ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

床の化粧直し

2009年06月10日 | お家狂想曲
旦那もわたしも、昨日はくたくたになっていたのに、申し合わせたように6時過ぎに目が覚めちゃって、ふたりでチビチビと紅茶を飲みながら朝食を食べました。
もうジャムが無いねえ、でも買いたくないねえ、あ、ティッシュも切れそう、でも買いたくないねえ……、
引っ越し前ってA地点とB地点の、どうしたらええねん?みたいな中途半端な場所に立たされてる感じがして、なかなか決められないことが多いです。
8時半に待ち合わせをしていた床の業者さんを新居に迎え入れ、てきぱきと作業を開始する4人の職人さんの仕事っぷりを少しだけ見学してから我々は退散。
家の鍵を預けて、任せっ放しの状態ってのに慣れなくて、なんだか変な気分でこちらに戻ってきました。



話を戻してっと……。
職人さんがほんの一カ所だけ磨いてくれまして、どんな感じになるか見せてくれたんですが、まあまあ、なんときれいな木目模様、いっぺんに恋しちゃいました
百年って一言で言うけれど、サラサラとした板の表面を撫でながら、その床が見てきた暮らしや人々の様子に思いを馳せていると、まるで万華鏡を覗いているような楽しい気持ちになりました。
床がきれいになってしまうと、さて、バスルームや台所の、迫力さえ感じられる古さ&汚さがめちゃんこ目立つんではないか?と、かなり懸念されます。
がっ!身の丈を念頭において、目をつむれるところはつむる、我慢できることは我慢する、無理は禁物です。
生徒さん、患者さん、すみません、トイレを使う時は絶対に下を見ないように、上を向ぅ~いて、歩いってってください
友人達よ、台所に入ったら、どこも見ないでね!って……目隠しするっきゃないやん?!そんなんまるで人質やん?!

家に戻ってからトドメの練習をしてリハーサルへ。本番は今まで弾いたことのない電子ピアノで演奏するそうで……ピアノ弾きの運命といえどイヤだなあ

ま、それはさておき、今日は家でのレッスン日。部屋が汚ねぇ~よ!レッスンできね~よ!掃除せにゃ~!
ほんでもってシャワーに入って、もういっぺんリハーサルに行って、仕事して、再びくったくたになって、コテンと寝ます。


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家主誕生!

2009年06月09日 | お家狂想曲
午前10時半ー奇妙な水たまりを発見。
午前11時 ーとりあえず解散。旦那はそのまま仕事に直行。わたしは明日のリハーサルの練習と片付け。
午後12時半ー仕事先の旦那から電話がかかり、水たまりの件についてはなにもしたくないという、向こうの言い分を聞く。
午後1時 ーどちらにせよ、あの部屋の壁をぶち抜いて洗濯機のための配管工事をするので、その際に重大な問題が見つかった場合は責任を持ってもらいたい旨を伝えてもらい、相手方の出方を見ることにする。
午後1時半ー患者と患者の合間に旦那が、向こうから、もしもの時の修理代$500を出す、と言ってきたと聞く。
午後2時 ーその条件をのんで契約を終わらせるか、問題の有無を詳しく調べるため契約の延長を申し出るか、約束の3時までに決めなければならない。
午後2時半ー売り手側の、前日の掃除の際に来ていた双子の男の子達が、その部屋でふざけていた事実を聞く。

水が全く濁っておらず、他の場所のどこにも水気がなく、どこかからにじみ出てきた水ならば、多少は濁っているはずだという我々なりの常識から考えて、
あの水は、嵐のせいでもなく、床や壁や天井からにじみ出てきた物でもなく、多分重大な問題から起きたのではないと判断しました。
もちろん、契約がずれることで、工事や改装、それから引っ越しの作業すべてを遅らせることを懸念したことも事実です。
けれども、弁護士のステュアートは、念のために一筆したためると言ってくれました。万が一のことが起こってしまってからでは困ります。

