がれきの広域処理の問題点が全て見えてくる!
「新潟県知事が環境大臣に宛てた”がれき広域処理”に関する再質問全文」
kiikoさんのブログ『みんな楽しくHappy♡がいい♪』に、素晴らしい記事が載せられていました。
この、新潟県知事・泉田 裕彦氏が、環境大臣・細野豪志氏に宛てた“がれき広域処理”に関する再質問書の内容は、
何度も読み直してもすばらしい。
わたし達市民が学ぶべきこと、知るべきことがすべて書かれてあります。
不勉強なままいい加減な言動を続ける首長に、今一度きちんと学び、考えを改めるか、
さもなければ、そんな無責任な首長は、その座から引きずり降ろすよう、我々が行動することを、教えてくれているように思えます。
環境大臣に対し、東日本大震災により生じた災害廃棄物の、放射能対策、及び広域処理の、必要性に関する再質問を行います。
2012年05月21日
先日、環境大臣から、本県が4月6日に提出した、
「災害廃棄物の広域処理の必要性及び放射能対策に関する質問」に対する文書回答(別紙)があったところですが、
従来の説明の域を超えない内容であり、県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、
災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。
放対第13号廃第377号
平成24年5月21日
環境大臣 細野 豪志 様
新潟県知事 泉田 裕彦
東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問について
平成24年4月6日付け、廃第73号により、提出した質問に対して、
平成24年5月10日付け、環廃対発第120510001号で、回答をいただいたところです。
しかしながら、従来の説明の域を超えない内容であり、
県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、
災害廃棄物の放射能対策、及び、広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。
(担 当)
防災局 放射能対策課
TEL:025-282-1693
県民生活・環境部 廃棄物対策課
TEL:025-280-5159
1 放射性物質に関する国の認識について
原子力発電所等の施設から排出される、低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶等に封じ込め、
放射性廃棄物を処分するために整備した、我が国唯一の最終処分場において処分する、という厳格な対応をとっている。
また、環境中への放射性物質を、やむなく放出する場合においても、厳格な基準を遵守し、
その基準を満たすことを確認するための、排ガス等の、常時監視などの措置をとることとされている。
放射性廃棄物を処分するために整備された、青森県六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにあっては、
埋設を行う放射性物質を、セメント、アスファルト等で固化することなどを規定し、埋立総量も上限を定め、
更に、その周辺の放射線モニタリングを徹底し行うことで、国から事業許可を受け、事業を行っている。
(1)
震災後制定された法令により、放射性廃棄物の処分を想定していない、市町村の廃棄物処理施設で、
放射性廃棄物の焼却や、埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を、常時監視しないなど、
震災以前の規制を緩めたことは、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクを高めることを、許容したということでよいか。
その場合、その考え方は何か。
また、決定に至る議事録等を示されたい。
(2)
ICRPの1990年勧告では、低線量・低線量率の発がん確率について、
「線量反応関係には、真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない」とされているが、
国の放射性廃棄物に関する、規制値の設定の考えは、このICRPの考えを維持しているのか。
また、そうであれば、担保している根拠を示されたい。
一方、維持していないのであれば、その理由を明らかにされたい。
(3)
放射性物質を扱う専門組織、及び、専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることの妥当性を、どう考えているのか。
環境省は、市町村が行う、放射性物質の管理に係る予算措置や、職員の教育訓練を実施しないのか。
また、管理の実効性を確保するために、どのようなことを行うつもりか。
(4)
震災後制定された法令では、
