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「ミモロちゃん、南座で歌舞伎見たことある?いよいよ年の瀬、吉例の顔見世興行が始まるから、行ってみない?」とお友達に誘われたミモロ。「わー南座の顔見世って、京都の風物詩のひとつ。もちろん行く行く!」とウキウキしながら、出かけます。
ここ京都は、歌舞伎の発祥の地。慶長8年(1603)京都、四条河原で、出雲阿国による斬新な動きと派手な衣装で踊る「かぶき踊り」の興行は、たちまち京都で大評判に。それをもとに、江戸時代に江戸、京都、大坂で発展。時代に沿い、さまざまな演目が作られ、常に人々の心を捉える芸能演劇に。そして、日本を代表する芸術文化のひとつとして、現在に至ります。
さて、四条通と鴨川が交差する角にある南座。その歴史は、古く元和年間(1615~1623)に遡ります。
元和年間に公認された京都の7つの芝居櫓。時代の流れで次々に姿を消す中で、南座は、唯一その伝統を今に伝える場。現在の建物は、昭和4年に竣工された櫓を備えた桃山風破風造の壮麗な姿。平成3年に外観はそのままに、内部を全面改修し、より快適な劇場に。
ミモロがお友達を、南座にやってきたのは、今年の顔見世の初日(11月30日)。
年間を通じ、さまざまな演劇などが行われる南座も、年に1度の吉例顔見世興行には、ほかでは見られない独特の趣が漂います。
それは、興行に出演する役者さんたちの名前を書いた「まねき」という檜の看板が、正面入り口の上に掲げられる「まねき上げ」です。今年は、人間国宝・坂田藤十郎さんや、片岡仁左衛門さんなど東西の人気役者、54枚の名前のまねきが上がります。
「なんか、ワクワクする雰囲気があるね」とミモロ。顔見世を楽しみに訪れた大勢の人の波に流されながら、ミモロも館内へと進みます。
内部は、照明をはじめ、ドアの飾り、壁面の装飾などに、レトロな雰囲気が。
まずは、売店で、演目や出演役者さんのことが詳しくわかるブログラムやイヤホーンガイドを。
「えーと席は、どこかな?」ミモロのチケットは、3等席(7500円)。一番上の部分に当たる3階席(値段は下から2番目)です。小さなミモロは、「ちゃんと見えるかなぁー」と、ちょっと心配そうに、館内の狭く急な階段を上へと上がります。でも…席に到着すると、
「ワ!よく見える…舞台からは、かなり遠いけど、全体が見渡せるから大丈夫!よかったー」とホッとした様子。高い場所にある席から、身を乗り出して、歌舞伎を鑑賞することに。
写真には、写っていませんが、今年、新しい緞帳がお目見え。赤を基調に、奈良時代に伝えられた「立涌文様(たてわくもんよう)」という吉祥文様が、全体に華やかに織り込まれたもので、開演前のひとときに、いっそうの華やぎをもたらす緞帳です。
また、館内には、フランスの画家アンドレ・コタボなどの絵画が、いろいろな場所に飾られ、それを見て回るのも楽しみのひとつ。
さて、今年の吉例顔見世は、南座新装開場二十周年記念の東西合同大歌舞伎。
ミモロが行った昼の部では、「寿曽我対面」「お江戸みやげ」「隅田川」「与話情浮名横櫛」が上演。
歌舞伎に詳しいミモロのお友達によると、なかでも坂田藤十郎が斑女を演じる「隅田川」は、見逃せないとのこと。初めて見るミモロも、その姿にうっとり…。
三津五郎や愛之助が登場する、ちょっとコミカルで、ホロリとさせる川口松太郎作の「お江戸みやげ」。仁左衛門が、艶っぽい与三郎を演じる、「粋な黒塀、神輿の松にー」の歌でも有名なお富さんのお話「与話情浮名横櫛」など、すべての演目に、見惚れるミモロです。
幕間の休憩時間には、お友達が南座の東に隣接する「矢倉寿し」の「カニちらし」を注文。大きなカニの身がのったお寿司です。
いつもランチを食べると眠くなるミモロ。でも、素晴らしい舞台に眠気も何処へやら…。イヤホーンガイドを聞きながら、舞台を夢中で見つめます。
「夜の部も見たくなっちゃたー」とミモロ。予約は、インターネットが便利です。
*南座の吉例顔見世興行は、11月30日~12月26日。詳しい情報、予約などは、「松竹株式会社」のホームページでご覧ください。