もう本当に、胸の中に竜巻が起こったような4時間でした。

午後3時、ステュアートの事務所に、旦那とわたしとK、それからデブラの4人が揃い、書類の山にサインをしました。
サインだけで1時間かかると聞いていましたが、その山を見た途端、こんな量を1時間でし終えることができるのかどうか、かなり心配になりました。
書類の内容をステュアートが読み上げてくれるのだけど、半分ぐらいしか分からなかったわたし……向かえ合わせに座っている、タイトルやローンの手続き一切を受け持つ役割を任された男性が、なんとなく哀れみのある目でわたしのことを見ていました。
わたし達がサインをし終わった頃に、売り主の女性(エージェント、スーエレンの母親)とスーエレン、そして弁護士のリンダが部屋に入ってきました。
スーエレン以外は初めて会う人達です。しかも、いろいろもめてきたこともあってちょっぴり緊張しました。
それでも和やかに契約が進み、あの例の双子の坊やのことも話題にあがり、あの家がどれほどハッピーハウスだったかというエピソードを聞きながら、わたし達もその世界を引き継げたらいいなと、心の中で考えていました。
なぜだか人がいつも寄り集まっていたこと、いつだって音楽が流れていたこと、それがあの家の思い出ですと、少し涙ぐんで話すスーエレンの母親。
思わず彼女の背中を撫でながら、「あの家に初めて入った時、そういう家じゃないかしらと感じました」と伝えると、うんうんと頷いていました。

というわけで、こんなに遅くなってごめんなさい
心配してコメントしてくれたみんな、本当にありがとう
読みながら心配してくれているみんなも、本当にありがとう

早く報告しなければと思いつつ、契約が終わってすぐに仕事に行き、それから近くのイタリアンレストランでテイクアウトして、家猫も連れて、ウィンザーの家で小さなお祝いの夕餉をしていたのでした。
もらった鍵で家のドアを開けたのだけど、やっぱりまだ、あのぉ~ちょっとお邪魔しま~す、みたいな感じ。
出て行く時も、どうも~お邪魔しましたぁ~、みたいな感じ。
まだまだ全然!です。
家猫はもう、とんでもなくパニクっていて、心臓ドキドキ、口もパクパク、あちこちに潜り込んではシャーシャー言ってました。彼女も慣れるまで大変そうです。

ということで、鍵をいただきました
明日から一週間、がむしゃらに引っ越しします
あ、リハーサルがあったんだった……それに仕事も……でもでも、やるぞぉ~
あ、このブログの名前、どうしよう……
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雨、土砂降って、雷、地揺らぐ

2009年06月09日 | お家狂想曲
夜中の真っ暗闇の中、稲光の閃光があちらでもこちらでも。パキン!ガラガラ!ゴロゴロ!ピシッ!いろんな音があるもんですねえ。
2009年6月9日は、嵐とともに始まりました。寝れん……。

明けて朝になり、またまたご丁寧に、雨トリオがおいでになり、ひと暴れしてくださいました。どないやっちゅうねん

いやあ、日が日だけに、いろいろ考えてしまいました。この嵐の意味するものは……なんて。そんなんただの自然現象の偶然じゃん。いやしかし……。
雨降って地固まる、にも程があります。それぐらいの降りでした。やれやれ……。

けれども、『これを本当に買います式』前には雨もすっかり上がり、曇り空ではあるけれど、緑がとてもきれいです。
レンガの家だって、まるで洗車機の中に突っ込まれたぐらい洗ってもらって、きっとすっきりきれいになっていることでしょう。
ということで、10時からの式に行ってまいりました。
スーエレンとデブラ、それから我々の四人で、ひとつひとつの部屋を回り、壁や天井、ドアのノブや立て付けなどをもう一度確認。
水、電気、それからガスも一通り点検。お湯の出がいいかどうかも再度調べて回りました。
彼女達は「エージェントとして言わせてもらうとね、こういう日はうんと天気が悪い方がいいのよ。だって、家の問題は、こういう日に起こることが多いからね」と口を揃えて話してくれました。
言われてみればそうですね。住んでしまってからではもう、すべての問題はわたし達の責任になるんだから。
なんてことを話しながら回っていると、ありゃりゃ
二階の、元台所だった部屋の床に、直径20センチぐらいの水たまりを発見!
四人でそれを囲んで座り込み、じぃ~っと見つめるものの、誰ひとり、なんでこんなところに水たまりが発生しているのがちっとも分かりません。
近くの床、壁、天井などを触ったり、どんなに目を凝らして見ても、どこも全部乾いています。なんですかぁ~こりゃっ???

