これは、今から1年前に、市民の市民による市民のためのブログ『JANJAN BLOG』に掲載されていた記事です。
事故の2ヵ月後に書かれたものですが、もうそんな頃から、こういう考えをまとめておられたのですね。
わたしは最近、なんとかして、送電線の分離とスマートグリッドによる電気の自由化を実現できないものかと、
あれこれと調べたり学んだりしています。
送電線分離に関しては、去年の今頃だったかに、広瀬隆さんからの「送電線を開放せよと声をあげよう」というメールをここに載せました。
そこには、
『「電力会社が自家発電をフルに利用すれば電力不足が起こらない」
この事実を国民に知られると、産業界からも、一般消費者からも、「送電線を自家発電の民間企業に解放せよ!」という世論が生まれる。
そして制度が改善されて、誰もが送電線を自由に使えるようになると、地域を独占してきた電力会社の収益源の牙城が崩れる。
送電線の利権だけは、何としても電気事業連合会の総力をあげて、死守する必要がある』
と書かれてありました。
それに加えて、電力会社にとって、今ある原発を動かさないと、とんでもない損失が生まれ、原発を所有していることだけで破綻に追い込まれてしまいます。
どんな会社だって、破綻したい会社なんてありません。
だから、必死で保身に励んでいます。
けれども、つい先日、ブログ友の美代子さんのお家に、東電から『電気料金値上げのお願い』というのが、使用量のお知らせとともに送られてきたそうです。
まだ値上げされていないはずなのに「燃料費調整153円、太陽光促進付課金27円」と明記されてあり、料金はとても高くなっていたそうです。
美代子さんは、「払いたくないから、せめて50アンペア契約を30アンペアに替えようか」と、憤慨されていました。
やっぱりどう考えてもおかしい。
そう思いませんか?
この料金の中に、原発にまつわるすべての費用が、こっそりと、巧妙に、そして大胆に、当たり前のように、ずっとずっと長い間加算されているんですよ。
原発交付金にしても、燃料の買い付けにしても、あちこちに好き放題まかれた根回しのための金も、それから事故の後始末も廃炉も、
日本に暮らしながら、電気を使っている人は全員、この桁違いに高額な費用を分担させられている。
原発には通常、日本プールという数社の損保会社による保険がかけられているけれど、
福一並みの事故を目の当たりにした以上、今までみたいに、安易に、保険を担当したいと思う民間会社は出てこないだろうし、
措置できないような、異常に巨大な天災地変または社会的動乱などによって生じた事故については、国が必要な援助を行う、なんて決められてあっても、
国は、東電が責任を取るべきだとかなんとか言って放ったらかしといて、全国津々浦々放射能拡散キャンペーンに励んでいます。
こんなことが、15ヵ月以上も続いているのです。
4号機の危機的状況は、間に合わせの中途半端な支えだけで満足してる東電の役員のせいで、全く安心できるようなものではなく、
少しでも大きな余震が来るたびに、震え上がらなければならない暮らしが続いています。
使用済み核廃棄物の捨て場所も無いくせに、なにがなんでも再稼働という執念と欲にまみれた輩の動きも、最近活発になってきました。
こんな国に誰がした?
わたしらか?
