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生野慈朗監督『いこかもどろか』

2009-09-15 16:43:00 | ノンジャンル
 今日、富士急ハイランドで新アトラクション「鉄骨番長」に乗ってきました。1時間半待ちで、昔からある遠心力を利用したブランコを高くしただけのものでした。それよりも3時間待って乗った「ええじゃないか」は床のないジェットコースターで、椅子が縦に回転し、頭から地面に落ちて行くというとんでもないもので、大いに笑いました。人類が自分の楽しみのために発明した最大のものの一つなのではないかと思いました。

 さて、山田宏一さんが「山田宏一の日本映画誌」の中で絶賛していた、生野慈朗監督の'88年作品「いこかもどろか」をビデオで見ました。
 女に金を貢いで暴力団に借金した田口(明石家さんま)は暴力団から指南されて1億円入りのカバンをひったくりますが、すぐに女(大竹しのぶ)にそれを横取りされます。公衆電話にいる時にバスに乗る女を発見した田口は女の部屋に上がり込み冷蔵庫に隠した1億円を見つけますが、女は警察に通報すると脅して、金を山分けして足りない分を彼女の前の職場に強盗に入って手に入れることを提案します。そこで新たに1億円を手に入れますが置き引きにあって、その犯人を東北新幹線の中で捕まえ福島で降りますが、そこからレンタカーで東京に帰る途中、男女の強盗殺人犯に間違えられて逃亡し、山中の温泉宿を経由してトラックの荷台に忍び込み青森まで来てしまいます。職務質問されて逃げ出した二人は展望台で待ち合わせることにして二手に分かれて逃げますが、田口は刑事に捕まり暴行された上1億円をネコババされます。展望台にかかってきた電話で田口の元に駆けつけた女は重傷の田口を入院させ、金が刑事の元に渡ったことを知って、田口の復讐のために金を取り戻すことを決意します。警察に忍び込んだ女は金を盗み出すことに成功し、追ってきた刑事の車も崖から転落して炎上し、二人は坂を車椅子で転がり降りて海に飛び出すと、それはジェットコースターに乗る二人の姿に変わるのでした。
 山田さんが書いているように、大竹しのぶはとても魅力的でした。彼女が新幹線の中で置き引き犯の頭を突然フライパンで叩くところなど抱腹絶倒もので、そのコメディエンヌぶりは見事でした。明石家さんまの演技に辟易しない自信のある方にはオススメです。

長谷川まり子『それ行けアジア』

2009-09-14 18:17:00 | ノンジャンル
 長谷川まり子さんの'97年作品「それ行けアジア 中国・チベット・ネパール・インド陸路の旅」を読みました。題名の通り、著者が中国からチベット、ネパールを経てインドへと陸路を旅したことについて書いた旅日記です。
 この本で新たに知ったことは、神戸から上海に行く旅客船・新鑑真号では船員と客が親睦を深めるためのカラオケ大会が開かれること、上海の露店が並ぶ通りには体重と身長を測る(しかもサバを読んで測る)店があること、海外での日本人旅行者のイメージは「優柔不断だから体よく使えば重宝する。言葉のできない奴が多いから喧嘩してもたやすく丸め込める」というものであること、チベットの人は立派な仏壇を誇りにしているので、家を訪問するには「仏壇を見せてください(チベット語でチューシュン・テンローナン)」と頼むのが一番であることなどでした。また、長谷川さんのライフワークである、ネパールやインドの貧しい地域から売春婦として売られて来る少女たちのことについても詳しく記述されていました。
 著者の写した写真も豊富に掲載され、イラスト(というかマンガ)が一つの文章につき一つずつ書かれていて、軽く明るい印象を与える本になっていました。中国、チベット、ネパール、インドに興味のある方にはオススメです。