放射性廃棄物を含む焼却灰等を、市町村最終処分場で埋立可能とする濃度8,000Bq/kg以下とし、濃度規制だけをもって、規制しているところであるが、
放射性物質の貯蔵については、その量を、国に許可・届出することが義務づけられていることに対し、
当該処分場に埋立できる放射性物質の総量を、規制しない理由を示されたい。
(5)
福島県内の、災害廃棄物の処分の方針を決定するために、重要な安全評価を行う「災害廃棄物安全評価検討会」を、非公開とすることについて、
環境大臣が、「不安をあおらないやり方」と発言した旨公表されているが、どのような部分が、不安をあおると考えたのか。
2 放射能対策についての技術的問題について
(1)
最終処分場の排出水から、放射性物質が出ることを前提として、ゼオライトで対応することを指示することは、
国が示した処理基準では、完全に放射性物質を封じ込めることができないことを示唆しているのか。
(2)
ゼオライトの設置が、事故の発生を想定したものであれば、法令や基準に、その設置や措置方法を、規定しない理由を示されたい。
(3)
ベントナイトによる、雨水の浸透の防止能力の、科学的検証を示されたい。
(4)
土壌層による、放射性セシウムの吸着能力(量・期間)の、科学的検証を示されたい。
(5)
大雨により、処分場が冠水した場合の、安全性の検証について示されたい。
(6)
浸出水が漏洩した場合、周辺環境への影響の把握など、恒久的な対応方法をどうすべきか、国の考え方を示されたい。
(7)
環境省の資料では、
「排ガスは冷やされて、気体状、あるいは液状のセシウムは、主に塩化セシウムとして固体状になり、
ばいじんに凝集したり吸着する」とあり、
全てのセシウムが、塩化物となることを想定していると考えられる。
市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、
セシウムは、何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。
(8)
震災がれきを焼却している施設では、
国の指導に従って、通常の測定方法(JISZ8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」)により、
検体を採取、測定し、排ガス中の放射性セシウム濃度としているが、
ガス化している放射性セシウムがある場合は、正確な測定でない可能性があるが、
これに対する科学的検証を示されたい。
(9)
静岡県島田市の、災害がれきの試験焼却の結果において、公表されているデータによれば、
焼却から発生する排ガス、ばいじん等の、一連の行程での放射性セシウムの物質収支量を見ると、
4割の放射性セシウムが、所在不明となっているが、その原因と理由を示されたい。
3 放射能対策についての管理面の問題について
(1)
震災以前は、厳格に、国が規制していた放射性廃棄物の処分について、
これまで、放射性廃棄物の処分の経験がなく、また、放射能に関する専門職員、及び組織を持たない市町村に委ねることは、
放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を、市町村に転嫁しているように見えるが、
トラブルが生じた場合、国は、どのような、具体的な責任をとるのか。
(現に、国の基準を満たした焼却灰を埋め立てたにも拘わらず、その排水から、放射性セシウムが、基準を超えた事例が見られている)
(2)
放射性廃棄物の処分のために設置されている、青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、
管理期間を、概ね300年、と見込んでいる。
放射性セシウムの半減期は、30年であるが、
市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や、封じ込めのレベルを、どの程度と見込んでいるのか。
また、市町村最終処分場の埋立期間は、概ね15年とされているが、
その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか
(「廃棄物最終処分場の性能に関する指針(平成12年12月28日付け)(環境省)」
第四1(1)性能に関する事項に、「埋立処分を行う期間内(15年間程度を目安とし……とされている)
(3)
群馬県伊勢崎市の最終処分場や、千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、
国が示した、排水基準の目安を超える、放射性セシウムが検出されるなど、
実際に、放射能の漏洩等、現に、管理できていない事例が見られる。
放射性物質の取り扱いの経験のない、多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、