ならば、わたしらが責任を持ってリセットするしかないのです。
ゲームなら、ボタンひとつで簡単ですが、生の世界ではそうはいきません。
ひとつずつ、こつこつと、けれども時間をかけずに、まずは悪どい法律から無効にしていかなければなりません。
原子力との決別は、原子力天国特有の、原子力を死守するようにできている法律を無効にし、
電気というエネルギーを独占している会社から、送電線を取り返すことから始まります。
署名運動は、どうでしょうか、今まで何度も、かなり規模が大きいものもありましたが、効果を上げたものを見たことがありません。
結果も出ません。
もっと効果的で、結果を出せる方法を、なんとしてでも見つけたいと思うのですが……。
前置きが長くなってしまいました。
それでは、送電分離がなぜ必要なのか、記事をお読みください。
脱原子力と発電・送電分離など
谷口勝洋 2011年 5月 15日
原発事故から、2ヶ月が経過した(2011/5/15現在)。
現状を客観的にみれば、いくつかの事実がわかった。
原発の新規増設は、日本では不可能。
原発のコスト計算の崩壊、安価な電力という根拠の崩壊。
将来の電力計画の崩壊。
そして、東京電力が、自力での原子力賠償が不可能、といった所だろう。
脱原発に動き出さねばならぬ状況が、既に現出しているのであって、
原発に変わるエネルギー源を、どうするかの議論に推移していくのだろうと思う。
そこで、いくつか主観的ながら、その手法を考えてみた。
◆原子力国有化 発電・送電分離 スマートグリッド化◆
まず、原子力発電所は、『民間企業』に任せるには、事故発生時のリスク処理に、問題がある事が分かった。
東京電力は、業界最大の企業である。
その東京電力でさえ、リスクヘッジや単独賠償が出来ぬのに、他の電力会社が対応できうるはずは無い。
又、民間企業であるが故に、事故によって、会社が一瞬にして潰れる様な施設を保持する事は、株主にとってもメリットが薄い。
故に、原子力施設は、国家管理、あるいは国有化・公社化するのが筋であろう。
原発は、国策として推進されてきたが、これからは、国策として、『廃炉』と『代替エネルギー』を考えねばならない。
そもそも、日本の原子力施設は、40年償却で考えれば古いモノが多く、
使用済み核燃料の最終処理施設が無い状況で、施設を安く入手し得て、最終処理の費用請求を兼ねて、それほど多くの資金をかけずに入手できる可能性が高い。
その上で、原発に変わる電力の安定供給を訴求するに、現状の東京電力の惨状を見れば、
これを期に、『発電』と『送電』を分離するのが良い、と考える。
原子力施設買取と、送電網買取の『公的資金』によって、東京電力に賠償原資とするのも、一つの案でもある。
当面は、『送電』を公社化させ、クリーンエネルギー活用を前提とした、『スマートグリット』の構築を図るべきである。
スマートグリッドで鍵を握るのは、送電網だ。
日本の場合では、送電・発電を、長らく一社独占してきた結果、
スマートグリットに関する『イノセンティブ』が事業者にあまり無く、積極的に提唱される事は無かったが、現在では様子が違う。
つまり、日本は今、スマートグリッドを導入する、最大のチャンス時期を迎えている。
◆スマートグリットの利点と、補助技術の充実◆
スマートグリットとは、賢い送電網の事である。
電力の流れを、供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網、と定義されているが、
自然エネルギーや小規模発電など、『小口発電』を、需要と供給とをバランスさせるシステムである。
初期に、各家庭や電気使用者に、次世代双方向メーターが必要となるが、ネット環境が整った日本では、特段難しい問題ではない。
そして、スマートグリッド網が構築できれば、風力・太陽電池や、工場などの自家発電など、ロスを最小限に、需給バランスを計る事が可能となる。
そして、発電の自由化の中で、クリーンエネルギーや代替エネルギーへの国策的バックアップが、より意味のあるものとなるだろう。
◆蓄電池技術と、クリーンエネルギーの組み合わせ◆
スマートグリット化を基幹に、クリーンエネルギーの需給ギャップなどを、蓄電器技術でブレークスルーする案もある。
NAS電池などの蓄電器を使用し、電力のピークを平準化する動きである。
発電は、ピーク電力を手当てする為、多くの発電所を必要としている。
しかし、日本のクリーンエネルギーが果たす役割は数%でしかなく、これからのポテンシャルが高く、これを10%台に乗せる事は、難しい話ではない。
蓄電器とクリーンエネルギーは、CO2を出さぬ為、原子力の代替、あるいは火力発電によるCO2増加の手当てとして、イノセンティブを働かす事も可能であり、
スマートグリットなどを使って、電力の平準化を果たす事は、原子力に変わるベース供給電力の為にも、有効な手段となる。
◆地熱発電やメタンハイドレード◆
