ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

プロが教える包丁の研ぎ方。染工房高橋徳で開催された体験講座。料理の味は、包丁次第

2013-01-18 | 体験

新町にある老舗の友禅工房「高橋徳」。ここには、ショップ&ギャラリーYDSというスペースがあり、年に数回、京都らしい文化、体験講座が開催されます。ミモロは、以前、友禅を作っている工房を見学させて頂いたり、また毎月開催されている、組みひものお教室も体験させていただきました。



昨年の暮れ、ここで「研ごう会 食道具 包丁の展示会と研ぎセミナー」が開催され、ミモロは、さっそく申し込んで参加することに。
包丁調整士であり、食道具 竹上の廣瀬康二さんを迎えた人気講座です。2日間、4回行われたセミナーは、ひと月前には、もう定員の20名に達し、ミモロは、なんとか滑り込むことができました。

「包丁って、研いだことないかも…」というミモロ。いつも使っている包丁を、参加者は、あらかじめ廣瀬さんのところに送ります。「あのーボロボロの包丁しか持ってないんですけど、いいですか?」と恐る恐る聞くと、「なんでもいいですから、送ってください。セミナーの当日に、研いだものをお渡しします」とのお返事。
ミモロの包丁は、ステンレスのもの…「いいのかなぁー」と思いつつ、セミナー当日、ドキドキしながら会場へ。

会場に到着すると「ミモロちゃん、いらっしゃい。もうすぐはじまりますから、待っててくださいね」と。そこでまずは、ギャラリー見学へと向かうことに。

お店の奥にあるギャラリースペースは、大きなお座敷で、そこには、いろいろな種類の包丁や砥石が並んでいます。

「わーいろんな種類があるんだねー」と、出刃包丁のサイズもいろいろ。
「あ、これ、プロの料理人さんが使うんだーアタッシュケースみたい…」


「キャー大きな包丁…これはうどんやそばを切る包丁。
「これは、すごく刃が長いよー」それは、京料理に欠かせない鱧を調理するためのもの。

日本の包丁ほど、その種類が細分化されたものはないのでは?切る素材によって、それに適した包丁が生み出されています。さずが世界でも優れた刀と高い評価を受けている日本刀の国。包丁へのこだわりも半端ではありません。

「さぁ、そろそろセミナーを始めます」との声に、ミモロは、慌てて大きな机のあるお部屋へ。
講師の廣瀬さんの前に座り、配られたプリントに目を通します。


まず、廣瀬さんが強調したのは、毎日のお手入れ。「自分の心を包丁に寄せて、扱いましょう」と。
ここでいう包丁は、ミモロの使うステンレス製のものではない包丁です。あしからず…。

・包丁は、使っている最中も、マメにふきんなどで水分を拭きながら使いましょう。
 「あ、料理人さんが、食材を切りながら、よくおふきんで拭いてる…あれだねー」とミモロ。

・その日に使い終わった包丁は、クレンザーや磨き粉で汚れを落とし、洗い流したら、乾いたタオルで水気を取り、よく乾かしましょう。その際、絵の部分もいっしょによく磨きます。


「あのーアワアワの中性洗剤で洗ってますけど…」「それではダメですね。中性洗剤は、油は取れても、汚れは取れません。クレンザーの粒子で汚れを落とすことが大切ですよ」と。

「ともかく、さびを寄せ付けないために、包丁に汚れや水分を残したままにしてはいけません。柄の部分も磨かないと、そこから包丁がダメになることがあるんです。特に、柄と包丁の境目は、丁寧に汚れを取ってくださいね」

*クレンザーでの汚れの落とし方:包丁を自分に垂直において、刃の方向へ、背の部分から、斜め45度くらいの感じで、外側へとスポンジを動かします。包丁の両面を洗ったら、背の部分は、先端から根元へ何度が上下に動かします。最後に、柄の部分全体を洗います。柄と刃の境目の汚れも見逃さないように。
このお手入れを毎日すると、月1回、軽く研ぐだけで、包丁の切れ味はよくなって、手に馴染むようになるそう。