とりあえず拭き取り、弁護士に報告。契約を済ませる前に話をつけようということになりました。
今朝からの天気が原因なのか、それとも部屋を改装した時の、水のパイプの撤去作業のミスか、さっぱり分からないのですが、
とりあえず、この式の間に、向こうのエージェントも立ち会っている時に見つかって良かったです。
でも、事の次第によっては、また弁護士を挟んだ交渉に入ることになるかも知れません。
そうなるとすべてが延期。明日からの床の修復作業が延び、引っ越しが再び延び、そうするとここでの生活がまたまた延びることになってしまいます。
うぅ~ん……。

契約に向けて、ついさっき、銀行にふたりで出かけ、契約に必要な頭金と、権利書代、弁護士料、市民税、タンクに残っているオイル代etc.(なんだかめちゃくちゃいろんなことに払わなくてはいけないようで、しかもそのいろいろにいちいち税金がかかっていて、本来シンプルに計算した金額より、なんと80万も増えていました?!しかもこの金額、この時に及ぶまで知らされないときています。詐欺じゃん)を引き出してきました。

そして電気・ガス・水のオーナー名変更などをしてから、旦那は仕事に行き、わたしは家で連絡待ちをしながらピアノの練習。

たった今、旦那から電話がかかってきました。
「向こうはその水の件に関して、なんもしたくないって言ってきた」

さてさて、今日の嵐の意味を真剣に考えなければならないようです。


気分直しに、家の右隣の、だぁ~い好きな庭です。ほんとはわたし達の家の庭だったんだけどなあ……どんな人が買ったんでしょうか……。



そしてうちの後ろの庭(というより土地)。これをどう整地していくか、これまた長い長~い目で見ていかなければならない問題です。



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今日の風、なに色?

2009年06月08日 | 音楽とわたし
辻井伸行さん、本当におめでとう!
ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでの、日本人としては初めての金賞受賞です。
彼のことは、小学生だった彼がショパンのワルツを見事に、力強く、繊細に、一音一音に歌がある演奏をするのを、ビックリ仰天しながら見た覚えがあります。

つい先日、偶然にも、前回のヴァン・クライバーンのコンクールに残った上位入賞者達が、勝ち進んでいく様子をドキュメントで撮った映画を見たところでした。
あの切迫した緊張感、とてつもない重圧感に、なにがなんでも負けるわけにはいかない演奏者達の、歯ぎしりの音が聞こえてきそうな闘いの様子を見て、
やっぱりここまで来られる人達は、ただ人よりうまいとか、環境が恵まれているとか、練習をたくさんしたとかいうことでは済まない、特別な能力と、それを逃がさない努力と、感性と根性と、そして支えがあるのだとしみじみ感じました。

今回の、全盲の若きピアニストが一位に選ばれたことは、いろんな人達にいろんなことを考えさせるいいきっかけになったと思います。
わたしも今日は朝から、気がつくと彼のこと、目の見えない人がピアノを弾くということ、それも、世界の頂点に立つということをずっと考えていました。

彼はこの世の光を見たことがありません。すべてはご両親の言葉から、そして触った感じ、舐めた感じなどから、自分の世界観の中で想像した形です。
とにかくなんでも知ってもらいたくて、バナナは黄色、りんごは赤色などと教えていたおかあさんに、幼い伸行さんはこう言ったそうです。
「じゃあ今日の風、なに色?」

これを読んでじーんとしました。そして、彼の作曲した『川のささやき』を聞いて、彼の世界の豊かさを実感しました。
おとうさんに隅田川に連れていってもらった時の思い出を音にしたというその曲は、懐かしさと嬉しさとがコロコロと混じり合って流れている水の流れそのものでした。彼の世界の中に流れる川、それはわたし達が見るどの川とも違う、彼の川です。

同じ楽器を弾く(といっても、彼とは全く比べものにもなりませんが)者として、あの鍵盤の距離感覚には感嘆してしまいます。
最初っから見えてないんだから、と言ってしまえばそれで終わってしまうのだけど、わたしのような凡人の想像の域を超えてしまっています。
そして暗譜への努力と根気と、その記憶を持続させるための毎日の練習、それを思うだけでクラクラしてしまいます。
また、彼の歴代の先生方、そしておかあさんは、彼のピアノを支え続けてこられました。その忍耐は言葉に表すことができるようなもんではなかったと思います。
それだけではなく、彼に過酷な練習を強いるのではなくて、自由に好きな曲を弾かせてあげる方法を取られたというのを読んで、
ピアノを教える立場の者として、ちょっと歩みを止めて考えるヒントをもらったような気がしました。