自然エネルギーは、脱原発の為に必要であり、今なら、イノセンティブや政策的な支援も、十分に可能であろう。
例えば、地熱発電は、日本では火山大国でもある故に、将来有望な分野である。
といっても、地震や温泉資源への影響など、デメリットや、解決せねばならない課題も多くある。
しかし、今までは、原子力政策や、一括発電方式が主流であった為、これらの研究への投資は、ごく限られたものであった。
デメリットを潰す為の、政策的な投資を、これを期に行う事は可能なはずだ。
地熱発電やクリーンエネルギーは、『日本自給エネルギー』の為、輸入に頼る化石エネルギーより、様々な意味でメリットをもたらすからだ。
メタンハイドレードの実用化にも、政策的なバックアップが必要だと考える。
現在、ガスの価格は、シェールガスの登場などで、国際的にも非常に安価である(だから、ガス火力発電も、極端なコスト増とはならない)。
メタンハイドレードは、取り出しの技術開発などで、安価なガス金額との競争力上、開発や研究に、予算が付き難い現実がある。
又、二酸化炭素排出量も非常に多い。
とはいえ、国産のエネルギー資源となれば、セキュリティーとエネルギー双方の問題でメリットがある為、これも、抜本的な政府支援が必要となる。
今までも、日本の発電は、ガス火力発電が、ベース電力供給として最大である。
ガスの資源量は、実はかなり増大している。
天然ガスの従来型のガス(コンベンショナル・ガス)の、可採年数は60年。
しかし、ガスは、新規発見も多い。
これを試算すれば、80~120年まで、可採年数は増大するという論もある。
これに、今話題であるノン・コンベンショナル・ガス(タイト・ガス、コールベット・メタン=CBM、シェール・ガス)の可採年数60年(回収率20%と低くしても)だから、
実際には、石油40年、ウラン60年と比べ、枯渇が迫る化石燃料とは言えない状況なのだ。
◆原発の廃炉は、即時実効は難しいからこそ◆
原子力発電は、即時廃止をするには難しい状況にある。
しかし、だからといって、原発推進を言うロジックも最早、聞き飽きた感がある。
地元経済の影響を心配する声もあるが、福島の甚大な事故の結果論として、
ハザードマップの作成と、半径20KMの土地・財産喪失リスクを、地元にちゃんと事実として明示する必要がある。
それに、原子力賠償法も具体的に、上限の策定を法律改定して行えば良い。
そうすれば、将来的に、廃炉になるのを批判する人はだいぶ減る、と思う。
今までのスキームは、事故が起こらない前提であったが、これからは、『事故が起こった場合』のスキームを組む。
無制限の現状回復も、不可能である現実を明示する。
原発はもはや、日本では、終焉のエネルギーだと理解せねばならない。
暫時廃止は、国家が責任を持って行い、その間に国策として、次世代エネルギーを整えるのが、日本の道だと考える。
↑この最後の章は、一年前だからこその意見だと思います。
今、現実に、稼働している原発はゼロであること。
今起こっている事故の惨状を見れば、今後、原子力賠償法の上限は無制限にされなければならず、そんなものを引き受けたい損保会社も国も無いということを考えても、
日本の国土に建つ原発や核施設は、すみやかに燃料を冷却し、廃棄していくしか道はありません。
事故の2ヵ月後に書かれたものですが、もうそんな頃から、こういう考えをまとめておられたのですね。
わたしは最近、なんとかして、送電線の分離とスマートグリッドによる電気の自由化を実現できないものかと、
あれこれと調べたり学んだりしています。
送電線分離に関しては、去年の今頃だったかに、広瀬隆さんからの「送電線を開放せよと声をあげよう」というメールをここに載せました。
そこには、
『「電力会社が自家発電をフルに利用すれば電力不足が起こらない」
この事実を国民に知られると、産業界からも、一般消費者からも、「送電線を自家発電の民間企業に解放せよ!」という世論が生まれる。
そして制度が改善されて、誰もが送電線を自由に使えるようになると、地域を独占してきた電力会社の収益源の牙城が崩れる。
送電線の利権だけは、何としても電気事業連合会の総力をあげて、死守する必要がある』
と書かれてありました。
それに加えて、電力会社にとって、今ある原発を動かさないと、とんでもない損失が生まれ、原発を所有していることだけで破綻に追い込まれてしまいます。
どんな会社だって、破綻したい会社なんてありません。
だから、必死で保身に励んでいます。
けれども、つい先日、ブログ友の美代子さんのお家に、東電から『電気料金値上げのお願い』というのが、使用量のお知らせとともに送られてきたそうです。
まだ値上げされていないはずなのに「燃料費調整153円、太陽光促進付課金27円」と明記されてあり、料金はとても高くなっていたそうです。
美代子さんは、「払いたくないから、せめて50アンペア契約を30アンペアに替えようか」と、憤慨されていました。
やっぱりどう考えてもおかしい。
そう思いませんか?