本来、国で、一元的に管理すべきではないか、根拠を示されたい。
4 「がれき処理の全体計画の明示」について
(1)
5月10日付けの回答では、
「岩手、宮城両県の、災害廃棄物の発生量、処理量等について、見直しを行っているところであり、
広域処理の必要量についても、改めて精査が行われる予定」とのことであるが、
これらが未確定な中では、広域処理の必要性について、明確にならないと考えられるので、
これらを明らかにした上で、改めて、4月6日提出の、質問に回答いただきたい。
また、その際、岩手県、及び宮城県における、可燃物の発生量についても示されたい。
(2)
今回回答いただいた参考資料、及び環境省ホームページ等を基に、推計(別表参照)すると、
平成26年3月末における、地元未焼却量の推計は、98.4万トンとなり、
これは、広域処理を行わなくとも、
平成26年3月末から、岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で、焼却処理が終わる量である。
一方、4月17日付け環境省資料によれば、既に、162万トンの広域処理が、現実的なものとなりつつあるとのことなので、
これ以上の広域処理は、不要ではないか。
(3)
仮設焼却炉を、岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中、又は設置予定であるとのことだが、
これらによって、全ての災害廃棄物を、本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。
(4)
今回回答いただいた参考資料では、
宮城県で、災害廃棄物を処理する焼却炉に、既存の焼却炉がないが、なぜ既存の焼却炉も活用しないのか。
地元で、埋立の反対運動があったことが原因なのか。
(5)
仙台市では、地域内の処理が進み、他地域の災害廃棄物についても、10万トンの処理を引き受ける一方、
来年12月までには、焼却処理を終了するとのことである。
国は、被災地の災害廃棄物処理を、全体的に見通しつつ、
被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ、域内処理できるよう調整すべきと考えるが、
現在、どのような調整を行っているか。
また、そうした調整を行っていない場合は、その理由を示されたい。
(6)
阪神淡路大震災においては、
仮設焼却炉は、発災後約3か月後には設置され始めていたが、
今回、仮設焼却炉の大半の設置が、約1年後以降と、著しく遅れているのはなぜか。
(7)
阪神淡路大震災では、
兵庫県内において、可燃物の23%程度が、埋立処理がされたが、
なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある、東日本大震災の可燃物の、埋立処理を行わないのか。
(8)
このように、広域処理の必要性が明確でない中では、
むしろ、広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
(例)岩手県のホームページによれば
宮古地区広域行政組合の処理単価が、1トン当たり16,300円なのに対し、
財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は、1トン当たり59,000円となっている。
広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。
(9)
なお、環境省は、5月21日に、
岩手県、宮城県の、広域処理必要量の見直し結果を発表しているが、
従来の必要量は、どのように見積もったのか、
また、今回見直しの理由と内容について、改めて明確に回答願いたい。
以上が質問書の内容です。
この質問書をプリントアウトして、瓦礫を受け入れようとしている自治体の議会で、この件についてじっくりと討議して欲しいものです。
おまけ
がれき受け入れ、新潟県の質問が国の矛盾を突く
ゆかしメディア 2012年05月26日10時30分
新潟県はこのたび、東日本大震災で生じたがれき(災害廃棄物)受け入れについて、
環境省の細野豪志大臣あてに再質問を行った。
これは、4月に行った質問に対する回答が、納得いくものではなかったために、再質問。
全体計画、意思決定までの議事公開、放射能対策など多岐にわたり、鋭い指摘とも受け取ることができる。
再質問は合計26個にも渡り、すべて理由はもちろん、
科学的根拠やデータ、さらには、意思決定に至るまでの、議事録を示すことを要求するものまである。
例えば、放射性廃棄物の処分を想定していない、市町村での処分を可能とし、
排ガス、排出水中の、放射性物質濃度を常時監視しないなど、震災以前の規制を緩めたことについて、
その考え方や、決定までの、議事録公開を求めるものがある。
また、先にがれき焼却試験を行った、静岡県島田市に触れ、