今回のコンクールの審査員から非公開に、彼が選ばれたのは純粋に彼の音楽が評価されたからだ、というコメントが出たそうです。
最終予選に加わるオーケストラの指揮者ジェームズ・コンロン氏は、ピアニストとオーケストラの間に立って、非常に公平に、冷静に意見を伝え、なによりも一番に、ピアニストがのびのびと演奏できるように気を配ってくれる素晴らしい音楽家です。
彼もまた、辻井さんの音に対する純粋な情熱と、計り知れない能力に、指揮をしながら全身に鳥肌を立てたひとりでもあります。

目が見えない→暗闇、と連想するのはわたし達であって、彼には暗闇というもの自体が存在しません。
彼が感じる無数の色は、彼の指先からピアノの鍵盤に伝わり、ホール全体の空間に注がれていくのです。
その色彩のシャワーを心地良く浴びながら、彼と一緒に、彼が奏でる音を楽しむことができる観客は、本当に幸せな気持ちになれると思います。

ラッキーなことに、彼はアメリカの聴衆がとても気に入ったようで、またきっとアメリカに戻ってくる、と宣言してくれたそうです。
カーネギーに来てくれたら、絶対絶対行こう!と心に決めながら、またもう少しYouTube巡りをしようと思います。


追伸

高校生だった伸行くんに、ある日おとうさんはこんなことを聞いたそうです。
「もし一日だけ目が見えるようになったらどうする?」
すると伸行くんはこう答えたそうです。
「べつに目が見えなくてもいいけど、そうだな、もし一日だけ目が見えるようになったら、僕はおかあさんの顔が見たい」

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It's a Small World!

2009年06月08日 | ひとりごと
明日ですねえ、ほんとに来ましたねえ、いえね、ちょっとビビってますよ旦那、マジでほんまに家なんか買うてしもて大丈夫かなあって今頃ブツブツ言ってます。

さて、その家の売り主側のエージェントは、ずっと長年住んでいた女性の孫娘さんでして、とどのつまりは、遺産として受け継いだ娘の娘さんです。
彼女(スーエレン)はとても気さくな人で、今までにも何回か会っていろいろと話をしてきました。
先週の火曜日に、先日売れた隣りの土地の芝刈りをするってんで、我々もそれに便乗して、家の一階の床直しのための見積もりをしてもらったのですが、
なんとなくまた家の中に入って、いやあ、いよいよだねえ、なんて話をしていた時に、
「あ、そりゃそうと、最近ジェームズって男性から電話がかかってこなかった?」と、スーエレンから突然聞かれました。
「いいえ」と答えると、「絶対に近々かかってくるからね。そしたらそれはわたしの叔父だから、怪しい者じゃないから安心してね」と言ってケタケタと笑い出しました。
なんのこっちゃと思いながら、旦那とふたりで彼女が笑い終わるのを待っていると、
「あのね、こないだ叔父がうちに来てね、そりゃもう嬉しそうに、おい、息子達のピアノの先生を見っけたよ。それがさあ、めちゃんこいい先生らしくて……」
と、それから延々と上機嫌で、その、まだ会ってもいない、けれども息子の友達の父親から評判を聞いて、すっかり気に入ったピアノ教師の話をし続けたそうな。
「んでもってさ、その彼女、モントクレアに住んでんだけどさ、近々引っ越すらしくて……でも、そんなに遠くじゃないって話だし。あ、名前が変わってんだよ、ちょっとドイツっぽいスペルでさ、あんまりないよね○○ってのは」
その○○を聞いた彼女、胸をドキンとさせながら、「ねえねえ、ファーストネームは?」と聞いたそうです。すると……ぴったんこ、わたしの名前でした!
「ちょっとちょっと叔父さん、今度、あなたのお母さんの家を買った人が、まさにその人だよ、きっとそうだよ、だって名前も一緒だしピアノの先生だし」
もうそれから大いに盛り上がり、孫の8才の双子の坊や達は、おばあちゃんのお家に行くんだ~とピョンピョン跳ねて喜んでいたそうです。

そして今日、明日の契約日の時間が重なってしまうってんで、日にちを変更させてもらった隣町に住む生徒さんの家に行ってきました。
最近リストラされてしまって家で主夫をしているお父さんが、3人の子供達の世話をしています。
少し前に、近所に住む息子の友達兄弟が、ピアノの先生を探しているというので、そのお父さんがわたしのことを紹介してくれていました。
そろそろ連絡が来るはずだと聞いていましたが、この時期、長い夏休みなどがあるため、秋に入ってから習い始めたいと思う人も少なくないので、
向こうの都合もあるだろうし、まあ、向こうから連絡が入るまで待った方がいいと思っていました。
そしたら今日、
「まうみ、まったく世界はちっちゃいよ。びっくりしたよ。あの、僕が紹介した兄弟、実は双子なんだけど、まうみが明日買う家の孫だったんだよっ?!」
「えぇ~!!その彼らはあの彼らだったのかぁ~!!」

