常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

葉山

2021年06月11日 | 登山
葉山の頂上は展望がない、登山道に見るべき花がない。このたびの、畑コースでの葉山登頂は、葉山に与えられたこんな汚名を見事にくつがえしてくれた。手の届きそうな残雪の月山が迫り、その左側にはやや遠く朝日連峰がくっきりと見えた。頂上から奥の院まで20分。葉山登山の魅力を再確認する山歩きであった。本来であれば梅雨の季節だが、山形で32℃を超える気温、無風に加えてたっぷりと降りそいそぐ日光。空気がきれいで、遠くの景色が手にとるように見える。稜線に出るまでのブナ林は、その緑に加え、陽ざしを遮ってつくられる木陰が涼しく心地よい。春ぜみが鳴き、ウグイスが近づくと、あの懐かしいメロディを奏でる。遠くで閑古鳥が啼くと、夏の山中に浸る歓びがわいてくる。
長い年月にわたって山行を楽しんでいるが、シラネアオイをこれほど多く、しかも咲き盛りの美しさを堪能できたのは初めてではないか。稜線の雪がたまるような場所に、大きく固まるシラネアオイ。目を上に転ずれば、咲き始めたヤシオツツジの濃いピンクが藪を彩り、盛りを迎えたコブシの花が、木の雪を散らしたように咲いている。春の花から夏の花まで、山道はその競演に目を奪われる。

いよいよ夏の登山シーズンに向けて山行計画も佳境を迎える。だが、80歳を迎えて脚力の衰えを感じずにはいられない。先週、8㌔、今日10㌔と坂道を歩いた。関節が痛いわけではないが、筋肉疲労が歩行中に起こってくる。高齢になっても山を楽しむ方法はただ一つ。自分の筋力に合せて速度で登り降りする以外にない。今こそ、81歳で『ゆっくり山旅』を書いた烏賀陽夫妻の言葉をかみしめるべき時である。

ゆっくり登れば山の景色が心ゆくばかり愉しめます。
谷川のせせらぎ
雪をいただく遠い山
眼下に広がる草原
山の斜面を埋める野花
緑陰をうつす山湖
紅葉に映える渓谷
どれもこれも下界にないものばかりです。(烏賀陽貞子)
コメント (2)
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