くも23日には出荷再開、復旧して、取引先の人が行き交い、活発な企業活動が戻っている。
火力でも、すべての工業プランとには、天災による被害はあり得る。
関東地方では、竜巻による停電も起こったが、原発のように、壊滅的な事態は起こらない。
そのため、全国のエネルギー業界で、分散型火力に対する見直しが始まっている。
知っておかなければならないのは、電力不足が起こり得るのは、真夏の特別な猛暑の日に、午後2~3時頃の、ほんの短い時間帯だけである。
この最大電力需要を、ピーク電力と呼ぶ。
つまり、夏中ずっと電力不足が起こり得るのではなく、夏季の全シーズンを通じて、ほんの数時間だけの電力を「危機」と煽ってきた。
加えて、病院・学校および一定規模のビルにはすべて、落雷、地震、台風、洪水の自然災害などによって、
電力会社からの送電が途絶えた場合でも、停電しないよう、電気設備技術基準、消防法、建築基準法によって、業務遂行に必要な、非常用電源の設置が義務づけられている。
今後も、地震や竜巻、落雷など、不慮の天災が襲った場合に、常に起こり得る出来事であって、格別に、原発ゼロだから、という事態ではない。
一時的な電力不足をおそれて、企業が海外や他の地域に移転する必要などまったく無い。
経団連の主張は、電力システムをまったく知らない、ド素人の笑い話である。
ピーク時に電気を使っているのは、産業と業務の世界であって、家庭ではない。
家庭の人達も、その時間には、その産業と業務の世界に行っているのである。
だから、一般家庭の人達が、心を痛める必要は全く無い。
本質的な問題は、電力会社が原発必要論を主張する目的で、手持ちの火力発電所の整備を怠り、
火力トラブルによる電力不足、電力不安を煽っているところにある。
また、トテツモナイ高額の電気料金を、さらに値上げしようと、天然ガス燃料費の負担を口にし、消費者を脅かしている。
一般企業が果たしている努力を、何もしていない。
今年春からの、関電を中心とした電力不足騒動で、自然エネルギー(再生可能エネルギー)は、まったく電力不足を解決する救世主として、舞台に登場しなかった。
話題にもならなかった。
つまり、自然エネルギーは、原発に代わる日本の電力供給増加に、何の役にも立たないことが実証された。
なので、今とりあえず必要なことは、現存する火力と水力をフルに活用し、法令改正による、天然ガス・コンバインドサイクル発電機の設置を促すこと。
節電も停電も、電力会社の戯言であって、そんなことに振り回される必要はない。
この後、本題の『福島原発事故は収束していない、我々は、生きのびるためにいま、何をなすべきかー』に入ります。
ぜひ、みなさんも、この講演の内容を聞いてください。
この講演を主催されたのは、原発なくせ!ちばアクションの皆さんです。
わたしはこの、たった30分間の話を聞いただけでも、
やはり、送電線分離は、なんとしてでも実現させたいと、さらに強く感じました。
がんばるぞぉ~!
船橋中央公民会にて行われた講演会の様子を収録したビデオを観ました。
最初の30分間だけですが、大事だと思った部分を書き起しました。
いつものように、とてもわかりやすいお話でした。
今の政府や電力会社が言っていること、それを丸ごとなんの検証も調査もなく、新聞テレビが垂れ流していること、
そして、本当にデタラメだった、電力会社からの数値……。
原発をとにかく手放したくない。手放したら倒産してしまうんだ!という、すでにもう電力会社とは名ばかりの、原発亡者の姿が浮き彫りになりました。
以下、広瀬隆さんの講演の、はじめの約30分間、本題に入る前に、我々一般市民への基本的な教育をされている部分です。
新聞とテレビが「節電だ!節電だ!」と、何を騒いでいるのかさっぱり分からない。
政府が決定した節電の数値目標
北海道 7%
東北 0%
東京 0%
中部 5%
北陸 5%
関西 15%
中国 5%
四国 7%
九州 10%
[注] 数値目標は、2010年(数十年に一回の猛暑だった年)のピーク時の最大使用電力との比較、対象。
期限が原則として7月2日~9月7日、北海道は7月23日~9月14日(9月10日~14日は夜) 時事通信 2012年5月18日
これまでに、関電が公に発表してきた不足%
25% ⇒13.9% ⇒7.6% ⇒16.3% ⇒14.9% ⇒ 5%……これだけコロコロコロコロ変わる不足分を公に発表できる会社を、一体どうやったら信じることができるのか?
5月18日の政府節電要請目標値は、去年の平年並みの夏の最大電力実績ととれほど差があるか?
北海道 17万kW増
東北 0万kW
東京 0万kW
中部 54万kW増
北陸 17万kW増
関西 153万kW減
中国 58万kW増
四国 11万kW増
九州 31万kW増
つまり、他の電力会社には「去年より多く使え」と行っているのに、関西地方のみ、なぜか153万kWも減らす必要があるらしい。
しかもそれが、なぜ節電なのか?
