常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ワラビ

2015年05月22日 | 介護


ワラビ採りは春の日の楽しみのひとつだ。小満の日、妻と肘折温泉へワラビ採りに行った。肘折は県内はもとより、日本でも有数の豪雪地である。日陰のくぼ地には、まだ雪が解け残っている。陽射しのある斜面を探してワラビを探した。

石激る垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも (万葉巻8・1418)

万葉集に出てくるワラビを詠んだ歌が好きだ。春を待つ人の心が喜びに溢れている。昨日の肘折も、早春のなかにあった。雪解け水は川を増水させ、まんまんと激しく流れる。葉山下しの突風が、強烈にぶつかってくる。



ワラビが萌える草地から目をあげると、渓谷にまだらに雪を残す葉山が眼前にせまっている。月山はその奥にある。かつて念仏小屋から、月山を肘折へと下った。残雪の縁に広がるニッコウキスゲの群落は今もしっかりと記憶に残っている。下山の途中で出会った青年は、肘折温泉に逗留して肘折と月山山頂の往復が日課だと語っていた。体力にまかせて山野を駆けるように行き来したのは、遠い昔日の思い出である。
コメント
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