阪本順治監督『闇の子供たち』

2009-09-13 15:15:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、阪本順治監督の'08年作品「闇の子供たち」を見ました。
 ミャンマーやタイの田舎からチェンマイに連れて来られる子供たち。タイに派遣されている新聞記者の南部(江口洋介)は子供の臓器移植の取材をしているうちに、子供が生きたまま臓器を摘出されている事実を掴みます。ポリ袋に入れられた状態で家に運び込まれ、狭い部屋に大勢監禁され売春を強要されている子供たち。エイズにかかりポリ袋に入れられて捨てられた少女は袋から這い出してやっと故郷の村に辿り着きますが、ひからびて死んでしまいます。トランクに少女を入れて部屋に持ち込み性行為に及ぶ日本人。売春宿にいる少女から社会福祉センターに手紙が届き、日本から派遣されていた恵子(宮崎あおい)らはその売春宿に向かいますが撃退され、恵子はセンターの副所長から南部の取材に協力するように言われます。移植手術の依頼者である梶川(佐藤浩市)宅を南部と恵子は取材で訪れますが、恵子が梶川に激昂したため追い出されてしまい、恵子は南部と袂を別って福祉センターに戻ります。南部は刑務所にいたカメラマンの与田(妻夫木聡)を保釈させて雇い、臓器売買の証拠写真を撮らせます。そんな折り福祉センター長が射殺され、南部も殺し屋に取材を止めるように脅されますが動じません。手紙をくれた少女がいる売春宿を張り込み、少女がポリ袋に入れられてトラックに乗せられたところを押さえた恵子は少女を助け出します。そして児童売春反対の集会の日、売春宿は摘発され、臓器摘出のために病院に運び込まれていた少女も助け出されますが、南部は自分が児童売春をしていた過去がフラッシュバックされ慟哭するのでした。
 子供たちが虐待される場面は、子供たちのあどけない表情が見事に写し出されているだけに悲惨この上なく、ショッキングでした。南部の過去が暴かれるラストも衝撃的で、見る立場に自分を限定する彼の動機がそこで明らかにされていました。児童の人身売買に興味のある方にはオススメです。

吉田修一『パレード』

2009-09-12 17:00:00 | ノンジャンル
 本「顰蹙文学カフェ」の中で山田詠美さんが好きだと言っていた、吉田修一さんの'02年作品「パレード」を読みました。5人の登場人物が順に語り手になる小説です。
 「杉本良介」は、東京で3人と部屋をシェアして暮らす大学生のぼくが、先輩の彼女と一夜を過ごした翌朝、自分を東京に出してくれた寿司屋の父と、応援して東京に送り出してくれた後交通事故死した同級生のことが頭に浮かび涙が止まらなくなった話。
 「大垣内琴美」は、3人と部屋をシェアしながら、売れつつあるタレントの恋人からの電話を待つだけの生活をしている私が、同居人が酔って連れてきた青年と時を過ごした話。
 「相馬未来」は、私が連れてきた18才の男娼・サトシをめぐる話など、様々なエピソード。
 「小窪サトシ」は、人の家に忍び込む趣味を持つオレが、良介にもらした一言で良介に習って大学受験の勉強を始める話。
 「伊原直輝」は、ジョギングの途中で今までと同じようにコンクリート片で通りすがりの女性の顔をつぶしているところをサトシに見つかり、俺が既に犯人であることを他の3人は知っていると告げられる話です。

 始めのうちは楽しく読めていましたが、最後のエピソードで一気に気持ちが冷めました。確かに面白い小説ではあるのですが、文学的すぎて私には付いていけない部分があったように思います。「文学」が好きな方にはオススメかも。

クロード・シャブロル監督『石の微笑』

2009-09-11 17:40:00 | ノンジャンル
 WOWOWで、クロード・シャブロル監督の'04年作品「石の微笑」を見ました。
 フィリップは妹のソフィとパトリシアとともに、母が付き合っているジェラールに会いに行きますが、あまりいい印象は抱きません。まもなく母とジェラールは別れ、ソフィの結婚式が行われます。付き添い人としてそこに来ていたセンタはフィリップに一目惚れし、強引に彼をベッドに誘い彼も応じます。彼女の話は途方もないものばかりで、愛の証しのために殺人をお互いに実行しようと言われたフィリップがそれを拒むと、彼女は自分の部屋から出ていくように言います。しばらくしてフィリップの家に彼女が現れると、二人の愛はまた再燃し、フィリップが彼女の家にいたホームレスを殺したと嘘を言うと、翌朝に彼女もジェラールを殺してきたと言います。その日の午後、フィリップはジェラールの家に様子を見に行くと、出先からジェラールが帰ってきて、フィリップはやはり彼女は嘘をついていたのだと安心します。しかし、パトリシアが万引きをして警察に呼ばれ、主任からジェラールの家に滞在していた人物が今朝殺されたことを知らされ、その後センタに電話した後に、入院して姿を消していたというホームレスに声を掛けられると、フィリップはホームレスに金を渡して遠くへ行くように言い、センタの家に向かいます。センタは以前にボーイフレンドを横取りしようとしたので殺したという女性の遺体を見せ、一緒に森に運んでくれと言いますが、フィリップは二人でここを出ようと言い、彼女の部屋に入ると、外では彼を尾行していた警察が包囲網を敷いているのでした。
 センタの狂気の愛が見物です。最初に登場した時から「ミザリ」的な雰囲気を醸し出していましたが、ラストへ向けての盛り上がりは見事でした。ラストで遺体をアップにするところはシャブロルの面目躍如といったところでしょうか。サスペンス映画としてもオススメです。