去年の関西地方は、平年並みの気温であったから、その夏より節電しろなどと言うことは、論外である。
関西地方では、企業も個人も、去年と同じように生活していればよい。
まして、猛暑の一昨年を引き合いに出して、昼過ぎからの短いピーク時の電力不足に備えて、なぜ、朝から晩まで節電するのだ。
中小企業が、四苦八苦して節電する必要など、どこにもない。
悪いのは、このような節電が必要であるかのように報道し、政府公報機関に成り下がったデレビと新聞である。
実際に、関西電力管内での2011年夏の最大電力需要は、大阪市で35.6℃となった8月9日午後2時の2784万kWでしかなかった。
それを、3037-2784=253万kWも過大に電力需要を見積もって、消費者に脅しをかけてきたのだ。
大飯原発3.4号機、118万kW×2基=236万kWを超える数字だ。
しかも、電力9社の昨年(2011年)夏の最大電力需要は、全社が過大想定で、実需より平均8.7%も大きかった。
この、実需より多かった過大電力量は、9社総計で、1456万kWにも達した。
→これは、原発14基分だ!!
昨年(2011年)夏8月に運転されていた原発は、全国で13基1132万kWでしかなかった。
つまり、昨年夏には、電力会社の想定より1456万kW-1132万kW=324万kWも余っていた。
去年夏に、原発が必要なかったのだから、今夏が去年並みの気温であれば、やはり原発ゼロでもまったく問題がないことになる。
最大電力予測を変えれば、いくらでも電力不足を演出できる。
去年最大の2784万kWを元にして考えれば良い。
多奈川第二と宮津エネルギー研究所は、どちらも老朽化していない。
動かさないだけだ!!
地元では、「電力不足と言いながら、なぜ動かさないのだ」という不満の声が噴出している。
関電は、「火力を動かせば原発ゼロでも電力が間に合う」という事実を知られないようにするため、
火力の整備を行わないよう、社内に指令を出している。
それはただ、若狭の原発11基の資産がゼロになった経営破綻を、何としても隠そうとする意図から出ている。
原発再稼働の必要論は、電力不足とはまったく関係の無い話である。
再稼働ができずに廃炉になると、資産は半減する。
仮に廃炉にならなくても、数年中に債務超過に追い込まれる。
経営危機が、再稼働の最大の動機なのである。
これは、関電幹部が明言したことであって、推定でもなんでもなく、事実なのである。
関電を例にとってみると。
*固定資産 3兆6280億3600万円
うち純資産 1兆5300億円(東京新聞)
1兆8324億1600万円(関電報告書)
1兆6417億8700万円(関電報告書)
うち
原子力発電整備 3568億8300万円
核燃料 5184億3400万円
原発試算合計 8753億1700万円が消える→資産のおよそ半分が消える
水力発電の場合
渇水を予測して、185万kWに小さく見積もるとしていたが、
3月12日には、この過大な渇水予測をおさえて225万kW、
4月10日には、193万kW、
4月23日には、203万kWに引き下げた。
とてつもなく過大な渇水予測である。
この数字は、実績に基づいて出した、としているが、それは過去に、原発を稼働させて水力発電を休止させた時代の実績であって、水力ダム本来の能力は、はるかに高い。
揚水を小さく見積もる理由は全く無いのに、235万kW⇒270万kW⇒216万kWとしている。
実際は200万kW以上増える。
大企業の独立系発電事業者(IPP)
新日本製鉄、東京ガス、大阪ガス(ガス&パワー)、[草冠に任]原製作所、昭和電工、トーメンパワー、日立造船、新日本石油精製と新日本石油(現・JX日鉱日石エネルギー)、日立製作所、神鋼神戸発電(神戸製鋼所)、出光興産、日本製紙、川崎製鉄(現・JFEスチール)、コスモ石油、宇部興産、住友金属工業、土佐発電(太平洋セメント)、住友大阪セメント、糸魚川発電(日本セメント)、大平洋金属(現・大平洋エネルギーセンター)、住友大阪セメント、ポリプラスチックス、明海発電、九州石油、双日佐和田火力(双日)、ジェネックス(東亜石油)、三菱レイヨン、三菱電機、さらに、住友商事や丸紅の子会社などなど。
例えば、
・神戸製作所の場合、
「昨年は、関電に、140万kWの電力を販売した。
さらに、神戸製鉄所12万kWと、加古川製鉄所45万kW、合計57万kWの能力がある。
関電から依頼があれば供給を検討するが、現時点ではまだ依頼が無い」という状態。
すぐれた独立系発電事業者(IPP)が、なぜわずか3%しか発電実績を持っていないか?
