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浜なつ子『アジア的生活』

2009-04-25 15:06:00 | ノンジャンル
 21日の朝日新聞の夕刊にホーキング博士が体調を崩して入院したという記事が載っていました。かなり重い症状とのことです。しかし驚いたのは博士の年齢が67才ということ。若い頃に難病を発症した時には、余命いくばくもないと言われていたにもかかわらず、老人と言える年齢まで活躍できたことは、晴らしいと思うと同時に、その意思の力の偉大さにただ敬服するのみです。

 さて、浜なつ子さんの'00年作品「アジア的生活」を読みました。主に東南アジアを取材してまわった時に書かれた文を集めたものです。
 読み始めて、上海ではパジャマで街を歩くのがはやっているという部分を読み、面白そうだなと思ったのも束の間、すぐに読む気がうせてしまいました。それは、これまで浜さんが他の本で書いてきたことと重複する内容であることもありますが、一人称で書かれた日記風の文章のつまらなさが原因でもあり、また必要以上に詳しい風景描写、変に思い入れを込めた、ひとりよがりの文章の重さも要因の一つであったかもしれません。ところどころに掲載されている写真の中にはかなり魅力的なものもあり、もしこれが高野秀行さんの本なら随分楽しめて読めただろうに、と思ったりもしました。
 しかし、東南アジアのことをほとんど知らない方にとっては面白いかもしれません。そういう方にはオススメです。

誉田哲也『ヒトリシズカ』

2009-04-24 18:16:00 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊にジャック・カーディフさんの死亡記事が載っていました。イギリス映画の撮影監督で、その濃厚な赤の色彩(いわゆるビロードの赤)が印象に残っています。まだ健在だったのが驚きですが、何と94才での死去だったそうです。カラー映画の一時代を築いた偉大な一人でした。慎んでお悔やみを申し上げます。

 さて、誉田哲也さんの'08年の作品「ヒトリシズカ」を読みました。
 少女たちをシャブ漬けにして売春させていた男が、被害者の少女の恋人に刺されて殺されますが、殺人現場には警官の娘がいてとどめを刺したことが分かります。その娘・静加は、名前を変えてコンビニに勤め始めますが、同僚が元暴走族の男にレイプされ、その同僚の恋人がその男を殺した際、彼女をかばうために、別の男を犯人に仕立て上げようとします。その後、静加はまた姿を消し、今度は、自分の本当の父である、暴力団関係の男の愛人となり、対立している暴力団を使って、父たちを射殺させ、自分は、腹違いの幼い妹を連れ、また姿を消します。そして成長した妹は結婚し、娘をもうけますが、真相を知った警察に逮捕され、その際、母にすがる娘をダンプから身を挺して守り、命を落とすのでした。
 「武士道セブンティーン」で、すがすがしい青春小説にデビューした誉田さんでしたが、また警察ものに戻ってしまいました。非常に残念です。あらすじから分かるかもしれませんが、ストーリーは錯綜し、理解しがたく、また内容も暗くて、すすんで読もうという気にはなりませんでしたが、一方、文体はとても平易で読みやすいものでした。警察を舞台にした小説が好きな方にはオススメです。

下川裕治ほか『アジア大バザール』

2009-04-23 16:50:00 | ノンジャンル
 今日、鎌倉ガイド協会主催のイベントに行ってきました。鎌倉時代に作られた釈迦の十大弟子像もすばらしかったのですが、道端のツツジ(ピンクで真ん中が白というもの)の美しさに息を飲みました。鎌倉はどの季節でもきれいな花を見ることができるようです。

 さて、下川裕治さんほかによる'00年発行の「アジア大バザール」を読みました。
 下川さんによるバングラデシュ・コックスバザールへの旅、浜なつ子さんによるビデオレンタル屋の男がフィリピンに移住する話、神田憲行さんによる、ベトナムを取材した近藤紘一さんの家族をパリに訪ねた話、素樹文生さんによる韓国の話、西岡直樹さんによるバングラデシュの一家の話、森川庚一さんによるバングラデシュの田舎の話、戸澤裕司さんによる八重山諸島の写真とその解説、阿部稔哉さんによるイエメンの写真とその解説、岸本葉子さんによる広州の料理の話、駒村尚三さんによるモンゴルの話、門田修さんによるインドネシアの船旅の話、篠原章さんによる沖縄の話、仲村清司さんによる沖縄料理の話、浜井幸子さんによるタイ・ベトナム料理のイラストと説明、田中維佳さんによる中国とイタリアの医者の話、宮田珠己さんによる、南インドに行こうとして散々な目に会う話、大倉直さんによる北海道のガラナ・排雪・ジンギスカンの話、山田均さんによる、バンコクを19世紀に訪れた宣教師パルゴワの足跡を訪ねる話、石川清さんによる雲南から国境を越える旅の話、春田実さんによる、東京でのアジア・ミニコミ誌の話、そして巻末にはアジアに関する情報を得るための窓口が多数掲載されています。
 アジアに関する文章が満載のこの本によって、パリでは若い女性が親切なこと、韓国では日本人と分かる格好をしていると日本語で話しかけられて得することを知りましたが、何といってもやはり宮田さんの文章が異彩を放っていました。体調を壊して南インドへの旅を2度邪魔され、3度目にやっと行けたと思ったら、今度はシャンプーの蓋がはずれてカバンの中がドロドロとなり、熱と頭痛で肝炎と診断され、危うく日本に帰らされる羽目に会うという、旅行記にもなっていないような文章なのですが、独特のユーモラスな文体で笑わされてしまいました。ということで、アジアに興味のある方以外にもオススメです。