この料金の中に、原発にまつわるすべての費用が、こっそりと、巧妙に、そして大胆に、当たり前のように、ずっとずっと長い間加算されているんですよ。
原発交付金にしても、燃料の買い付けにしても、あちこちに好き放題まかれた根回しのための金も、それから事故の後始末も廃炉も、
日本に暮らしながら、電気を使っている人は全員、この桁違いに高額な費用を分担させられている。
原発には通常、日本プールという数社の損保会社による保険がかけられているけれど、
福一並みの事故を目の当たりにした以上、今までみたいに、安易に、保険を担当したいと思う民間会社は出てこないだろうし、
措置できないような、異常に巨大な天災地変または社会的動乱などによって生じた事故については、国が必要な援助を行う、なんて決められてあっても、
国は、東電が責任を取るべきだとかなんとか言って放ったらかしといて、全国津々浦々放射能拡散キャンペーンに励んでいます。
こんなことが、15ヵ月以上も続いているのです。
4号機の危機的状況は、間に合わせの中途半端な支えだけで満足してる東電の役員のせいで、全く安心できるようなものではなく、
少しでも大きな余震が来るたびに、震え上がらなければならない暮らしが続いています。
使用済み核廃棄物の捨て場所も無いくせに、なにがなんでも再稼働という執念と欲にまみれた輩の動きも、最近活発になってきました。
こんな国に誰がした?
わたしらか?
ならば、わたしらが責任を持ってリセットするしかないのです。
ゲームなら、ボタンひとつで簡単ですが、生の世界ではそうはいきません。
ひとつずつ、こつこつと、けれども時間をかけずに、まずは悪どい法律から無効にしていかなければなりません。
原子力との決別は、原子力天国特有の、原子力を死守するようにできている法律を無効にし、
電気というエネルギーを独占している会社から、送電線を取り返すことから始まります。
署名運動は、どうでしょうか、今まで何度も、かなり規模が大きいものもありましたが、効果を上げたものを見たことがありません。
結果も出ません。
もっと効果的で、結果を出せる方法を、なんとしてでも見つけたいと思うのですが……。
前置きが長くなってしまいました。
それでは、送電分離がなぜ必要なのか、記事をお読みください。
脱原子力と発電・送電分離など
谷口勝洋 2011年 5月 15日
原発事故から、2ヶ月が経過した(2011/5/15現在)。
現状を客観的にみれば、いくつかの事実がわかった。
原発の新規増設は、日本では不可能。
原発のコスト計算の崩壊、安価な電力という根拠の崩壊。
将来の電力計画の崩壊。
そして、東京電力が、自力での原子力賠償が不可能、といった所だろう。
脱原発に動き出さねばならぬ状況が、既に現出しているのであって、
原発に変わるエネルギー源を、どうするかの議論に推移していくのだろうと思う。
そこで、いくつか主観的ながら、その手法を考えてみた。
◆原子力国有化 発電・送電分離 スマートグリッド化◆
まず、原子力発電所は、『民間企業』に任せるには、事故発生時のリスク処理に、問題がある事が分かった。
東京電力は、業界最大の企業である。
その東京電力でさえ、リスクヘッジや単独賠償が出来ぬのに、他の電力会社が対応できうるはずは無い。
又、民間企業であるが故に、事故によって、会社が一瞬にして潰れる様な施設を保持する事は、株主にとってもメリットが薄い。
故に、原子力施設は、国家管理、あるいは国有化・公社化するのが筋であろう。
原発は、国策として推進されてきたが、これからは、国策として、『廃炉』と『代替エネルギー』を考えねばならない。
そもそも、日本の原子力施設は、40年償却で考えれば古いモノが多く、
使用済み核燃料の最終処理施設が無い状況で、施設を安く入手し得て、最終処理の費用請求を兼ねて、それほど多くの資金をかけずに入手できる可能性が高い。
その上で、原発に変わる電力の安定供給を訴求するに、現状の東京電力の惨状を見れば、
これを期に、『発電』と『送電』を分離するのが良い、と考える。
原子力施設買取と、送電網買取の『公的資金』によって、東京電力に賠償原資とするのも、一つの案でもある。
当面は、『送電』を公社化させ、クリーンエネルギー活用を前提とした、『スマートグリット』の構築を図るべきである。
スマートグリッドで鍵を握るのは、送電網だ。
日本の場合では、送電・発電を、長らく一社独占してきた結果、
スマートグリットに関する『イノセンティブ』が事業者にあまり無く、積極的に提唱される事は無かったが、現在では様子が違う。
つまり、日本は今、スマートグリッドを導入する、最大のチャンス時期を迎えている。
◆スマートグリットの利点と、補助技術の充実◆
スマートグリットとは、賢い送電網の事である。