なんという縁。なんという偶然。とても楽しくなりました。
どっちもピアノを習うのは初めてという坊や達です。会うのが楽しみだなあ


これは付け足し。
今日、とうとう、ドタキャン女王の大人の生徒さんに、柔らかく穏やかに、けれどもきっぱりと、三行半を突きつけさせてもらいました。
例の、先週行くと、きれいにコーティングした爪をヒラヒラさせながら玄関先でキャンセルした女性です。
昨日の今日、先週の今週、今日は大丈夫だろうと思って行くと、今度は姿が無かったのでした。
英語の話せない掃除婦さんが出てきて、とにかくわたしの名前を覚えてもらって、来たことだけを伝えてと言っておきました。
半時間ほど経って「ごっめぇ~ん!またやっちゃったぁ~!あのね~、息子が急に学校休んじゃってね~、それですっかり忘れちゃってぇ~」ということでした。
わたしは静かに、「あのねキャロル、ピアノを通じてあなたとわたしはつながったのだけど、こういう状態の関係はとりあえず一度切った方がいいと思う。多分あなたの暮らしの中に、まだピアノという物事を加える余裕が無いのだと思う。ちゃんと整理して、ちゃんと考えて、やっぱりどうしてもやりたいと思ったらまた連絡して」と言って電話を切りました。
ちょっと辛かったけど、気分はさっぱりしました。これでもう、毎週のように、どうだろうか、大丈夫だろうかと心配しなくてもよくなりました。
そして、そういう彼女から勧められた、同じような感じのひとがまた生徒になる、という恐れも無くなりました。

さあて、明日はとうとうのとうとうの日です。
朝の10時に、『これを本当に買います式』があります。我々が、ふたりのエージェントの立ち会いのもと、家の中、周りをぐるりと一回りしながら、いろんな所をチェックしていき、本当に買おうと決めます!、と宣言をする式だそうです。
それから4時間後に、今度は双方の関係者皆が集まり、契約書にサインし、家の鍵を渡してもらいます。ちょっとドキドキしています
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嵐の前の静けさ

2009年06月07日 | ひとりごと
昨日今日と、旦那はマンハッタンに出かけています。鍼セミナーです。朝の9時から夕方の5時まで、日本式の鍼灸についてのいろいろを学んでいます。

なので昨日は、わたしの演奏研究会と旦那のセミナーの後で待ち合わせをして、あるバーのハッピーアワー(飲み物が半額になる)でハッピーに、控え目に(だってローンが始まるんだもんね~)夕飯を食べ、バスに乗って家に戻りました。

息子Kは昨日から、クィーンズの友人ちに泊まりがけで遊びに行ってます。昨日は初めてKの運転する車に乗っけてもらい、マンハッタンで降ろしてもらいました。
彼の別の友人が助手席に座っていたので、わたしは後部座席。リンカーントンネルの手前のスロープから見えるビル街を眺めながら、こんな日が来たんだなあ~とぼんやり考えていました。
今日は朝から家の中にひとり!めっちゃくちゃ久しぶりのひとり
本来ならば、せっせと荷造りやら片付けやらをするべきなんですが、このひとときをそんなことで過ごすなんてどぉ~してもイヤで……、
朝からパソコンでインスタントに観られる映画を二本(旦那が絶対に嫌いなタイプのもの)を観たり、伴奏バイトの練習したり、猫と寝転がったり、
こう言っちゃなんですが、至福の時を過ごさせてもらっています
今日は日曜なので、あのスパニッシュの元気印二人組の職人さんもいないし、上の大家さん夫婦も教会に行っていないし、そして旦那も息子もいない!
あ~のんびりするわ~。