⇒送電線を独占する電力会社が、高額の送電線使用料(託送料)をふっかけて、電力自由化を妨害してきた。
必要なのは、国民と全産業のための、真の電力自由化⇒電力会社が独占する送電事業の分離なのである。
更に、これまでの計算には、民間企業が昨年夏の節電要請に懲りて、自家発電機やバッテリーを購入した分を、全く考慮していない。
今夏は、かなりの企業が、関電から電気を買わずに、自社でまかなう。
そうなれば、最大電力需要は、さらに小さくなる。
例えば、
・建設機械大手のコマツは、節電50%を全社の目標に掲げ、油圧ショベル生産拠点の大阪工場には、3000kWのLNG自家発電機を設置し、2012年7月から稼働する。
・大阪市の大和ハウス工業は、全国の事業所に、リチウム・イオン電池を1000台配備し、うち600台を、関電管内に置き、ピーク時の電力カットを実施する。
・京都市のオムロンは、ピーク時の電力カットシステムを導入し、25%の電力削減を可能にした。
・東レは、関連管内で、自家発電機の設置を進め、昨年夏に、20%の電力削減を達成した。
・武田薬品工業の大阪工場は、50億円を投じて、夏までに自家発電機を設置し、2台の移動電源車も導入。
・新日本製鉄は、真夏ピーク時の操業を夜間に移して、最大電力を抑える。
・ダイエーは、勤務時間を1時間早めたサマータイムを導入する。
・三菱自動車の京都工場は、休止していた自家発電機を復活させる。
・近鉄百貨店は、夏までに、照明の6割をLEDに交換して、電力消費を削減する。
・安川電機は、電力予測システムを全工場に導入して、電力消費削減を促す。
これは、節電ではなく、自家発電用としてエンジン発電機を使う。
いわゆる発電なのである。
経済産業省によると、全国の、この一般用エンジン発電機の生産量は、
去年から昨年の2月までの14ヵ月間の累積で、実に、全国で、803万kW、原発8基分にもなる。
これを、近畿経済産業局によると、近畿地方における一般用エンジン発電機の生産量は、
2012年2月までの14ヵ月間の累積で、実に、233万kW、大飯原発2基と同じ出力だった。
資源エネルギー庁は、被災した東北電力と東京電力管内で、自家発電設備導入促進事業費補助金の応募者を公募している。
東京都も、自家発電機設置の助成金制度を設けている。
全国で、この自家発電機の設置、補助金制度を充実させれば、たちまち日本全土の電力問題は解決するのだ。
福島原発事故で、エネルギー政策の大転換を求められる日本では、自動車のエコカー補助金より先に、この予算を国会で決議するべきである。
国会議員は怠慢すぎる!!
以上から、電源開発の水力+揚水を加え、来年には休止中の火力を稼働させ、自家発電機普及による最大電力需要の低下を加味すると、
デタラメの最大電力予測はどんどん変化していき、電力の余裕はますます増える。
コジェネによって熱を有効利用するガスタービン発電も、普及が本格化しつつある。
必要な電力と、不要な電力を、峻別して考えなければならない。
日本人は、まず無駄な電力消費量を減らすことが第一。
電力不足と騒ぎながら、トンデモナイ計画が次々と打ち上げられている。
電気自動車は、ますます電力消費を加速する。
原発5基分の莫大な電力を消費するリニア中央新幹線も、無駄のかたまりである。
最もひどいのは、オール電化住宅である。
今月7月には、中部電力が新潟県に建設中の、上越火力発電所が運転を開始するので、最新鋭のLNGコンバインドサイクル2基238万kWが加わって、電気が有り余るほどになる。
中部地方の人、企業にとって、浜岡原発の再稼働は、まったく必要が無い。
ただちに廃炉にしても、関電にはいくらでも融通できる。
以上から関電の供給力を総計すると、
3月12日時点のデータでも
①火力 41万kW
②休止火力の稼働 195万kW
③水力 253万kW
④他社受電 148万kW
⑤四国融通 170万kW
⑥中国融通 150万kW
合計 762万kW
中部電力・北陸電力の融通なしでも、不足387万kWを補って余りある過剰な電力になる。
電力会社はなにをするべきか?
