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鳥を見ていると面白い。ベランダにリンゴを二つ切りにして箸にさして置いたら、ヒヨドリが食べに来た。ガラス戸が結露で曇っていると、警戒心もなく毎朝一番にやってくる。人影を見つけると警戒して飛び立つが、30分もするとまたやってきて食べる。半分のリンゴをほぼ一日で食べ尽くす。夕方少し日がかげってくると塒にかえるのか、突然に飛んでいく。雪が消えて餌がとりやすくなると、もうベランダには来なくなる。
啐啄という言葉がある。漢和辞典を引くと、啐はすう、かむ、なめる、よぶなどの意味があり、タマゴのなかの雛がなかからタマゴ噛んで呼ぶこと、啄は外の親鳥がタマゴをつついて破ることである。このとき雛は卵殻のなかでピヨピヨと鳴き、親鳥もこれに応えて小さく鳴くという。ニワトリの孵化の瞬間である。
このような親子の絶妙な共同作業から、啐啄一致は仏教用語となって、師と学僧の心が一致することを表わすようになった。悟りの得難い好機という意味に使われるようになったらしい。
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