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福島章『殺人という病』

2010-03-04 14:06:00 | ノンジャンル
 本「狂気な作家のつくり方」の中で挙げられていた、福島章さんの'03年作品「殺人という病 人格障害・脳・鑑定」を読みました。
 著者は、重大犯罪の容疑者の精神鑑定を30年以上続けていく中で、彼らの多くが脳に障害を持っていることに気付き、殺人者に共通する症状をまとめて「殺人者精神病」と名付け、その分析を行います。その特徴としては、殺人者の多くは自殺願望を抱くこと、幼児期に外傷的な体験に曝されていること、脳の微細な異常所見を伴うことなどであることが明らかにされます。また、彼らは犯行前に、解決困難な特別なストレスにさらされ、その解決が不可能となり、外界の刺激とはまったく不均衡で不適切な行動を、衝動的・突発的に選択したと考えられ、また、精神障害者はそうでない人と比べて殺人を犯す割合が高いこと、また重大な犯罪になるほど精神障害者の占める割合が高くなることなどが指摘されます。
 この本自体が研究者向けの論文を集めた本であるので、何の説明もなく専門用語が多く使われ、精神病に対してはほとんど素人である私が読んだ限りでは、すべてを理解することはできませんでした。が、それでも、日本では精神障害者は全人口の2%を占めること、最近は重大・有名事件の犯人は罰する必要があるために完全責任能力者だと恣意的に判断されてしまう傾向が非常に強くなっていることを知って驚くとともに、著者の「犯罪心理学入門」という本は読んでみたくなりました。ということで、精神病や殺人の機制に興味のある方にはオススメです。