練習している曲の中に『Take the "A" Train』があります。日本でもおなじみのジャズのスタンダード。
コードをつかむのが大変。慣れるとどぉってことないんですが、この曲はテンポが速いので、考えたり読んだりしている時間がありません。
ジャズのスケールやコードに精通している人なら、フンフン♪って感じで気分良く弾けるんでしょうけど……。
でも、とりあえず練習で弾けるようにはします。けれどもどうしてもちょっと、なんというか、舞台に上がった時に客席を見ると気が引けてしまいそうです。
なぜかというと、その学校の生徒やその家族に、黒人の人達がとっても多いからなんです。
これは偏見とか差別とかではなくて、純粋に、遺伝子的に、ある特定のリズムやメロディに馴染んでいる、という事実を目の当たりにしたわたしが思うことです。
ウィーンの市民がワルツに、お隣のジャマイカ人の夫婦がレゲエに、友人のアフリカンアメリカンがジャズに聞き入ったり演奏したりしている時の自然さ、
あの自然な動きや反応や雰囲気は、練習や訓練をいくら重ねてもかなわないと感嘆させられるものがあります。

でもまあ、どこから見ても東洋人のおばちゃんのわたしが、ブラックソウル満点の『A列車に乗ろう』を弾く方がケッタイなことなんで、
ここはもう開き直って、まうみ版『A列車』に乗ってもらうしかありません。ね、ね、それでいいですよね。

明日からの二週間は、怒濤の嵐のような毎日になります。
今日はそれに耐えられるよう、体力気力を蓄える日、ということで、思いっきりダラダラしている自分を許してあげようと思います
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表現者として

2009年06月06日 | 音楽とわたし
うっかり見過ごすところでした、今日のACMAの演奏ミーティング。
いつも毎月第二土曜日の夕方にあるので、hon de na, hon de na, nippon cha cha cha ←すみません、ちょっと席を外した隙に旦那が……アホです……

オホン、気を取り直して、ええと、そうそう、ミーティングの話です、今月だけ第一土曜日に変更しているのに全く気がついていませんでした。
連弾の相棒のジェーンが、今月のミーティングでショパンのバラードの2番と、バイオリンソナタのピアノパートを弾くために、頑張って練習しているうちに、肘から手首にかけての親指側の筋を痛めてしまい、どうしよぉ~とメールを送ってきました。
そりゃ、そんな大曲をガンガン弾いたら痛めるわなあ~と思いつつ、わたしに思いつく範囲のリラックスの仕方や、背筋などを使う方法を伝えたら、
ありがと、やってみるけど、でももう明日なんだよね、ミーティング……え?マジ
ということで、お詫びに出番直前までスペシャルマッサージをしてあげることにしました。ほんでもって譜めくりも。

さて、今日の演奏は多彩なプログラムで、ピアノソロが三曲、フルートとピアノのデュオ、クラリネットとソプラノとピアノのトリオ、ヴァイオリンとピアノ、チェロとピアノ、ソプラノとピアノetc.と、この会が順調に発展しているのを象徴しているような演奏者の顔ぶれでした。

ただひとつ、ここだけの秘密で文句言います。
ベートーヴェンのソナタ18番を弾いたあなた、あれはいかんのじゃないですか?いつ弾こうと決めたのですか?まさか初見じゃなかったですよね?
楽譜をつっかえずに弾けたとしても、音が全然息をしていなかった。ものすごくのっぺら~としていて単調で退屈で無機質だった。
弾いているあなた自身もそういう感じだったから、もしかしたらあれがあなたのスタイルなんでしょうか?
ピアノは赤ちゃんでも指で押したり叩いたりしたら音が出ます。うちの猫だってたまに弾いてます。
だからって、鍵盤の上で指がひらひら動いたらいいってもんじゃないですよね。叩きゃいいってもんじゃないですよね。
普段、他の人達の演奏について、けっこう辛めの感想を述べたり鋭い質問をするあなただから、いったいどんなピアノを聞かせてくれるのかと思いきや、
あの十分近い時間の、わたしだけじゃない(これにはかなり自信があります)聞き手の苦痛を、本当はあなたに伝えたかったです。

あとひとり、これはもう好みの問題になってしまうので、あくまでもわたし個人の好き嫌い。
演奏中、肩をギュイギュイ上げたり下げたり、いつだって上半身にものすごいテンションがある女性がいます。
彼女は今日、ドビュッシーのReverieという、墨絵のような、幻想的な、メランコリックな小曲を弾きました。
けれども、彼女の体はグネグネとうねり、メロディの長い音符を押さえ込んだ後、必ず手のひらをブルブルと震わせるのです?!
なんて言えばいいのかなあ……弦楽器の演奏者が、長い音にバイブレーションをつけるために手首を揺らす、あの感じです。
もうこりゃ目をつむって聞くっきゃないと観念しました。目を閉じると、なかなかにすてきなドビュッシーの音色が聞こえてきました。

