今年の祇園祭で話題を集めたトピックスのひとつが、「大船鉾」の142年ぶりの唐櫃巡行の復活です。

長年、後祭のトリを務めてきた「大船鉾」(ちなみに「船鉾」は先祭のトリです)
つまり巡行の一番最後に登場する鉾で、約500年前、将軍、足利義教の命で祇園祭が再興された折に、建立されたと言われます。
応仁の乱、天明の大火などで焼失するも、その都度再興されましたが、幕末の蛤御門の変で、3度目の焼失に見舞われ、ご神体の神功皇后の御神面などのほか、一部の貴重な装飾品は、難を逃れますが、船型の木組や車輪などを失ってしまいます。
今回は、明治3年に、ご神面を唐櫃に納め巡行して以来、なんと142年ぶりに、宵山の「日和神楽」と共に、山鉾巡行のオオトリを勤める唐櫃巡行を行うことになりました。
前日、「日和神楽」を見物したミモロは、17日の「山鉾巡行」の日、午前中に「大船鉾」に向かいます。ミモロは、今年、ここで粽売りのボランティアをやり、顔見知りに…。
そのおひとりが、囃子方をつとめる松久幸太郎さんです。

宵山で「日和神楽」に向かう松久さんにミモロは、「どんな気持ち?」と尋ねました。
「なんかドキドキしますね。でもホント、嬉しいです。河原町通をこうやって歩くのは初めてですから…。明日はもっと緊張するかも…」と。
町役の皆さんは、唐櫃の周りに、きちんとした裃姿で勢ぞろい。

巡行に先に出発する「北観音山」や「南観音山」の方が、やはり裃姿で、ご挨拶に。
「大船鉾」の巡行復活をお祝いします。
話題の巡行だけに、報道陣も多数詰めかけて、その歴史的な意味の大きさを物語ります。
「これが唐櫃なんだー。ご神体も本当に久しぶりに京都の町に出られて、きっと喜んでるよねー。でも、昔と随分町の様子が変わって、びっくりしちゃうかも…」とミモロは思います。
ミモロは、ちょっと巡行のマネを。

「巡行するって、どんな気持ちだろ?きっとドキドキするよね。みんな見てるんだもの」と。
11時まえに、「大船鉾」の一行は、列を整え、いざ出発。四条通へと出て行きました。
その一行を、周囲の見物人やお世話をしてきた女性たちが、拍手で見送ります。

お囃子の音も、いままでよりもいっそう高らかに響きます。

ミモロは、一行を見送ると、今年見物する場所の河原町御池の「京都市役所」へと急ぎました。

さて、山鉾巡行の様子は、昨日のブログでお伝えしました。
次々と山鉾が通過してゆく河原町通。

今年は、どうも去年より、進み方が遅い感じ。辻回しに時間がかなり掛っています。
予定通過時間を、すでに30分以上過ぎても「大船鉾」の一行の姿が見えません。
今年は、天気が素晴らしく、そのため気温は急上昇。天気予報では36度と言いますが、体感気温は、もちろんそれ以上。見物人も汗だくです。でも、道路の中央を巡行している人は、紫外線の直撃状態。「子供や年輩の人たち、大丈夫かなぁ?」と、ミモロは心配そう。

「大船鉾の人たちは、巡行初体験だから、きっと他の山鉾の人たちみたいに慣れてないから、すごく大変かも…」
そうなんです。先頭を進む「長刀鉾」は、予定時間通りに順調に進みます。しかも辻回しがとても上手。それに比べて、最後尾の「大船鉾」は、進んでは止まりの繰り返し。すべての遅れが、全部蓄積されてしまいます。
「もう待ちきれない・・・」ミモロは、河原町通を四条通方向に歩き、「大船鉾」を探します。
「あ、いたー」

河原町通を曲がってちょっと行ったところに、「大船鉾」の一行が、道の中央部で止まっています。

実は、このころ、すでに「長刀鉾」は、巡行を終了し、お稚児さんが鉾から降りて歩いている姿を見たという人も。ほぼ周回遅れの状態です。
「あのー先はどうなってますか」と聞かれたミモロ。
「あのね、さっき『北観音山』が、御池通で辻回ししてました」と説明。
大きな山が、辻回しを済ませれば、行列は、スムーズに進んでゆけます。
もう少し…。
しばらくして、一行は、列を整え、河原町通を進んで行きました。

15時頃、ミモロは、「大船鉾」の町会所を訪問しました。
すでに、一行は無事に巡行を終えて戻っています。

「どうでしたか?初めての巡行は…」とミモロは、松久さんを見つけて尋ねます。
「いやーなかなかきつかったですねー。傘もないから、まともに日を浴びちゃってー。来年は、頭に紫外線予防のUVカットローションを塗らないと…。太鼓や鉦の人よりも、笛の人は、相当きつかったと思いますよ。御池通を進む頃には、暑さで頭がボーっとしてきました。
でも、巡行ができたことは、本当に感激でした。出るとき、みんなが拍手してくれたのは、うれしかったですねぇー」と。
「大船鉾」の舟形での巡行は、2年先を目指して計画中。その日が訪れるのが、一同の願いです。
「また、来年も粽売りに来てくださいねー」と言われたミモロは、うれしそうに頷きます。
長年の夢の第一歩を踏み出した「大船鉾」のみなさんの胸には、きっとひとつの達成感と同時に、2年後への希望がいっそう膨らんだことでしょう。
お疲れ様でした…。また来年…。
ミモロは、みなに別れをいうと、四条通を戻ります。
「わーもう鉾が裸になってるー」

「長刀鉾」は、すでに周りの飾りを取り去られ、木組みの状態。これから、屋根や鉾が外されて行きます。
「なんか崩される見るの寂しいから…帰る…」とミモロはポツリ。
山鉾巡行のざわめきが、すでに薄れた通りを、トコトコと歩きます。
さて、同日の18時頃。「八坂神社」にやってきたミモロ。
「わーもう始まってるー」

金色に輝く3基の神輿が、神社から出て、町へと向かう「神幸祭」が始まりました。
八坂神社の階段下は、人で埋め尽くされ、勇ましい男たちの声が響き、祭りムードは最高潮。
ミモロもちょっとだけ、お神輿の後をついて東大路を進みます。

お神輿は、24日まで、高島屋そばの御旅所に納められています。
一カ月におよぶ祇園祭も、やっと半分を過ぎました。後は24日の「還幸祭」。神輿が、再び八坂神社に戻るお祭りを楽しみにするミモロです。

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