電力の流れを、供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網、と定義されているが、
自然エネルギーや小規模発電など、『小口発電』を、需要と供給とをバランスさせるシステムである。
初期に、各家庭や電気使用者に、次世代双方向メーターが必要となるが、ネット環境が整った日本では、特段難しい問題ではない。
そして、スマートグリッド網が構築できれば、風力・太陽電池や、工場などの自家発電など、ロスを最小限に、需給バランスを計る事が可能となる。
そして、発電の自由化の中で、クリーンエネルギーや代替エネルギーへの国策的バックアップが、より意味のあるものとなるだろう。
◆蓄電池技術と、クリーンエネルギーの組み合わせ◆
スマートグリット化を基幹に、クリーンエネルギーの需給ギャップなどを、蓄電器技術でブレークスルーする案もある。
NAS電池などの蓄電器を使用し、電力のピークを平準化する動きである。
発電は、ピーク電力を手当てする為、多くの発電所を必要としている。
しかし、日本のクリーンエネルギーが果たす役割は数%でしかなく、これからのポテンシャルが高く、これを10%台に乗せる事は、難しい話ではない。
蓄電器とクリーンエネルギーは、CO2を出さぬ為、原子力の代替、あるいは火力発電によるCO2増加の手当てとして、イノセンティブを働かす事も可能であり、
スマートグリットなどを使って、電力の平準化を果たす事は、原子力に変わるベース供給電力の為にも、有効な手段となる。
◆地熱発電やメタンハイドレード◆
自然エネルギーは、脱原発の為に必要であり、今なら、イノセンティブや政策的な支援も、十分に可能であろう。
例えば、地熱発電は、日本では火山大国でもある故に、将来有望な分野である。
といっても、地震や温泉資源への影響など、デメリットや、解決せねばならない課題も多くある。
しかし、今までは、原子力政策や、一括発電方式が主流であった為、これらの研究への投資は、ごく限られたものであった。
デメリットを潰す為の、政策的な投資を、これを期に行う事は可能なはずだ。
地熱発電やクリーンエネルギーは、『日本自給エネルギー』の為、輸入に頼る化石エネルギーより、様々な意味でメリットをもたらすからだ。
メタンハイドレードの実用化にも、政策的なバックアップが必要だと考える。
現在、ガスの価格は、シェールガスの登場などで、国際的にも非常に安価である(だから、ガス火力発電も、極端なコスト増とはならない)。
メタンハイドレードは、取り出しの技術開発などで、安価なガス金額との競争力上、開発や研究に、予算が付き難い現実がある。
又、二酸化炭素排出量も非常に多い。
とはいえ、国産のエネルギー資源となれば、セキュリティーとエネルギー双方の問題でメリットがある為、これも、抜本的な政府支援が必要となる。
今までも、日本の発電は、ガス火力発電が、ベース電力供給として最大である。
ガスの資源量は、実はかなり増大している。
天然ガスの従来型のガス(コンベンショナル・ガス)の、可採年数は60年。
しかし、ガスは、新規発見も多い。
これを試算すれば、80~120年まで、可採年数は増大するという論もある。
これに、今話題であるノン・コンベンショナル・ガス(タイト・ガス、コールベット・メタン=CBM、シェール・ガス)の可採年数60年(回収率20%と低くしても)だから、
実際には、石油40年、ウラン60年と比べ、枯渇が迫る化石燃料とは言えない状況なのだ。
◆原発の廃炉は、即時実効は難しいからこそ◆
原子力発電は、即時廃止をするには難しい状況にある。
しかし、だからといって、原発推進を言うロジックも最早、聞き飽きた感がある。
地元経済の影響を心配する声もあるが、福島の甚大な事故の結果論として、
ハザードマップの作成と、半径20KMの土地・財産喪失リスクを、地元にちゃんと事実として明示する必要がある。
それに、原子力賠償法も具体的に、上限の策定を法律改定して行えば良い。
そうすれば、将来的に、廃炉になるのを批判する人はだいぶ減る、と思う。
今までのスキームは、事故が起こらない前提であったが、これからは、『事故が起こった場合』のスキームを組む。
無制限の現状回復も、不可能である現実を明示する。
原発はもはや、日本では、終焉のエネルギーだと理解せねばならない。
暫時廃止は、国家が責任を持って行い、その間に国策として、次世代エネルギーを整えるのが、日本の道だと考える。
↑この最後の章は、一年前だからこその意見だと思います。
今、現実に、稼働している原発はゼロであること。
今起こっている事故の惨状を見れば、今後、原子力賠償法の上限は無制限にされなければならず、そんなものを引き受けたい損保会社も国も無いということを考えても、
日本の国土に建つ原発や核施設は、すみやかに燃料を冷却し、廃棄していくしか道はありません。