いろんな人がいます。わたしだって、他の人から見たら、なんか変?って思われるところがあると思います。

でも……ひとに聞いてもらう演奏をする時はやっぱり、自分だけの楽しみや慰みで終わっちゃいかんと思います。
例えたったひとりの聴き手でも、楽しんでもらえるよう、工夫したり控えたり、いろんなことを練りながらバランス良く表現できたらいいなあ。
それによって、なにかを感じてもらえたり、感じ合えたり、互いの心に響くなにかがそこに存在するんじゃないのかなあと思います。

偉そうに言ってますけど、わたしもまだまだ修行の身、今日のジェーンを見習って、もっともっと練習に励まにゃ~!と心に誓ったわたしです


付け足し

カーネギーホールのウェブサイトとポスターの掲載場所に、我々のコンサートの案内と、演奏者名が載っているそうです。
弾きたきゃ誰でも、お金さえ払や弾けまっせ~。そう言ってしまったら元も子もありません。とりあえず実績とかも審査されるんですから。
ここは素直に、無邪気に、わ~いわ~いと嬉しがることにします。わ~いわ~い
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自分だってそうだった

2009年06月05日 | 家族とわたし
先日久々にカミナリを落としたわたし。丹田に力を込めて言った「だらしないのもいい加減にしなさい!」が効いたのか、Kが少しまともな生活に復活しました。

昨日も今日も夕飯を一緒に食べ、荷造りを少しだけ進め、携帯電話のリニューアルの手続き(わたし達の分も)を一手に引き受け、
なんと今日などは、旦那の事務処理の手伝いまでしています。単純というか素直というか、まあ、これが続くかどうかは怪しいところですが……。

Kの部屋は台所からの続きにあって、一階には廊下が存在しないため、彼の部屋に一度入ってクローゼットを通り抜けないことにはわたしの部屋には行けません。
それで、ちょくちょく彼の部屋に一瞬だけ入ることになるんですが、どんなにそっとドアを開けても、ベッドで寝ているKが「うん?」と体を起こそうとします。
なんだかとても中途半端で、可笑しくて、見ているこちらがなんのこっちゃ?と思ってしまうようなKの反応。
それを見ていて、あることを思い出しました。

一家離散で親無しっ子になったわたしを、父方の伯母がしばらくの間だけ彼女の家に置いてくれたことがあります。
その時のわたしはとてもとても疲れていて、神経がヒリヒリと逆立っていたので、夜になってもなかなか眠れませんでした。
それで、当然朝になっても目が覚めにくく、ひどい時にはお昼近くまで、うとうとしながら布団の中に潜っていました。
でも、心の奥底では、自分は居候なのにという引け目を感じていて、こんなふうに寝ている自分を見てさぞかし伯母は腹を立ててるだろうなと心配していました。
洗濯物が入ったカゴを抱え、二階のベランダに干しに階段を上がってくる伯母の足音が聞こえると、早く起き!起きなあかんやんか!と自分に言うのだけれど、
目がどうしてもちゃんと開かなくて、惚けたような顔をして布団の中でうごめくわたしを、伯母はよく、小さなため息をつきながら見下ろしていました。
たまに、「なんちゅうアホみたいな顔してんの」と言いながら、情けなさそうな顔して笑っていたっけ……。

きっとKも、心の中では、こんなこっちゃアカンと思っているのだなあと、ふと今日は、そんなことを考えました。
けれども、なかなかちゃんとできないでいる自分を気にしていて、それを見て、親がかなり呆れているのも知っていて、だから深く眠れないでいるのだなあと、
あの時の、伯母の家の二階六畳間の、綿がいっぱい詰まった重たい掛け布団の中で困っていた自分がKの中にいて、ごめんなって言っているような気がしました。
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五十肩

2009年06月05日 | ひとりごと
YMCAの会員になって、その建物の中にある施設をフルに活用しようと意気込んで申し込んでは尻切れとんぼ。
毎月の会費は四千円ちょっと。一日中なんでもかんでも好き放題使え、エクササイズのクラスにも通え、プールの後にはサウナでぐったり、もとい、ゆったり、
お得だといえばお得だけれど、気がつけば片手の指の数も行っていないという月が続き、そのうち一度も行かなくなり、銀行からお金が引き落とされていくだけ、
という状態になり、そこで一時退会。半年の間に復活すれば入会金が免除されるので、おずおずと再入会、そして……また足が遠のく……。
そんなことを繰り返していましたが、ひょんなことから知ったピラテス、これだけはなぜか続けることができ、二年ほど前からまたYMCA通いが始まりました。
どうせ会費を払うなら、ピラテスだけに細々と通う(週に二回)より、ジムやプールにもと欲を出し、見よう見真似でマシーンを使ったわたし。
説明をちゃんと聞いていなかったからか、妙にひねったからか、アッと思った時にはもうすでに遅し……二の腕の根元に痛みが走りました。

