京都は、ものづくりの町。それは、伝統工芸品だけでなく、日本の近代の科学技術を担った企業が、京都には目立ちます。例えば、京セラ、オムロン、村田製作所、ローム、任天堂、そして島津製作所なども、京都を代表する企業です。
京都の二条通近くの高瀬川ぞいに、その中のひとつ島津製作所の「創業記念資料館」があります。
創業当時を思わせるよう古い感じに建てられた資料館は、2011年にリニューアル。この資料館が立つ場所は、明治8年(1875)の創業以降、大正8年まで本店が置かれていました。
敷地内には、創業者 島津源蔵氏の銅像。
さて、島津という名と丸に十の字の社章から、鹿児島、島津藩を思い浮かべる人は多いはず。そのため、島津製作所は、鹿児島創業の企業とか、また創業者は島津家と血縁があるのかと、思っている人もいるはず。でもそれは誤り。
島津の姓と家紋は、文禄年間に薩摩の島津義弘公が、秀吉から拝領した播州姫路の領地の検分に、島津製作所創業者の先祖が尽力し、その功績により、賜ったものだとか。
ご先祖は、福岡にいて、江戸時代に京都に移り住み、仏具などの製造をしていたそう。
次男であった源蔵氏は、明治8年に独立して教育用理化学器械製造を始めたのが、現在の島津製作所の始まりです。
創業100年を記念して1975年に開設された、資料館には、島津製作所の歩みや近代科学技術の発展過程が、さまざまな展示物により示されています。
「あのー見学したいんですけど・・・」「はい、1名ですね、どうぞゆっくりご覧になってくださいね」
入館料300円払い、さっそく館内へ。
展示は、1階と2階に。
入口付近には、なにやら大きな機械が…。「これ、なあに?」
それは国産初の「ダイアナ号」という日本のレントゲン写真撮影の草分け的存在。1895年にドイツのレントゲン博士がX線を発見してから、23年後に完成したものだとか。
「なんかアンティークの家具みたい…」とミモロ。なんでも使われなくなってからは、あまりにりっぱなキャビネットなので、中の機械を取り出した後、洋服ダンスに使われたこともあったとか…。
ミモロは、透視台に立って、息を止めます。
昔は、そこに映った映像を直接見て、診断したそう。
1階を進むと、「わーキレイなステンドグラス…」建物の上の方を見上げると、窓には、古き趣を留めていました。
「へーここで暮らしていたの?」創業当時は、住まいも兼ねていたそう。
壁に掛けられた絵が、昔の様子を物語ります。
現在の島津製作所の基礎を築いたのが、初代と二代目の島津源蔵親子。
明治2年に生まれた二代目は、稼業が忙しく、小学校には1年半しか通えなかったとか。でも、10代から、次々にさまざま機器を開発。「すごい人たちだねぇー」と、ミモロは、創業当時の親子の様子を描いたマンガを読んでやたら感心。
「これ、電気自動車だって…もう、昔に作られてたんだー」
館内には、さまざまな興味深いものが、いっぱい展示されています。
「なんかたくさんあるー」
「昔の機械ってなんか楽しいねー」と、ひとつひとつ見て行くミモロ。
「ギョ!」と足を止めたのは、人体解剖模型です。
明治24年ごろから、島津独自の製法で作られた、当時画期的な模型。
「ホント、いろんな技術があるんだねぇー」
産業機器分野でも、さまざま技術が生まれています。「家電製品を作っていないから、あんまり馴染みがなかったけど、実は、いろんなとこで、ここの技術が使われていたんだー」と、展示物を見て…。
「あ、この人知ってるー」そう、ノーベル賞を受章した田中耕一さんも、受賞当時は、ここの社員でした。
さて、2階の一角には、実験ラボコーナーも。
なにみてるよ?
「あのねー回わすと、中の人が動いて見えるんだよー」
映画の仕組みがわかる「ストロボソコープ」です。
「わー3Dみたいー」
画像が立体的に見える、今や一般的な3D映像の昔版。
「共鳴音叉」や「円柱鏡」なども体験。
窓の外には、京都らしい町並みが…。
日本の技術者たちのすごさを実感した資料館でした。
*「島津製作所 創業記念資料館」京都市中京区木屋町二条南 電話075-255-0980 開館時間:9:30~17:00 水曜休館 大人300円、中高生200円、小学生以下無料 詳しくはホームページで
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