『古今和歌集』の夏歌は、わずかに34首を数えるのみある。春歌が134首収められているから、その少なさが際立っている。その夏歌のうちホトトギスを詠んだものが、28首あるから、夏を象徴するものは古今集では、ホトトギスにつきる言っても過言ではない。次の歌は夏歌の冒頭にある歌であるが、読人しらずとなっているが、詞書に「この歌ある人いはくかきのもとの人まろがなり」とある。果たして真偽のほどはどうであろうか。池の上に垂れれる藤。花は藤波とも言われる。池に立つ波と呼応する。
わがやどの池の藤波咲きにけり山郭公いつかきなかむ 読人しらず
そう言えば去年ホトトギスの鳴き声を聞いたのは、初夏の小柴山であった。鳴き声で鳥の名を聞き分けることはあまり経験がないので自信がないが、買った野鳥図鑑の付録にある鳥の声のCDで何度も確認したので間違いないように思う。ウグイスとヒヨドリ、梟はあまりに聞きなれているので問題ないが、このごろ鳥の鳴き声を聞くと、つい何鳥か気になって空を見上げる。
目を下に落とすと、三寸アヤメが可愛く咲いている。立夏は数えきれない種類の花とともにやってきたが、熱中症の心配と畑の水不足ばかりが頭をよぎる。