電力会社の務めは、「原発の運転」ではない。
一般電気事業者と呼ばれる電力会社は、「電力を安定供給すること」が義務づけられた公益事業者である。
電力を安定供給ができないならば、電気事業者の資格がない。
関電は、原発の再稼働にかける無駄金があるなら、中長期的には、目の前、兵庫県高砂にある、三菱重工業で製造される、世界最高水準の天然ガス・コンバインドサイクル発電機を、急いで設置するよう、発注する必要がある。
そして、関西の企業に対して、電力不足の不安から解放してあげる。
それこそが、電力プロとしての役割である。
現在の関電は、素人の域を出ていない。
この、コンバインドサイクル発電機は今、千葉県と神奈川県の海岸沿いに設置されていて、首都圏の電力を賄ってくれている。
首都圏の人達は、千葉県と神奈川県に感謝しなければいけない。
天然ガスコンバインドサイクルは、環境アセスメントに7年かかるとされてきたが、実際には、政令改正だけで可能である。
政府が故意に、それをサボっていることが問題。
事実、東電には環境アセスメントなしの特例が実施され、フクシマ後の1年間に、合計170万kWもの火力発電所の増設がなされた。
東電以外の電力会社に対しても、環境アセスメントなしに、ガスタービンの設置を認める要請を現在出している。
敷地さえあれば、数ヶ月で設置できるのだ!!
原発は、中地震があるだけで、自動的にスクラム(トリップ)して、運転を停止するようになっている。
したがって、真夏のピーク時に、若狭湾で普通の中地震が起こる事態を考えれば、関西地方が原発に電力を依存する現在の状態は、どれほど電力不足を起しやすいかぐらい、誰もで分かるはずだ。
東日本大震災では、あの地震と津波の一撃で、太平洋岸に設置されていた原発14基が、全基爆発の危機に陥り、すべて運転不能になった。
「電力供給にとって、最も不安な存在が、原子力発電所である」という事実を実証したのが、
昨年の福島第一原発事故による、東日本全体の電力危機だったのである。
このように、大型電源を集中的に配置してきた日本の原発が、一挙にその地方を完全停電に陥れる危険性が実証された。
いま関電が依存しているのは、ごく狭い若狭湾に14基も抱える原発銀座であって、まさに関西経済滅亡の危機の象徴である。
今後は、防災対策上、できるだけ小型の電源を、分散して各地に配置しなければならないことが明らかになった。
コスモ製油所は、震災から10日後の3月21日に完全鎮火し、早くも23日には出荷再開、復旧して、取引先の人が行き交い、活発な企業活動が戻っている。
火力でも、すべての工業プランとには、天災による被害はあり得る。
関東地方では、竜巻による停電も起こったが、原発のように、壊滅的な事態は起こらない。
そのため、全国のエネルギー業界で、分散型火力に対する見直しが始まっている。
知っておかなければならないのは、電力不足が起こり得るのは、真夏の特別な猛暑の日に、午後2~3時頃の、ほんの短い時間帯だけである。
この最大電力需要を、ピーク電力と呼ぶ。
つまり、夏中ずっと電力不足が起こり得るのではなく、夏季の全シーズンを通じて、ほんの数時間だけの電力を「危機」と煽ってきた。
加えて、病院・学校および一定規模のビルにはすべて、落雷、地震、台風、洪水の自然災害などによって、
電力会社からの送電が途絶えた場合でも、停電しないよう、電気設備技術基準、消防法、建築基準法によって、業務遂行に必要な、非常用電源の設置が義務づけられている。
今後も、地震や竜巻、落雷など、不慮の天災が襲った場合に、常に起こり得る出来事であって、格別に、原発ゼロだから、という事態ではない。
一時的な電力不足をおそれて、企業が海外や他の地域に移転する必要などまったく無い。
経団連の主張は、電力システムをまったく知らない、ド素人の笑い話である。
ピーク時に電気を使っているのは、産業と業務の世界であって、家庭ではない。
家庭の人達も、その時間には、その産業と業務の世界に行っているのである。
だから、一般家庭の人達が、心を痛める必要は全く無い。
本質的な問題は、電力会社が原発必要論を主張する目的で、手持ちの火力発電所の整備を怠り、
火力トラブルによる電力不足、電力不安を煽っているところにある。
また、トテツモナイ高額の電気料金を、さらに値上げしようと、天然ガス燃料費の負担を口にし、消費者を脅かしている。
一般企業が果たしている努力を、何もしていない。
今年春からの、関電を中心とした電力不足騒動で、自然エネルギー(再生可能エネルギー)は、まったく電力不足を解決する救世主として、舞台に登場しなかった。
話題にもならなかった。
つまり、自然エネルギーは、原発に代わる日本の電力供給増加に、何の役にも立たないことが実証された。
なので、今とりあえず必要なことは、現存する火力と水力をフルに活用し、法令改正による、天然ガス・コンバインドサイクル発電機の設置を促すこと。
節電も停電も、電力会社の戯言であって、そんなことに振り回される必要はない。
この後、本題の『福島原発事故は収束していない、我々は、生きのびるためにいま、何をなすべきかー』に入ります。
ぜひ、みなさんも、この講演の内容を聞いてください。
この講演を主催されたのは、原発なくせ!ちばアクションの皆さんです。
わたしはこの、たった30分間の話を聞いただけでも、
やはり、送電線分離は、なんとしてでも実現させたいと、さらに強く感じました。
がんばるぞぉ~!