4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その原因と理由の公開を求めている。
事後処理において、トラブル発生時に、国がどのように責任を取るのか、具体的に示すよう求めるものまである。
さらには、平成26年3月末の、地元未焼却量の推計は、98.4万トンというデータを示しつつ、
「広域処理を行わなくとも、平成26年3月末から、岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で、焼却処理が終わる量である。
これ以上の広域処理は、不要ではないか」と、がれきの広域受け入れ処理が、不要ではないか、との疑問を投げかけている。
「新潟県知事が環境大臣に宛てた”がれき広域処理”に関する再質問全文」
kiikoさんのブログ『みんな楽しくHappy♡がいい♪』に、素晴らしい記事が載せられていました。
この、新潟県知事・泉田 裕彦氏が、環境大臣・細野豪志氏に宛てた“がれき広域処理”に関する再質問書の内容は、
何度も読み直してもすばらしい。
わたし達市民が学ぶべきこと、知るべきことがすべて書かれてあります。
不勉強なままいい加減な言動を続ける首長に、今一度きちんと学び、考えを改めるか、
さもなければ、そんな無責任な首長は、その座から引きずり降ろすよう、我々が行動することを、教えてくれているように思えます。
環境大臣に対し、東日本大震災により生じた災害廃棄物の、放射能対策、及び広域処理の、必要性に関する再質問を行います。
2012年05月21日
先日、環境大臣から、本県が4月6日に提出した、
「災害廃棄物の広域処理の必要性及び放射能対策に関する質問」に対する文書回答(別紙)があったところですが、
従来の説明の域を超えない内容であり、県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、
災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。
放対第13号廃第377号
平成24年5月21日
環境大臣 細野 豪志 様
新潟県知事 泉田 裕彦
東日本大震災により生じた災害廃棄物の放射能対策及び広域処理の必要性に関する再質問について
平成24年4月6日付け、廃第73号により、提出した質問に対して、
平成24年5月10日付け、環廃対発第120510001号で、回答をいただいたところです。
しかしながら、従来の説明の域を超えない内容であり、
県としては、依然として、受入れを決められる状況に至っていないことから、
災害廃棄物の放射能対策、及び、広域処理の必要性に関して、別紙のとおり再質問します。
(担 当)
防災局 放射能対策課
TEL:025-282-1693
県民生活・環境部 廃棄物対策課
TEL:025-280-5159
1 放射性物質に関する国の認識について
原子力発電所等の施設から排出される、低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶等に封じ込め、
放射性廃棄物を処分するために整備した、我が国唯一の最終処分場において処分する、という厳格な対応をとっている。
また、環境中への放射性物質を、やむなく放出する場合においても、厳格な基準を遵守し、
その基準を満たすことを確認するための、排ガス等の、常時監視などの措置をとることとされている。
放射性廃棄物を処分するために整備された、青森県六カ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにあっては、
埋設を行う放射性物質を、セメント、アスファルト等で固化することなどを規定し、埋立総量も上限を定め、
更に、その周辺の放射線モニタリングを徹底し行うことで、国から事業許可を受け、事業を行っている。
(1)
震災後制定された法令により、放射性廃棄物の処分を想定していない、市町村の廃棄物処理施設で、
放射性廃棄物の焼却や、埋設等の処分を可能とし、排ガス、排出水中の放射性物質濃度を、常時監視しないなど、
震災以前の規制を緩めたことは、環境への放射性廃棄物の漏洩・拡散のリスクを高めることを、許容したということでよいか。
その場合、その考え方は何か。
また、決定に至る議事録等を示されたい。
(2)
ICRPの1990年勧告では、低線量・低線量率の発がん確率について、
「線量反応関係には、真のしきい値を想定しうる十分な証拠はない」とされているが、
国の放射性廃棄物に関する、規制値の設定の考えは、このICRPの考えを維持しているのか。
また、そうであれば、担保している根拠を示されたい。
一方、維持していないのであれば、その理由を明らかにされたい。
(3)
放射性物質を扱う専門組織、及び、専門職員が存在しない市町村に、放射性物質の管理をさせることの妥当性を、どう考えているのか。
