ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

いい事もあった

2009年06月17日 | お家狂想曲
今朝から新しい温水器を取り付けてもらいました。



前のは20年前の物で、温水器は一般的に10年経つと古いとみなされるそうで、二倍の年月が経っているということで新しい物に替えることにしました。
今の家(モントクレア)の温水器も相当古いみたいで、熱いお湯にするとカビの臭いがします。夏場はそれが強くなって、浴槽にお湯を張ると滅茶苦茶臭います。
食器などを洗う時は仕方がないのでそのまま使っていますが、コーヒーやお茶を入れるカップやポットを先に温めるお湯は、濾過して沸かしたものにしていました。
わたしの鼻はカビ臭に敏感でとても気になる方なので、もしいつか家を持てるようになったら、カビの臭いのしないお湯を使えるようにしたいと願っていました。

温水器のついでに、オイルヒーターの中も掃除してもらいました。



このジマーマン会社はわたし達のお気に入りの会社です。オイルカンパニーもいろいろあって、料金が安けりゃサービスがボロボロだったりしますが、
ここはそこそこ安い上に、サービスがとてもしっかりしています。上の大家さんから教えてもらいました。今年の冬のオイル代、ちょっとドキドキです。

このタンク、いつ見てもめちゃ渋い!いったい何年前のなんだろう?



今はこのタンクの中に満タンのオイルが入っていて、契約時に600ドル(満タン分)払いました。契約時の常識なんだそうですが、考えていなかった出費でした。


さて、これが床のミスマッチ部分。



職人さんは、いつ行っても、それはそれはコツコツ仕事をしてくれています。
合わない部分のことを直接話してみました。僕も気にはなってるんだけど、こんなに差が出るなんて想像も出来なかった、ということでした。
でも、なんとかできるだけのことはやってみる、と言ってくれたので、もう彼にお任せすることにしました。
もうすでに上薬を一回塗ってしまってあるので、また研磨してどうのこうのということはできません。
そんなことをすると、またまた予定がズレてしまうので、もうここは気持ちを切り替えていこうと思います。
引っ越しは日曜日。ピアノはピアノ専門の運送会社に頼みました。土曜日に運び込むことになりました。

かなり頭の中はゴチャゴチャしていますが、少しずつ少しずつ前に進んでいることは確かなので、ヤケにならずにコツコツやります。あともう少しです。
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泣きたい気持ち

2009年06月17日 | お家狂想曲
昨日、夕飯当番のKの代わりに焼きそばをオリジナルな味付けで作ってくれたRちゃん。夕飯を食べてから、Rちゃんも一緒にウィンザーの家に行きました。
さて、床はもう仕上がって、あとは乾くのを待つばかり。どんな感じになったかなぁ~とワクワクしながらドアを開けると……、
うそやぁ~!なんでぇ~?神様、これは夢だと言って!
触るとまだベトベト、しかも塗りが中途半端、そして……入れ替えた板の部分が全く違う色合いのまま……

気分を立て直して、とりあえず持ってきた箱を運び、家に戻りました。
「なんであんなに色が違うまま上薬を塗ったんやろ」
「でも、彼は最初っから言うてたやん。百年前の木と全く同じ色合いにはならんって」
「誰も全く同じ色合いになんて言うてへんやん。けど、限りなく近づける努力はしてもええんちゃうん?」
「けど、時間が無い状況やったのはうちが原因やし」
「そんなん言い訳にならへんやん。実際に、床が原因で引っ越しの予定をもう2回も変えてるんやで。一言も急いでって言うてへんやん」
「それでボクに何を伝えて欲しいん?あの仕事では満足できんから代金まけてってこと?それともやり直せって言うて欲しいん?」

今日は支払いの日の予定でした。それで朝の9時に向こうで待ち合わせをすることになっていました。
「そんなことじゃなくて、ただあの仕上がりには満足してないっていうことを伝えて欲しいだけやん」