ビル・エヴァンス・ライヴ'64-'75

2009-04-22 16:01:00 | ノンジャンル
 今日はアースデイ、地球のことを考えて行動する日なのだそうです。グーグルの表紙で知りました。それにしても、グーグルの表紙は絶妙のタイミングで、様々な絵柄を考えてきますね。それもグーグルで調べたくなるような内容の絵柄を。本当に感心します。

 さて、昨日深夜W0W0Wで、「ビル・エヴァンス・ライヴ'64-'75」という番組を見ました。昨年製作された、ビルのライヴフィルムを集めたものです。
 収録されているのは、'64年のスウェーデンでのチャック・イスラエル(b)ラリー・バンカー(d)との「My Foolish Heart」と「Israel」、'65年ベルギーでのニール=ヘニング・オーステッド・ペダーセン(b)アラン・ドーソン(d)リー・コニッツ(a.sax)との「Detour Ahead」と「My Melancholy Baby」、'70年デンマークでのエディ・ゴメス(b)マーティン・モレル(d)との「Emily」「Alfie」「Someday My Prince Will Come」、'70年スウェーデンでのエディ・ゴメス(b)マーティン・モレル(d)との「If You Could See Me Now」「'Round Midnight」「Someday My Prince Will Come」「Sleepin' Bee」「You're Gonna Hear From Me」「Re:Person I Knew」、'75年デンマークでのエディ・ゴメス(b)エリオット・ジグモンド(d)との「Sareen Jurer」「Blue Serge」「Up With The Lark」「But Beautiful」「Twelve Tone Tune Two」です。極端に猫背で前屈みになり、上体を90度曲げて、頭を鍵盤と平行にして弾く独特の姿勢は、'75年にひげを伸ばし髪もグリースでオールバックにせず自然になでつけている晩年にはかなり影を潜めていました。今までビルの演奏で聞いたことのない曲がいくつかあったように思えましたが、最大の収穫は、同名の映画の主題歌でバート・バカラックの名曲「Alfie」が聞けたことでした。それからちょっと気付いたのですが、ピアノのpとベースのbとドラムスのdはとても似た字で、ビルが目指した対等なトリオの演奏というのは、もしかしたら神の思し召しだったのではないかなんてことも考えたりしました。
 いずれにしても、ビルのファンの方には永久保存版の映像でした。必見です。

誉田哲也『シンメトリー』

2009-04-21 18:30:00 | ノンジャンル
 昨日母と一緒に、厚木に2月にオープンしたネコカフェ「猫助」に行ってきました。オートロックの入り口を通って行くマンションの2階にあり、4匹の猫(子猫1匹を含む)がいました。以前行った町田のネコカフェでは見るだけで全然抱ける感じではなかったのですが、今回は強引に抱いているお客さんもいました。母も抱けばいいのにと思っていましたが、結局抱けず、「もう1回来る?」と言うと、「もういい」とのこと。入場の際に「無理して抱かないでください」という趣旨の注意書きがあったので、それを気にして遠慮したのだとか。「自分の猫だったら、もうむちゃくちゃに抱いてやるのに~」という母なのでした。

 さて、誉田哲也さんの'08年作品「シンメトリー」を読みました。姫川玲子シリーズの短編集です。
 「東京」は男女の三角関係のもつれで虐められていた女子高生が過失で同級生を屋上から落としてしまった話、「過ぎた正義」は女子生徒の強姦犯、殺人犯を処刑していた元警察官の話、「右では殴らない」は自分が一人占めしたい女子高生の援助交際相手にヤクを渡して殺していた男の話、「シンメトリー」は自分の車を踏み切りに乗り入れて列車を脱線させ100人以上の死者を出した男を轢死させた元駅員の話、「左から見た場合」は建材の盗みをネタに脅迫していた男が逆に殺されてしまった話、「悪しき実」は殺し屋から足を洗った男がまた殺しを頼まれるようになったことを苦に自殺した話、「手紙」は掲示板で同僚から虐めにあっていた女が同僚を殺した話です。
 どれもあっけなく犯人が判明し、ドラマチックな展開はありませんでした。このシリーズはやはり長編の方がいいと思いました。(しかし、「ジウ」以外の長編はどれも飛ばし読みしてしまいましたが‥‥。)これだけこのシリーズが続くというもの、それだけ人気があるからだと思いますが、私は面白いとは思いませんでした。警察を舞台にした小説がお好きな方にはオススメです。