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浜なつ子『死んでもいい マニラ行きの男たち』

2009-04-20 17:34:00 | ノンジャンル
 17日深夜の「タモリ倶楽部」で、打楽器専門店をネタにした番組をやっていました。アフリカの打楽器(いわゆる手で叩く太鼓)は、叩き方によって3つの高さの音を出すことができることを、初めて知りました。「タモリ倶楽部」は毎回サブカル的な話題を拾ってくれていて、とても楽しく見させてもらっています。みうらじゅんさんの存在を知ったのも、この番組だったのではなかったでしょうか?

 さて、浜なつ子さんの'99年作品「死んでもいい マニラ行きの男たち」を読みました。日本でホストをしていた男がフィリピンにはまり、そこで生活するようになっていく話です。
 一人称で書かれていて、そこに不自然さを感じました。書かれている内容も、一日に少なくとも2人の女性とセックスするという女たらしの生活で、女性を騙して金品を取るのは当たり前というモラルの持ち主なので、感情移入もできず、最初の部分を少しだけ読んで、後は飛ばし読みしてしまいました。浜さんの作品では「マニラ行き 男たちの片道切符」の方が数段面白かったと思います。ホストの生活に興味のある方にはオススメです。

誉田哲也『国境事変』

2009-04-19 15:08:00 | ノンジャンル
 昨日のフィギア国別対抗女子。真央ちゃんは惜しくも歴代2位の得点で終わりました。2回目のトリプルアクセルが認定されなかったのが原因だと思っていましたが、今日のスポニチに掲載されていた歴代最高だったキム・ヨナ選手の得点と今回の真央ちゃんの得点を見ると、それ以外の要素もほとんどがキム・ヨナ選手の方が上回っていました。これだと、ショートプログラム、フリー合計で3回のトリプルアクセルを決めたとしても、ノーミスのキム・ヨナ選手に勝つことは難しくなります。来年のバンクーバー、どうなるのでしょう。

 さて、誉田哲也さんの'07年作品「国境事変」を読みました。
 貿易会社の社長の在日韓国人が殺されます。脱北し北朝鮮政権の打倒を目指すテロリストは、殺された社長の弟に接触し、社長がアメリカから預かっていたミニ核爆弾を東京から対馬まで運ばせようとしますが、弟を監視していた公安に邪魔され、対馬の民家に籠城することになります。地元の警察、現地に駐屯している自衛隊、弟とともに東京からやってきた刑事と公安により、テロリストたちは包囲され、逮捕されます。そして、彼らにミニ核爆弾を渡す手はずを整えたのは、公安の高官だったことが分かり、その非情さから、同僚から射殺され、事件は揉み消されるのでした。
 読みやすい文章で、飽きさせず、尾行のシーンなどはなかなかの迫真さも加わり、それなりに楽しめました。が、登場人物たちの感情はリアリティに欠け、特に公安の非情さを糾弾するところは、今一つ説得力がないように思いました。ハードボイルド小説が好きな方にはオススメです。

ウィリアム・ワイラー監督『黄昏』

2009-04-18 15:39:00 | ノンジャンル
 山田宏一さんの「恋の映画誌」の文章に触発されて、ウィリアム・ワイラー製作・監督の'52年作品「黄昏」をDVDで見ました。
 ミズーリ州コロンビア市駅で家族に見送られ、シカゴに旅立つキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、車内でセールスマンのドルーエ(エディ・アルバート)に声をかけられた上、10ドルを渡され、夕食にも誘われます。靴工場に勤め始めますが、職長に仕事を急がされて指にケガをし、その場でクビになります。10ドルを返すためにドルーエの指定していた高級レストランに行くと、支配人のハーストウッド(ローレンス・オリヴィエ)に迎えられ、結局ドルーエと食事をした後、彼の部屋に連れ込まれ、愛人にされてしまいます。ハーストウッドは散歩中のドルーエと出会い、彼の部屋に案内され、期せずしてキャリーに再会します。自宅に帰ったハーストウッドは、子供たちとは仲良くしていますが、資産家の妻とは不仲であることが分かります。彼はトルーエが出張中にキャリーを観劇に誘い、その場で愛の告白をします。そして逢瀬を重ねた末、彼はキャリーと結婚することを誓います。妻は夫がキャリーと付き合っていることを知り、これ以上彼女と会えば離婚した上財産を取り上げると夫に警告しますが、彼は妻に決別します。ハーストウッドとキャリーが付き合ってるのを知ったドルーエは、ハーストウッドに妻子があることをキャリーに教え、キャリーは裏切られたと思って泣きます。ハーストウッドは職場の金庫に売り上げを納める時に、うっかりして1万ドルを入れ損ね、それを持って自宅に帰ると、そこには社長が来ていて、不倫を理由にクビを言い渡します。ハーストウッドは1万ドルを持ったまま、ドルーエの部屋にキャリーを訪れますが、キャリーは彼の言うことを聞こうとしません。そこで彼はドルーエがケガをして入院したという嘘をつき、彼女を連れ出して列車に乗せます。そして車上で彼女を説得し、二人はニューヨークで新しい生活を始めます。ハーストウッドは場末のレストランで働き始めますが、持ち逃げ犯とのお触れが出回っており、すぐにクビになります。社長の使いに金も取り上げられ、生活苦にあえぎますが、キャリーは彼を励まし、やがて妊娠します。するとハーストウッド夫人が訪ねてきて、資産を処分してすべて自分のものにするためにサインするようにハーストウッドに迫り、しないと重婚罪で訴えると言います。彼はキャリーの言う通りに、離婚を条件に財産の明け渡しを認めますが、キャリーは直後に流産し、彼女はこれからは若さを武器に強く生きていく決意をします。ダンサーのオーディションに合格し、キャリアを積んでいきますが、ハーストウッドが息子の結婚記事を読んで会いたいと言うと、彼を送り出した後、自分は身を引きます。セレブに囲まれた息子に会う勇気を出せずにハーストウッドが帰ってくると、そこにはキャリーの別れの手紙が残っていました。彼は転落の道を歩み、ドヤ街で浮浪者に成り果てます。楽屋に訪ねてきたドルーエから彼のことを聞いたキャリーは彼を探しますが見つかりません。ハーストウッドは空腹に耐え切れず、金を恵んでもらおうとキャリーに会いに行きます。キャリーはすぐに楽屋に彼を引き入れ、食事の準備などをするため、彼の元を離れますが、その間に彼は小銭だけを貰って、ガス自殺をほのめかし、夜の街に戻っていくのでした。
 まさに典型的なハリウッド製メロドラマですが、主役の二人の魅力で最後まで見せます。ラストシーンで死相の見えるオリヴェエを見て、「一体どうしたというの?」というジェニファー・オニールの悲痛な表情には思わず涙してしまいました。「男と女が初めて出会うとき、仕切りの向こうのバーにいるローレンス・オリヴェイエが仕切りのこちら側のレストランに入ってくるジェニファー・ジョーンズに遠くから寄り添うように歩みに合わせて進むところを移動撮影でとらえた俯瞰気味の映画的構図」(「恋の映画誌」)は、実際に素晴らしく、ここを見るためだけでも一見の価値があると思いました。映画好きな方なら文句無しにオススメです。