そこで今朝、旦那は責任者のデイビッドに電話をかけ、わたしが伝えて欲しかったことを言いました。
すると、「あれはまだ仕上がりの状態じゃない。あともう1回上塗りしなければならないけど、先に塗った液がなかなか乾かないので塗れなかった」と言った彼。
旦那が黙っていると「本当はヒーターを使って乾かしたかったけど、職人がヒーターをどうやってつけたらいいのか分からなかったからできなかったんだ」
電話を切ってから「じゃあどうして、ヒーターをつけなければならなかった昨日の時点で、それを伝えてくれなかったのか。伝えてくれてさえいれば、旦那かわたしのどちらかが行ってつけることができたやん!」とわたしが言うと、
「昨日はふたりとも仕事で居なかったし、電話がかかってきても行けなかったかもしれない」と、訳の分からないことを言う旦那……。
そして極めつけに、「もう言うてもしょうがないこと言うて向こうの心証を悪くしたくない。いい関係を保ってこそいい仕事をしてもらえると思う。まうみはそういう文句を言うことが大事かもしれんけど、ボクはそうは思わない」と言って部屋を出て行ってしまいました。

結局、事を荒立てては物事はちっとも前に進まない派の旦那は、金曜の引っ越しを三たびキャンセルしました。
ウンベルトさんは、こちらから再三電話してもファックスしてもメールしても、うんともすんとも返事が無く、細かい打ち合わせが出来ない状態のままでした。
何回も予定を変えた挙げ句に断りの電話をかけて申し訳ない、と旦那が言うと、いいよいいよ~そんなこと、また次の機会にね~とめちゃんこ軽かったそうです。
お手伝いをお願いしていた人達にも連絡しなければなりません。
そしてまたまた大家さんにも滞在延期のお願いをしなければなりません。
引っ越し会社を一から探し直し、ピアノの運搬の手配をし、配管や配電工事の延期、配達の延期……ほんとにもう、なんてことだろう……。

わたしだって事を荒立てたくなんかありません。
でも、新しい板がはめ込まれた時点で、わたしは職人さんにはっきりと聞いたのです。「こんなに色が違うけど大丈夫?」って。
すると職人さんは、「色合いを限りなく近づけるために塗りを重ねるので大丈夫」と答えてくれました。
なので、完璧ではないだろうけれど、限りなく近い色になるんだと思っていました。そのために時間が延びても仕方がない。いい仕事をしてもらいたい。そう思っていました。だから、あの違いにはびっくりしたしがっかりしたんです。
百年前の床板という経験が無い彼らには、予想もできなかった色の変化が生じたのかもしれません。
雨が降り続いたことも、仕事に影響しただろうと思います。
でも、それでもやっぱり、わたしは納得できない。

泣きたい気持ちだけど、今日はコンサートの本番です。

ついさっき最終リハーサルをやって、あと5分したら本番という合間にこれを書いています。
これから2ステージやってきます。ピアノの前に座ったら、こんなことぜぇ~んぶきれいさっぱり忘れて、ノリノリで演奏できると思います。
じゃ、MAUMI TRAIN 軽快に走らせてきま~す
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ケイタイが増えるということ

2009年06月16日 | ひとりごと
昨日、急にまた鮭の南蛮漬けが食べたくなって、玉ねぎと人参を鬼のように千切りしながら、片栗粉をまぶした鮭の切り身を揚げました。
南蛮タレに揚げたての鮭を入れると、ジュウ~ッという美味しそうな音が微かにして、それがまた食欲をそそります。
お味噌汁も丁度出来上がり、旦那も丁度仕事から戻ってきて、さあいただこう、ほれ、食器を出して用意するの手伝って!とKに言いました。
一枚~二枚~、出したかと思うと、携帯メールの着信音。素早くチェック。そして返信。
ちょっと、ご飯を三人分ついでよ!と言うと、一つついではまた着信、そしてチェック、そして返信。

