バルセロナオリンピックの年に、東京から車で、家族の三泊四日の東北旅行に行きました。その時のスケジュールはタイトすぎて、みんなヘトヘトでした。娘は年中、息子は1才でまだ離乳食が必要でした。
三日目は、朝、小岩井牧場で遊んで、お昼に盛岡でわんこそばを食べた後、平泉まで85キロほど東北道を南下して、三時前に中尊寺に着き、金色堂をみました。この時点で、すでに午後四時を回っておりました。それで私は毛越寺に行くの断念すべきだと主張して、すぐに仙台に向かうように主人に進言しました。それは正解で、秋保温泉の宿に着いたのは八時近くでした。
しかし、そのあと、主人はあの時にお前のせいで毛越寺に行けなかったと何かにつけてぼやきました。我々はいつか行けるだろうと思いながら、主人は他界しました。
それで、おととい、行けなかった主人の代わりに毛越寺に行ったのです。
地元のガイドさんにお願いして、説明を受けました。丁寧でわかりやすくて勉強になることばかり。
中尊寺と毛越寺は円仁という人が開いた、立派なお寺です。毛越寺は残念ながら火事で消失していたので、本堂は最初にあった場所とは違うところに再建されました。奥州藤原氏は、当時、金によって繁栄し、それで得た財を、武力強化には費やさず、地域のために使っていたそうです。仏教保護にも力を注ぎ、二つのお寺は立派なものでした。毛越寺は極楽浄土をこの世に作ろうとしたものであり、寺の伽藍の前に池を作りました。池は、発掘されて、当時の姿のままあります。池の敷石もそのままです。建物があった場所には、柱があった場所に石が置かれていて、遺構を見ることができました。
境内には、奥の細道で訪れた松尾芭蕉の句碑もありました。
雨混じりでしたが、池を歩いているときは止み、池に周りの景色が映ってとても綺麗でした。私は主人の写真を出して、みてもらいました。
「これで長年の思いを果たせましたね。きっとご主人は喜んでくださっていますよ」
ガイドさんが言ってくださいました。
毛越寺のシーンを二年前の小説にも書いています。やはり実際に行ってみないとわからないことが沢山あります。来て良かったです。
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