環境省は、市町村が行う、放射性物質の管理に係る予算措置や、職員の教育訓練を実施しないのか。
また、管理の実効性を確保するために、どのようなことを行うつもりか。
(4)
震災後制定された法令では、
放射性廃棄物を含む焼却灰等を、市町村最終処分場で埋立可能とする濃度8,000Bq/kg以下とし、濃度規制だけをもって、規制しているところであるが、
放射性物質の貯蔵については、その量を、国に許可・届出することが義務づけられていることに対し、
当該処分場に埋立できる放射性物質の総量を、規制しない理由を示されたい。
(5)
福島県内の、災害廃棄物の処分の方針を決定するために、重要な安全評価を行う「災害廃棄物安全評価検討会」を、非公開とすることについて、
環境大臣が、「不安をあおらないやり方」と発言した旨公表されているが、どのような部分が、不安をあおると考えたのか。
2 放射能対策についての技術的問題について
(1)
最終処分場の排出水から、放射性物質が出ることを前提として、ゼオライトで対応することを指示することは、
国が示した処理基準では、完全に放射性物質を封じ込めることができないことを示唆しているのか。
(2)
ゼオライトの設置が、事故の発生を想定したものであれば、法令や基準に、その設置や措置方法を、規定しない理由を示されたい。
(3)
ベントナイトによる、雨水の浸透の防止能力の、科学的検証を示されたい。
(4)
土壌層による、放射性セシウムの吸着能力(量・期間)の、科学的検証を示されたい。
(5)
大雨により、処分場が冠水した場合の、安全性の検証について示されたい。
(6)
浸出水が漏洩した場合、周辺環境への影響の把握など、恒久的な対応方法をどうすべきか、国の考え方を示されたい。
(7)
環境省の資料では、
「排ガスは冷やされて、気体状、あるいは液状のセシウムは、主に塩化セシウムとして固体状になり、
ばいじんに凝集したり吸着する」とあり、
全てのセシウムが、塩化物となることを想定していると考えられる。
市町村の廃棄物処理施設で焼却した場合、
セシウムは、何%が塩化セシウムになるのか、また、ガス化するセシウムはないのか、科学的検証を示されたい。
(8)
震災がれきを焼却している施設では、
国の指導に従って、通常の測定方法(JISZ8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」)により、
検体を採取、測定し、排ガス中の放射性セシウム濃度としているが、
ガス化している放射性セシウムがある場合は、正確な測定でない可能性があるが、
これに対する科学的検証を示されたい。
(9)
静岡県島田市の、災害がれきの試験焼却の結果において、公表されているデータによれば、
焼却から発生する排ガス、ばいじん等の、一連の行程での放射性セシウムの物質収支量を見ると、
4割の放射性セシウムが、所在不明となっているが、その原因と理由を示されたい。
3 放射能対策についての管理面の問題について
(1)
震災以前は、厳格に、国が規制していた放射性廃棄物の処分について、
これまで、放射性廃棄物の処分の経験がなく、また、放射能に関する専門職員、及び組織を持たない市町村に委ねることは、
放射性物質の漏洩によるリスクを高め、本来国が負うべき責任を、市町村に転嫁しているように見えるが、
トラブルが生じた場合、国は、どのような、具体的な責任をとるのか。
(現に、国の基準を満たした焼却灰を埋め立てたにも拘わらず、その排水から、放射性セシウムが、基準を超えた事例が見られている)
(2)
放射性廃棄物の処分のために設置されている、青森県六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターでは、
管理期間を、概ね300年、と見込んでいる。
放射性セシウムの半減期は、30年であるが、
市町村の一般廃棄物最終処分場で封じ込む期間や、封じ込めのレベルを、どの程度と見込んでいるのか。
また、市町村最終処分場の埋立期間は、概ね15年とされているが、
その期間を超えた後、どのようにして管理するつもりか
(「廃棄物最終処分場の性能に関する指針(平成12年12月28日付け)(環境省)」
第四1(1)性能に関する事項に、「埋立処分を行う期間内(15年間程度を目安とし……とされている)
(3)
群馬県伊勢崎市の最終処分場や、千葉県市原市の廃棄物処理会社の排水から、
国が示した、排水基準の目安を超える、放射性セシウムが検出されるなど、
実際に、放射能の漏洩等、現に、管理できていない事例が見られる。
放射性物質の取り扱いの経験のない、多数の事業主体が、なぜ厳格に管理できると考えているのか、
本来、国で、一元的に管理すべきではないか、根拠を示されたい。
4 「がれき処理の全体計画の明示」について
(1)
5月10日付けの回答では、