あのさあ、こういう時ぐらい、個人的なことやめられへんの?と、かなりキレてきたわたし。
すると、元ガールフレンドに家族問題があがり、その報告メールなんだとK。
お腹が空いているところに、普段からの彼に対するイライラも加わり、早く揃って食べたい欲求の方が勝って、
「これからご飯やから、また後で話そうって言うてよ!」と言ってしまいました。
Kはあまり食欲がないからと言って、鮭も数切れしか口に入れず、けれども別に怒っている様子もなく、穏やかに普通に夕飯を食べました。
夕飯の片付けをしながら、事情が事情やったのに、あんな言い方はないよなあ、と反省。でも……。

その後、最近仲良くなった日本人おかあさんとアメリカ人おとうさんの娘Mちゃんと逢う約束があるからと出かけたK。
今夜は彼女をうちに連れてくるけど、めちゃくちゃ恥ずかしがり屋なので、いつもの調子でイジメないように、と釘をさされました。
やって来たMちゃんと少しだけ英語で話をして、そしてふたりはまた一緒に出かけて行きました。

こちらに来てしばらくはまだ、携帯電話や携帯プレイヤーをあまり見かけなかったこの国でも、今ではもう、かなり多くの人が耳にイヤホンを入れて歩いています。
たまに、耳にはめ込む携帯電話を使っている人が、いきなり一人芝居でも演じているように手振りを加えながら大きな声で話し出して、びっくりすることがあります。
道を歩く時、ジョギングをする時、電車に乗っている時、車を運転している時、それだけじゃなくて、起きている間中ずっと、着信と送信を繰り返す人達。
そんなふうに、いつでも誰かとつながっていたら、いったいいつ、自分のことを見つめたり考えたりできるのでしょう。
いや、それよりも、いったいいつ、頭も心も空っぽにして、ゆっくり休むことができるのでしょう。

旦那とわたしが携帯電話を使い出したのは四年前のことです。いよいよ仕事上必要になったからですが、わたしもそれに便乗させてもらいました。
旦那はその電話をとりあえず身近に置いていますが、自分が休もうとしている時や食事中、あるいは夜遅過ぎたりした時は、かけてきている人のナンバーを確認して出たり出なかったりします。
わたしが「もしそれが患者さんの緊急電話やったらどうするのよ!」と言っても、「すぐにメッセージを確認するんやからそれで充分」と涼しい顔です。
直接話せばお互いもっと簡単に済むものを、どうしてどんな手間のかかることをするのか。
随分経ってからやっと気がつきました。自分の世界に浸ることを優先しているということなのでした。
食べている。話をしている。会議に参加している。電車に乗っている。車を運転している。食事の用意をしている。用事をしている。歩いている。
人は起きている間中何かをしています。自分も他人も、みんな何かをしながら起きています。
それを邪魔しちゃいけないな。邪魔されたくないな。そんなふうに思ったら、携帯社会がもう少し成熟するんじゃないかなあ、と思いました。


それはさておき、昨日のわたしの言い方はやっぱり良くありませんでした。なのでちゃんと謝ろうと思いました。
昨日残った鮭が、今朝起きたらすっかり無くなっていたので、「なあ、あれいつ食べたん?」とKに聞きました。
「あ、夜中に食べた」
「またまた、あんなもん夜中に食べて」
「しゃあないやん、夕飯の時には食欲無かってんもん」
「え、ガールフレンドを紹介しようと思てたから?」
「ちゃうわ!D(元ガールフレンド)のことが心配やったからや!」

いろんな人の相談を受けるK。その話によっては、彼も一緒に落ち込んだり弱ったり、それはもう親身になって聞くので、横で見ていて時々心配になります。
その分携帯が鳴ることが人より多いK。僕はいつだってここにいるよ。そういうサインを送り続けているK。

旦那流とK流。それぞれのケイタイ模様なのでした。


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どしゃぶりの雨の中で

2009年06月15日 | お家狂想曲
って、別に外に出てなにかしたってんじゃありませんが……。
パラパラと音がしたので、ん?と思って窓の外を見てみると、もうこんなふうになっていました。

あまりの雨の勢いに、向こうが煙って見えます。



ドライブウェイはすっかり川状態。



ぶっとい雨の筋が見えますか?




