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西加奈子『ミッキーかしまし』

2007-12-05 16:50:59 | ノンジャンル
 西加奈子さんの初のエッセイ集「ミッキーかしまし」を読みました。ウェッブに掲載されていたものとのことでしたが、普通の印刷媒体に載せられたエッセイと何ら変わるところはありませんでした。
 いくつかの仕掛けがしてあって、本文にちなんだ挿絵に謎の一言(「8(水)屋形船 19:00品川東南口」とか、「1300 1430 荻窪(路上)」だとか、待ち合わせの場所と時間と思われるもの)が添えられていたり、各章の題字が妙に汚かったり、怖い挿絵があったり、と謎のまま過ごすしかないようなものがいくつかありました。
 内容に関しては著者の身の回りの話がほとんどで、面白かった話は本屋で領収書の宛て名を書く仕事をしていた際「グラハム・ハンコック『神々の指紋』を買いに来たボーイさんの『スーパーモンキーズ様」は気になります。何故『神々の指紋』、そしてスーパーモンキーズは、どんなお店ですか? 神々に対抗して、超類人猿なのですか?
 『へらぶな釣り』を買いに来たオカマの『モウ獣広場様』、それ領収書切っていいんですか? 店に置くの? 猛獣と書いた私に『もうはカタカナでしょう!」と、どうして怒るの? へらぶな釣るなよ。
 宮崎学『突破者』を買いに来た黒服の男の人の「ちゅう ちゅう とれいん様」になると、もう訳が分かりません。」とか、フリーマーケットで大人のおもちゃも出品しているおじさんが若い著者1人で買い物に来ている時「『おっちゃん、それなんぼ?』『(おもちゃを手に取り)これか?』『‥‥違う、時計』『(おもちゃを手に取ったまま)これやろ?』」とか、お父さんの背広について離れない蛾をとろうと羽を引っ張ると「なんということでしょう。とうとう、蛾は、脚を六本、お父さんの背広に残したまま、引きちぎられてしまったのです。」(これは面白いというより、ビックリ)とか、とても庶民的な話題満載です。
 その他にもカンサイスーパーショーの話とか、文末で「加藤登紀子、怖くね?」を連発するとか、結構楽しめました。ただ、あくまでも庶民的ということで、突き抜けた面白さには達してないと思いましたが、皆さんはどうお思いでしょうか?