「岩手、宮城両県の、災害廃棄物の発生量、処理量等について、見直しを行っているところであり、
広域処理の必要量についても、改めて精査が行われる予定」とのことであるが、
これらが未確定な中では、広域処理の必要性について、明確にならないと考えられるので、
これらを明らかにした上で、改めて、4月6日提出の、質問に回答いただきたい。
また、その際、岩手県、及び宮城県における、可燃物の発生量についても示されたい。
(2)
今回回答いただいた参考資料、及び環境省ホームページ等を基に、推計(別表参照)すると、
平成26年3月末における、地元未焼却量の推計は、98.4万トンとなり、
これは、広域処理を行わなくとも、
平成26年3月末から、岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で、焼却処理が終わる量である。
一方、4月17日付け環境省資料によれば、既に、162万トンの広域処理が、現実的なものとなりつつあるとのことなので、
これ以上の広域処理は、不要ではないか。
(3)
仮設焼却炉を、岩手県で2基、宮城県で29基、合計31基が稼働中、又は設置予定であるとのことだが、
これらによって、全ての災害廃棄物を、本当に域内処理できないのか、改めて明確な根拠を示されたい。
(4)
今回回答いただいた参考資料では、
宮城県で、災害廃棄物を処理する焼却炉に、既存の焼却炉がないが、なぜ既存の焼却炉も活用しないのか。
地元で、埋立の反対運動があったことが原因なのか。
(5)
仙台市では、地域内の処理が進み、他地域の災害廃棄物についても、10万トンの処理を引き受ける一方、
来年12月までには、焼却処理を終了するとのことである。
国は、被災地の災害廃棄物処理を、全体的に見通しつつ、
被災地域間の災害廃棄物処理の進捗の違いを調整して、できるだけ、域内処理できるよう調整すべきと考えるが、
現在、どのような調整を行っているか。
また、そうした調整を行っていない場合は、その理由を示されたい。
(6)
阪神淡路大震災においては、
仮設焼却炉は、発災後約3か月後には設置され始めていたが、
今回、仮設焼却炉の大半の設置が、約1年後以降と、著しく遅れているのはなぜか。
(7)
阪神淡路大震災では、
兵庫県内において、可燃物の23%程度が、埋立処理がされたが、
なぜ、放射性物質の濃縮の危険がある、東日本大震災の可燃物の、埋立処理を行わないのか。
(8)
このように、広域処理の必要性が明確でない中では、
むしろ、広域処理により生じる多額の国家予算を、被災地支援に有効利用すべきではないか。
(例)岩手県のホームページによれば
宮古地区広域行政組合の処理単価が、1トン当たり16,300円なのに対し、
財団法人東京都環境整備公社の広域処理単価(運搬費含む)は、1トン当たり59,000円となっている。
広域処理引受量162万トンで差額を算出すると、約700億円となる。
(9)
なお、環境省は、5月21日に、
岩手県、宮城県の、広域処理必要量の見直し結果を発表しているが、
従来の必要量は、どのように見積もったのか、
また、今回見直しの理由と内容について、改めて明確に回答願いたい。
以上が質問書の内容です。
この質問書をプリントアウトして、瓦礫を受け入れようとしている自治体の議会で、この件についてじっくりと討議して欲しいものです。
おまけ
がれき受け入れ、新潟県の質問が国の矛盾を突く
ゆかしメディア 2012年05月26日10時30分
新潟県はこのたび、東日本大震災で生じたがれき(災害廃棄物)受け入れについて、
環境省の細野豪志大臣あてに再質問を行った。
これは、4月に行った質問に対する回答が、納得いくものではなかったために、再質問。
全体計画、意思決定までの議事公開、放射能対策など多岐にわたり、鋭い指摘とも受け取ることができる。
再質問は合計26個にも渡り、すべて理由はもちろん、
科学的根拠やデータ、さらには、意思決定に至るまでの、議事録を示すことを要求するものまである。
例えば、放射性廃棄物の処分を想定していない、市町村での処分を可能とし、
排ガス、排出水中の、放射性物質濃度を常時監視しないなど、震災以前の規制を緩めたことについて、
その考え方や、決定までの、議事録公開を求めるものがある。
また、先にがれき焼却試験を行った、静岡県島田市に触れ、
4割の放射性セシウムが所在不明となっているが、その原因と理由の公開を求めている。
事後処理において、トラブル発生時に、国がどのように責任を取るのか、具体的に示すよう求めるものまである。
さらには、平成26年3月末の、地元未焼却量の推計は、98.4万トンというデータを示しつつ、
「広域処理を行わなくとも、平成26年3月末から、岩手県では2か月弱、宮城県では7か月弱で、焼却処理が終わる量である。
これ以上の広域処理は、不要ではないか」と、がれきの広域受け入れ処理が、不要ではないか、との疑問を投げかけている。