契約日の朝に、二階の元台所だった部屋に小さな水たまりができていて、それでまた、危うく契約が延びるところでしたが、
あの水たまりの原因が、ひょんなことから判明しました。
床の研磨による、非常に細かい粒子のほこりのおかげで、今回の水たまりまでの道筋をうっすらと見ることができたからです。
それは、道路側の窓の、少し欠けている部分から吹き込んだ雨水でした。
これだとわたしでも簡単に塞ぐことができます。
そこはまだ塞いでいないので、今日の大雨で浅い水たまりができているかもしれません。
気になるところだけど、今日から床の仕上げが始まっているので、一歩たりとも歩くわけにはいきません。しゃあない、自然乾燥にお任せです。

なので我々はこちらの家に留まり、ひたすら箱を組み立てて、そこに物を入れテープで閉じる。
仕事と家事の合間に、時間があればやってます。
まあ、こんなふうにパソコンいじりもやってますが……ははは。
ちょっとだけ先が見えてきました。でもまだちょっとだけです。油断は禁物。

それにしても、今年の6月はほんとにけったいな天気が続いています。
さっきの大雨は、降り出しと同じくいきなりプツンとやみ、道路はもう既に乾いています。気温は低め、半袖だとちょっと肌寒いくらい。



明日からようやく晴れマークが二日続き、木曜日に雨が降り、引っ越しの当日金曜日は晴れ!どうか予報通りになりますように。
我々の友人J氏と、Kの友人C君が、彼の日本人ガールフレンドと一緒に手伝いに来てくれます。嬉しいです。ありがたいです。
引っ越し会社のウンベルトさんはスパニッシュしか話せないので、今回は特に、スペイン語が母国語のC君に通訳を頼もうと思っています。
作業後のビールとピザ、楽しみです


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ビールがうまい!

2009年06月14日 | お家狂想曲
晴れました~晴れたよ晴れたぁ~!!晴れがこんなに嬉しいなんて……

今朝からガンガン箱を作っては運び、作っては運び、まるでアリさんのように働いております。

カエルくん達も引っ越しです。



カオスなキッチン。


 
ピアノ部屋の戸棚もすっきり。




左側のカエルくんは、末期の胃ガンが見つかって入院した父にプレゼントした物です。
父のガンが見つかってすぐに、わたしも大腸ガンの可能性が極めて高いと医者から言われ、旦那父が手配してくれた、ペンシルバニアの腕のいい医者にもう一度ちゃんと検査をしてもらうことになり、父を残して、後ろ髪を引かれるような気持ちでアメリカに来た時のお土産です。
父はカエルの置物が好きで、『無事かえる』という言葉をつぶやきながら、集めたカエルを指でよく撫でていました。
父の生還を願って買ってきたこのカエルを、父はとても喜び、肌身離さずベッドの上に置いてくれていました。
残念ながら願いは叶わなかったけれど、棺に入れずに、こうして一緒にアメリカに連れてきたカエル。
ネックレス代わりの数珠をかけて、いつもわたしのことを見守ってくれています。
また一緒に引っ越ししよう。

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今日もじとじと

2009年06月13日 | お家狂想曲
外の車が通り抜けると、タイヤと濡れた道路が擦り合う、雨の日独特の音がします。
こちらに来てから10回目の6月ですが、こんなに雨が続いたのは今年が初めて。
いったいどないやっちゅうねん!とひとりごちながら、箱詰めに精を出すわたし。