浜なつ子『イギリス文学散歩』

2009-04-17 18:30:00 | ノンジャンル
 昨日のフィギア国別対抗、結局最後まで母と見てしまいました。真央ちゃん、ショートプログラムでのパーソナルベスト、良かったですね。バンクーバーでは何としてもキム・ヨナに勝ってほしい、なぜなら真央ちゃんの方が美しいからです! ということで、「今夜はポチタマと男子フィギア、どっち見る?」と母に聞くと、「そりゃあ男子フィギアに決まってる!」とのこと。完全にテレ朝の術中にはまっているのでした。

 さて、浜なつ子さんの'97年作品「イギリス文学散歩」を読みました。イギリス文学史上有名な作家たちの故郷を訪ねて書かれた本です。
 取り上げられている作家は、W・ワーズワース、D・H・ロレンス、E・ブロンテ、B・ポター、J・ミルトン、L・キャロル、A・C・ドイル、C・ディケンズ、W・スコット、J・オースティン、W・シェークスピア、G・チョーサー、A・V・ウルフ、J・M・シング、W・B・イェイツです。和田久士さんによる写真が素晴らしく、特にスコットランドの湖水地方のグラスミア湖、「チャタレイ夫人の恋人」の舞台となったハイ・パークの森に咲く一面の紫の花、「嵐が丘」のモデルとなったトップ・ウィズンズの廃墟、遥かまで広がるダートムアの荒れ地、アラン島の荒波吹きすさぶ荒涼とした風景、イェイツが好んだという、巨木の横たわる森の中の散歩道など、見ごたえ十分です。また、普通なら写真撮影が禁止されているような、作家の生家や記念館での室内の様子や身の回りの記念品などの写真も見られます。イギリスの作家だけでなく、イギリスの風土に興味のある方にもオススメです。

誉田哲也『ソウルケイジ』

2009-04-16 14:05:00 | ノンジャンル
 誉田哲也さんの'07年作品「ソウルケイジ」を読みました。
 左官屋の三島耕介から、親方の高岡賢一のガレージが血の海だという通報が、警察に寄せられ、その後、多摩川土手付近に放置されていた高岡の車から高岡の左手首が発見されます。警視庁の姫川玲子は、捜査を続けるうちに、三島の父親が多額の借金を抱えたまま、建築現場で転落して死亡し、会社に出入りしていた元暴力団員の戸部真樹夫が彼に掛けていた保険金で借金が返されていたこと、高岡には事故で寝たきりになっている息子がいて、その入院費を都合するため、やはり戸部の手配で、自殺した別人に成り変わり、自分は死んだことにして、保険金を受け取っていたことなどが明らかになります。そして、三島の父と同じように戸部によって父が自殺に追い込まれ、その後も戸部に脅迫されて体を弄ばれていた若い女性の存在を知った高岡は、戸部を衝動的に殺害し、その後死体を切断し、それを自分の死体と警察に思わせるために、自分の左手首を切断し、車に遺棄していたことが判明しますが、その時には既に高岡は隠れ家で死んでいました。玲子は高岡の父性を思うとともに、反発し続けていた年上の同僚に対しても、彼を人の親として見ることによって、距離を少し縮められたような気がするのでした。
 三島の父が建築現場で転落する冒頭のシーンから、ぐいぐいと読む者を引き込んでいきます。姫川とその部下の井岡とのコミカルなやりとりが、「武士道シックスティーン」の磯山と西荻の会話を彷佛とさせ、ここにその起源を辿ることができました。繰り返されるどんでん返しと言い、平易な文体と言い、楽しめる一編です。誉田哲也さんの作品としても最良のものの一つなのではないでしょうか。残酷なシーンにも耐えられる方にはオススメです。