ミモロは、他の受講者と共に、熱心に廣瀬さんの手元を見つめます。



さて、次は、いよいよ研ぎ方です。
ここでは、両刃の包丁の場合を習いました。

砥石は、使用前に20分間水に浸けたものを使います。
また、砥石は、表面が平らなものを。使い込んで、中央がへこんだ砥石は、包丁を傷つけることに。


受講者が、次々に、すでに廣瀬さんが研いでくださった自分の包丁を使い、研ぎ方を実際に習います。


まず表から、
砥石に包丁を25~30度の角度で置き、刃の根元から先端まで何度かに分けて砥石の上を滑らせるように研ぎます。その際の刃と砥石の接着部分の高さは、15度に。
次第に、砥石の上には、グレーの泥が出てきます。これを流してはいけません。これを使って研ぐんです。


シャーシャーという音が、部屋に響きます。
ミモロは、息を止めて、じっと作業を見つめます。「なんか真剣…まるで刀を研いでるみたい…」

さて、裏は、砥石に包丁を70~80度の角度に置いて、やはり15度の高さで、同じように研ぎます。


そして、包丁を研いだ刃の部分を指の腹で触り、そこ全体がザラザラとした感じになれば、OK.
このザラザラは、カエリという刃先のまくれでこれが出るように研ぎます。

最後にいよいよ仕上げ研ぎへ。「えー2回研ぐんだー知らなかったー」とミモロ。
この仕上げをしないと、研いだことにはなりません。

砥石をきれいに洗い、表面のグレーの泥を落とします。
そして、同じように、今度は、水を砥石に掛けながら、軽く両面を研ぎます。指で触って、刃にカエリが消えて、スムーズな感じになれば出来上がり。よく水気を拭いてしまいます。


受講生4人が、研ぎ終わって、ついにミモロの番。「今日は、みなさんは、鉄と鋼でできた和包丁を持ってこられましたが、ミモロさんのは、ステンレス製です。これは家庭では一般的なので、とても参考になると思います」と。

ステンレスの場合は、刃を砥石に立てる角度は、30度。研ぎ方は同じですが、最後の仕上げ研ぎはしません。

ミモロも真剣に、包丁研ぎに挑戦。「うーなかなかむずかしい…」

研ぎ終わった包丁のひとつを大根の上に置くと…
包丁の重さで、スーッと切れてしまいます。「スゴイ…」と目を見張るミモロです。


「あのーもう1本、包丁持ってきたんですけど。これはステンレスじゃありません」と小さな包丁を廣瀬さんに。

「では、もう1度研いでみましょう…」と手を添えて頂きながら、再度包丁を研ぐ練習を。


包丁の刃をジッと見つめ、恐る恐る研ぐミモロです。
「わーピカピカになったー」
研ぎ終わった包丁は、ミモロの顔もよく映るほど、ピカピカに。そして切れ味は、同じ包丁とは思えないほど抜群。

「わースゴイ…すごくいい切れ味になって、もったいなくて何も切れない…。切ると、切れ味悪くなっちゃうんでしょ」。あのミモロ…包丁は使うために研ぐのよ。「そうだねぇー。もっとお料理しよう…お手入れ習ったから大丈夫」と、ピカピカの包丁を抱え、料理に新たな意欲を見せるミモロでした。


「切れ味のいい包丁を使うのは、料理を美味しくする第一歩です。切れ味が悪いと素材の美味しさを壊してしまうことに。まず、毎日、包丁の守り(もり)をするだけで、切れ味は、かなり持続しますよ」と廣瀬さん。

毎日包丁を使う家庭の主婦にとって、なかなか包丁の手入れまで手や気が回らないのが実情。でも自分の手に馴染む上等な包丁を持つと、きっと料理に対する関心もいっそう高まるのでは?

長く使った包丁は、全体にかなりズレが生じていて、研ぐ前に、まず包丁自体を整えることが大切だそう。廣瀬さんは、包丁研ぎ師ではなく、包丁調整士という肩書から、ただ研ぐだけではないことがわかります。

*旅のポイント:京都って、ホント、いろいろな文化講座や体験講座があります。観光だけでなく、そういう講座に参加できるように旅の日程を組むのも、おすすめです。きっと京都を訪れるのが、もっと楽しみになりますよ。

*包丁に関するご相談は、廣瀬さんへメールなどで。詳しくは「食道具 竹上」のホームページで。
また手描き友禅や組紐教室のあるショップ&ギャラリーYDSは、「高橋徳」のホームページでご覧ください。




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