今日はなにかっていうと旦那と衝突しました。カリカリいらいら、どちらも種火がつきっ放しなので、ちょっとしたことで炎が大きくなってしまいます。

そんなところに、久しぶりの、『日本のノリ』問題が発生しました。
大津の旧道沿いのある町に住んでいた8年間に、いやというほど味わったあの(そやからどないしたらええのよっ!)な気分……久々の登場です。

今回の引っ越しの手伝いをお願いしたT氏。アメリカで引っ越し業を営んで早30年の大ベテランさんですが、
一匹狼であることを好む彼は、日通の下請けなどをしながら、いろんな同業者の人達と連携を組んで、業績を伸ばしてこられた方です。
彼はとても親切な人で、こちらが頼んだ以上のことをしてくれたり、仕事柄、ひょいと入ってくる家具や電気器具などを、とても安価で分けてくれたりしました。
今の家の大きなカウチや本箱、旦那の診療室の棚などは、日本に戻ることになった駐在の家族からのおさがりで、今も便利に使わせてもらっています。

一昨日の夕方、本などを詰めるための小ぶりの段ボール箱を、T氏がわざわざ運んできてくれました。
「ソニーのね、薄型じゃないけど、ちゃんと映るテレビがあるよ。テレビ台もついてるしね。いらない?」
箱の受け取りに出たKとわたし、突然のことで答が出ません。後でまたちゃんと返事させてもらいますと言って、その場は別れました。
Kがそのテレビが欲しいと言うので、昨日の夕方にT氏の家まで取りに行かせました。
そのKが戻ってくるなり、「クーラーとかマス目になった高そうな棚とか、あ、それからカウチもどうぞって。イタリア製やで」とまくしたてます。
「あ、それと、トレーニングマシーン、あれはどうしても欲しい」
はぁ~?!旦那の顔はもうすでにかなり険しくなっています。なんだかとってもいやな予感がします。
T氏も、自宅の総改築の工事のため、一週間後にはホテル住まいになるってんで、まるで引っ越し状態。なので、彼も持ち物を整理したいというタイミング。
旦那の頭の中では、ひとの引っ越しの荷物整理の手伝いをして、うちに欲しくもない、趣味の異なる物が増えるのはまっぴらごめんだ!と叫んでいます。多分。

とりあえず、クーラーはきっと入り用になると思うので、いただくことにしました。トレーニングマシーンは旦那の頭の中ではきっともう消去されているはず。
今日の午後2時半に、留守のKの代わりに、旦那とわたしがT氏の家にお邪魔することになりました。
行きの車の中で「分かってると思うけど、あれもこれもって言われても調子のいい返事をしないこと。ボクはいらない物は入らないんやから」と旦那はブツブツ。
押しの強い、どちらかというと引き下がらないT氏の姿がチラチラと思い浮かんできて、ちょっと重たい気分になるわたし……。


「これ、おいしいよ、ほら、持ってきな。あ、これもね。ほんで、どういうふうに食べるかっちゅうと、これとあれとをこういう風に混ぜて……」
「この器、値打ちもんやから。アメリカ人にはそういうの分からへんやろけど。けど、肉とか油もんは乗せたらあかんで。なんでかっていうとな……」
その当時、旧道沿いの住人にとっては外国人はとても珍しかったので、いろんな人達がやってきて、それぞれ好きな話をしては帰っていきました。
その話の中には、もちろんその人は親切で言ってくれているのだけど、旦那にとっては余計なお世話だったり、押しつけのように感じることがあって、
そうすると、旦那の態度があからさまに不機嫌になったり、あさっての方向を見たり、けれどもそれは言葉が分からないからだと勘違いしている人達は、全く話をやめようとせず、時にはどんどんエスカレートしていってしまったりしました。
わたしはその間に立って、旦那をなだめ、近所の人にはそれを気づかれないように取り繕い、その場は一応平穏に終わらせるのですが、
部屋に戻ってからの、「あれはいったいなんなのだ?!」という旦那の文句と怒りを一身に受けることになるわたし……なかなかタフな時間でした。