それから少し様子を見い見い、ピラテスだけには通っていましたが、痛みはどんどん増すばかり。しまいには左腕がほとんど上がらなくなってしまいました。
なので、ブラジャーのホックもままならず、壁を利用して片手だけでつけたり、家から出ない日は無しで過ごしたり、
本当は旦那に言って、鍼を打ってもらえばいいのに、マシーンの誤使用で自分自身を傷つけたってのがバレるのがイヤで、かなり長い間黙っていました。
でも、そりゃ分かりますよね、動きを見りゃ。それでも半年ほど隠していたんですけどね。
鍼の治療を何回か受けて、かなり楽になったのだけど、それでもまだ少し違和感が残っていました。
結局、1年ほどの間に少しずつ少しずつ、踵擦りの軽石みたいに、気がつかないけど確実に痛みが減っていき、しまいにはまったく消えていました。

そして……それからしばらくすると、今度は急に右肩の端の、少しポコンと骨が出ている所が痛み始めました。
そんな所を打った覚えも無いし、運動やジムで妙な姿勢をした覚えもありません。
けれどもとにかく痛くて、右の方に向いて寝ることができなくなってしまいました。
その痛みはどういう痛みかというと、打ち身っぽい、普段にまでジクジクと痛まないけれど、押さえたり重みをかけたりした時に感じる程度のものです。
それもここ最近、気がつくとかなり痛みの強さが減っていました。これに関しては何もしていません。鍼も打ってもらっていません。
いったいなんだろうなあ……と思っていたら、昨日、五十肩という名前の医療相談の記事があり、ピンとくるものがあったので覗いてみました。

なぁ~んや、わたしもちゃあんと五十になってたんやぁ~……と、しみじみと納得した朝なのでした。
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ちょっとだけ、スッキリした

2009年06月04日 | ひとりごと
時々、ほんとになんにも考えたくなくなると、毎日新聞のコラム『女の気持ち・男の気持ち』をほんの少しだけ、ぼ~っとしながら読みます。
広島在住の56才の女性が書かれたこの気持ち、同じ立場でも状況でもないけれど、しんみりした後、クスッと笑わせてもらったのでお裾分けです。


『人生最悪の時である。

家族4人。母は認知症の90歳。夫は、中小企業を早期退職し、起業家を夢見て、いまだ夢の中を走っている。息子は30歳過ぎて独身。この3月にリストラにあい、一日中家にいて、「就活」する気配もない。下宿人だとて朝のあいさつはするだろうに、話しかけてもほとんど会話にならない。彼には彼のストレスもあるのだろうと黙認し、食事と洗濯だけは、してあげている。
 
私はというと、五十肩に悩まされ、今や全身が痛い。夜になると無性にこの世の無常が感じられる。こういうのを更年期障害というのだろうか。まるで、現代の「困った家族」の典型的なモデルみたいである。

他県に嫁いだ娘は仕事のストレスで不眠症に悩まされ、そのいら立ちを私に向ける。思春期をうまく切り抜けたと思っていたら、まるで季節外れの反抗期である。
娘が私に投げつける言葉は、私が母に言っている言葉のコピーである。「順送り」とはよく言ったもので、母もそう言う。母は、娘と孫の区別もつかないのに、言うことだけはしっかりしているから、余計に腹が立つ。

洗濯機に向かって、ふと思いついた。おしゃれが命の息子のパンツをくるくる丸めて、汚れた足ふきマットと一緒に洗ってやった。

ちょっとだけ、スッキリした』


ここにもひとり、おしゃれが命の若者がいます。ヤツは今だに、夜遅く(時には明け方)まで遊び、お昼過ぎまでグウグウ寝ていたりします。
学生にとっての夏の必須事項、バイト探しはしていますが、まだ決まっていません。
引っ越しの手伝いは……かなりやかましく言うと15分ぐらいはしますが、そこから長い長い中断があり、全然はかどっていません。

わたしもちょいと、汚れた雑巾と一緒に洗っちゃおっかな。
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