物は取り様、物は言い様、親切で言うてくれてるだけなんやから。なんてことを分かってくれるはずもなく、そういうことがあるたびにヘトヘトに疲れたもんです。


T氏の家の中に入ると、もうそこはうちの5倍ほどの物、物、物!ひぇ~!
そして、トレーニングマシーンを見た途端に気を失いそうになってしまいました。
デカいっ!
「うちには入らないかも」
「でっかいんでしょ、今度の家」
「でもボクとしてはいらないし」
「K君、どうしても欲しいって言ってたよ」
「でも、こんなのどうして運べるか」
「うちのバンを使ったらいいじゃん。この額入りの絵は?カウチはどう?クーラーいる?あ、ヒーターもあるよ。ガレージに棚もあるよ。タイヤは?」
ガレージまでT氏の後をついて行く間、「絶対に棚はいらない。欲しいっていう顔をみせるな」と低~い声で凄む旦那。恐っ!
ところがその棚、多分家具屋とかで買ったらとんでもなく高いだろうな~という代物。正方形のマス目の大きさが楽譜にぴったり!欲しぃ~!
「どうしていらないの~、いいもんだよこれ」と粘るT氏。頑なに断る旦那。後ろの方で、わたしは欲しいんだけどな~といじけるわたし。

結局、T氏のバンをT氏が運転して、トレーニングマシーンとクーラーそして電気ヒーターをウィンザーの家まで運んでもらうことになりました。
まずはマシーンを地下室に。男ふたりでなんとか運べるものの、腰を痛めるのを極度に心配する旦那はきっと、無茶苦茶ムカムカしてるんだろうな~。
帰りがけに、とりあえずこれまでのお礼の気持ちを包んで渡し、T氏を見送ったわたしに、どっか~ん!久しぶりの旦那の爆弾が落ちました。
「断ってるボクの横で、あんな欲しそうな顔するなんて、呆れてモノも言えない。どうしてボクの言ってることが分からないんだ?」
「もうあの極貧の大津時代のボクらじゃないんだ。大型ゴミを拾い集めて暮らしていたボクらじゃないんだ。あんなことをもう二度と繰り返したくないんだ」
ちゃんと分かってますよ。でも、な~んにも無いピアノの部屋に、あの楽譜棚を置くのがどうしてそんなに悪いことなのかなあ。
木の色はわたしの机よりも明るいけれど、色なんてペンキで変えられるし、あんなしっかりした造りの大きいサイズの棚なんて買ったらどんなに高いか……。
でもだめでした。話は平行線のまま、お互いの間にモヤモヤとしたイヤ~な霧がかかっているところに、ルルルル、ルルルル、
「あ、Tだけど、あのねえ、炬燵いる?ちゃんと使えますよ。それと、でっかいカーペット。炬燵の下にいるでしょ?あ、それとつい立てとかちゃぶ台どう?」

炬燵、いただきます。カーペットもいただきます。つい立てもありがとうございます。ちゃぶ台もよろしく。三階に置いて、日本の冬を楽しむんだもんね~。



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引っ越しの日が決まった?

2009年06月13日 | お家狂想曲
?マークをつけなければならないというのが苦しいところですが、とりあえず、多分、ほぼ98%、19日の金曜日に引っ越しをします。
ウンベルトさん、何回も何回も予定を変えて、本当に申し訳ありませんでした。

毎日天気予報を見るたびに、雷マークが増えていくのが恨めしい……とりあえず雨マークよりゃいいか、と思うことにしました。
この地域にはかなり珍しい湿気がムンムン、もわ~っとした外気はお肌にはいいでしょうけどね、床が……乾きにくいじゃありませんかっ!

昨日は朝から、すっかり磨き終えられた床に塗料を塗り込む作業が始まっていました。
塗料の匂いなどを心配していましたが無用だったようです。職人の若者達は四つん這いになって、バケツの中の塗料を柔らかい布で塗り付けていました。
ふたり並んでしゃべったり笑ったり、なんだか楽しそうで、ちょっとわたしにもさせて、なんて言いそうになるのを我慢しながら、小学校の掃除当番や、婦人会の公民館の掃除なんかを、懐かしく思い出していました。
旦那はというと、掃除はすべて指定の業者さんに任せるのが常識の世界で育った人だけに、「こういう仕事をしなければならない彼らに、なんだか申し訳なく思ってしまう」なんて言って、ちょっと暗めでした。
育ちが違うと印象もこんなに違うんですね。

せっかくの無垢の床材が顔を出したのを見たり触ったりしていると、このままにしておいて、裸足で歩いたら気持ちがいいだろうなあと思いましたが、
ここはアメリカ。家の中に入る人すべてに、靴脱ぎを強制することは不可能です。泥や水分で汚されていくのを見て、いちいちがっかりするのも疲れます。
無垢板だと、空気の変化をちゃんと受け取って、湿気を吸ってくれたり吐き出してくれたりするので、部屋の中の湿度が自然に調整されていいんだけどなあ……。
今はずっと湿度が高いので、昨日白っぽかった床に少し色が出てきていました。
旦那とわたしがサンプルから選んだ塗料が塗り込まれ、その上に3度、ワックスがかけられます。
また今度、ずっと時間が経って、わたし達の次の人が床磨きをするまでバイバイだね。
さらさらの木肌を手のひらで楽しみながらお別れしました。


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巻き尺になったピノキオ

2009年06月12日 | お家狂想曲
ちょっと上向きの鼻のピノキオ君。



ウソをつくと、トホホな鼻になります。



我々のエージェントだったデブラが、契約を交わす部屋の、大きなテーブルに座っているわたし達の膝元にそっと置いてくれた紙袋の中に入っていました。
他にも特別純米酒のにごり酒とクッキー。彼女からのお祝いなのでした。

にごり酒を飲んだのは初めてです。意外にすっきりとした喉ごしのとても美味しいお酒でした。彼女はいったいどこで見つけてくれたのだろう。
いろいろと長い(ほんとに冗談抜きで)間お世話になった彼女に、お礼をしなければならないのはこちらの方なのに、
なんだかパニックに陥っていて、頭がそこまで回らなかったお粗末なわたし達。反省しました。

さてピノキオ君、わたしはとっても気に入って、あちこちに連れてっては、いろんな物を計っています。
あ、またウソついたな~なんて独り言言いながら、あっちを計りこっちを計り、かわいいピノキオ君を紹介したくなってこの記事を書きました。
A Tape Measureだと分かっているのに、巻き尺という言葉がどうしても出てこなくて、あの手この手を使って回り道して、やっと見つけました。
でも、最近日本でだって、巻き尺なんて言ってる人は少ないでしょうね。手ぬぐいとか敷物とか言わないように。

やっと空に青さが戻りました。でもまた雷とかが鳴るそうです。晴れマークが現れるのはいったいいつのことになるのやら……床が全然乾かないよぉ~!
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生まれた時の色

2009年06月11日 | お家狂想曲
今朝も旦那とふたりで、ダンキンドーナッツ1ダース入りのパッケージを持って、ウィンザーに行ってまいりました。
旦那曰く、これは、任せっきりにしてないよ、ちゃんと経過を見ているよ、という我々の思いを伝えるための『差し入れ』だそうです。
職人さんは三人。ブラジルから移ってこられたそうです。会社の責任者デイビッドもブラジル人。彼の英語は大丈夫だけど、ノリがちょっと旦那と違うようです。
期日とか時間とかをはっきり知りたい旦那と、うんうん、分かった分かったと頷くのだけどちゃんと数字を口にしないデイビッド。
実際に仕事をしている職人さん達から、とてもじゃないけど土曜日までには終わらないと聞いた旦那。じゃあいつ頃になるかなあと聞くと、
あ、こりゃあかん、英語が通じん……ってんで、旦那はデイビッドに電話をかけたのですが、英語は通じても数字が出てこぉ~ん
旦那の顔色がどんどん変わっていくのが見えて、こりゃヤバいと思い、わたしは職人さん達とにこやかに談笑
結局、来週の木曜までにはなんとかなる。という答を引き出すまでに、ワケの分からん短い会話がピンポンのように飛び交いました。やれやれ




とても古い木材なので、ちゃんと木目が揃って出てくるまでに予想以上の時間と手間がかかったそうです。
それで予定がずるずると押してきて、月曜まで待ってが水曜になり、今度は木曜になってしまいました。
こればっかりは急いでもらうわけにもいきません。作業を急ぐあまりにいい加減な仕事をして欲しくもないし(この国の場合、そういう可能性は有りだから)、
ということで、引っ越しがまたまた延びました。多分来週末。引っ越し会社さん、本当に申し訳ありませ~ん!

まあしかし、ほんっとによく雨が降ります。日本も梅雨に入ったって聞いたけれど、この時期ここはとても爽やかな日が続くはずなのに、まるで梅雨です?!
なので、磨かれた後の床はしっかりと湿気を吸って、なんだか赤ちゃんのようにふっくらしているように見えました。

階段の板も二階の床も、みんな顔を見せてくれて、それぞれの木目がとてもきれいです。張られた年代によって流行があり、板の幅、模様などが違います。
早く裸足で歩いてみたいなあ。

研磨から出た埃です。特殊な機械を使っているので、あまり部屋の中に散らないそうです。



ついでに階段。わたしはこの家の写真をネットで見つけた時、一階の床とこの階段に一目惚れしてしまいました。途中で休憩のベンチがあります。



以上、途中経過の報告でした
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ポール&ピンキー夫妻

2009年06月10日 | お家狂想曲
ウィンザーの家の左側の側面は、違う通りの家々の後ろの庭に面しています。
夕方、仕事の合間に床の様子を見に行った旦那が、リビングの窓から見える、水の色もきれいなでっかいプールをお持ちの家に、もうかれこれ60年以上は住まわれているご夫婦と話ができたそうです。
噂通りの、それはそれは温和な80代のご夫婦さんで、夏になるといつも、ウィンザーの家の人達は、彼らの家のプールを使わせてもらってたそうです。
お名前がポールとピンキー、なんて可愛らしい名前!!
わっすれなれないのぉ~、あ~のひとのことがぁ~、あ~おいシャツ着てさぁ~、う~みを見てたわ~
なんのこっちゃ分からん旦那が、呆れた顔して見ています。

「あの家はね、神様の祝福を受けた家だよ。住む人はみんな幸せそうだし、長生きだし。きっと素敵な暮らしになるよ」
なんて嬉しいことを言ってくださるんでしょう!!
お向かえのロイといい、このご夫婦といい、引っ越すのがいっぺんに嬉しくなりました。
あ、そうだ、引っ越しのご挨拶にどんな物を持ってったらいいかなあ。
こちらにはそういう習慣が無いので、我々としては、日本式のご挨拶をしようかと計画しています。向こう三軒両隣、お砂糖とかがいいかしらん?

「暑い日はね、二階の窓から直接飛び込んでいいからね」とポールさん。



やっほぉ~いいいのかな~いいのかな~、そんなことわたしに言っちゃっていいのかな~

↑これは一階のリビングの窓からの写真です。二階からっつぅと、あの木を飛び越えなきゃなりませんぞ。
そんなターザンみたいなジャンプができるだろうか……←なにを真剣に考えてるのやら……
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