1月13日、京都の七条通にある三十三間堂では、厄払いの「楊枝のお加持(やなぎのおかじ)」が行われます。

この行事は、インドから伝わり、平安時代から続く三十三間堂の法要です。本堂に座られた僧侶より、観音様に祈願した法水を聖樹である「楊枝(やなぎ)」で、参拝者にパラパラと注ぎ、病気などの厄を除くというもの。特に頭痛に効くそう。
大勢の参拝者に混じり、ミモロも僧侶の前に進み、パラパラと法水を掛けて頂きました。「キャ、冷たい…」頭に掛ったお水…「これで益々元気になれるねー」と。
この日は、とてもゆっくりと千体千手観音立像のお姿を眺める、余裕も空間もありません。長ーいお堂の中を、ただ人の波に流されてゆくのみ。「今度、仏様の数より人の数が少ないときに、来よう」と、人にもみくちゃにされながら思うミモロです。
*三十三間堂は、京都屈指の観光スポット。常に大勢の参拝者が連日訪れます。観音様を比較的ゆっくり拝めるのは、拝観時間開始直後の8時と夕方の閉門の30分前が狙い目。特に朝は、堂内の空気が澄んでいて、清らかさもいっそう。なお「楊枝のお加持」の日は、境内は、無料公開されています。
今回は、三十三間堂の詳しいお話は、またということに…。
さて、本堂の南側の弓道場では、全国の弓道家が集い、技を競う「全国大的大会」が同時に開催。ミモロは、矢絣のお召しと袴姿で、気分は、弓道家ということで…ハリキッて出かけます。

会場には、袴姿の弓道家が大勢、弓を携え、出番に備え待機していました。

そもそもこの「大的大会」は、江戸時代から始まる「通し矢」という弓の技を競う大会に由来するもの。すでに桃山時代から行われていたと言われますが、本格的に人気を博したのは、江戸時代になってから。昔は、本堂の西の120メートル軒下で、的を狙い矢の的中率を競ったり、夕方から翌日の夕方まで何本の矢を命中させたかなど、弓自慢がその腕を競い合った京都の町衆にも大人気の大会だったとか。
現在、三十三間堂の「大的大会」では、60メートル先の直径1メートルの的を目がけ、矢が放たれます。


この大会では、全国から集まった有段者の一般部門と、初段以上の新成人が参加する男女別のトータル3部門で、それぞれ腕を競います。予選は、4本の矢が的に当たった本数で順位を競うもので、的のどこに当たったかは、関係ありません。また決勝は、1本ずつ射て、外れたら失格。継続的中本数の多さで競われます。

長年弓道をなさっている方も多数参加され、会場には、凛とした空気も漂います。「弓道は、技術だけではなく、精神的な部分が大きいもの。心が乱れると、的に当てることはできません」と。日本の武道のなかでも、相手と組むんだり、直接体を使って倒すことがない、自己との戦いが最も大きなウェイトを占めるのが弓道です。
ミモロは、特別にお願いして、初めて弓に触らせていただきました。

「へーこれが矢…」間近で矢を見るのも初めてのミモロは、興味津々。

ちなみに和弓の長さは、約221センチほど。竹と木を膠の一種のにべというもので張り合わせたもの。また矢は、羽根の部分は、鷲や鷹などが最良とされますが、かなりの高級品。現在、一般的なのは、白鳥や七面鳥で、安定供給可能な七面鳥が入門者向けだそう。また矢の長さは、矢尺と言われ、90センチほどあり、射手の体格により、その長さに違いが出てきます。あまりに深い弓の世界、興味のある方は、ぜひPCで検索してみては…?
さて、話を三十三間堂に戻しましょう。
この日は、通常の弓道の大会より華やかな雰囲気。それは新成人が多数参加し、女子は振袖に袴姿だからです。



「わーステキー」とミモロは、振袖姿の女子のそばへ。「あら、クマちゃんもカッコイイ…決まってる…」と言われ、「あのーネコなんですけど・・・」と小さな声で…。「あ、ネコちゃんなのねー。矢絣、すごくいい感じですねー」と誉められて嬉しそう。中学や高校から、弓道を初めて方が多いよう。
会場のテントには、タスキ掛け指導所という場所が。

ミモロは、さっそく中へ「あのータスキ掛け、これでいいですか?」と見て頂くことに。

「あら、カワイイ!どれどれ…ハイ、ちゃんとできてますよ」と係りの方。「でも、どうしてこの指導所があるの?」とミモロ。
「それは、振袖を着た人のために、タスキ掛けも、通常とはちょっと結び方などが違って、いっそう可愛らしくするためですよ」と。ミモロの場合は、袖が短いので、縛る場所は、通常通り左の肩部分。でも振袖の場合は、

縛る部分を背中にして、リボンのよう。また長い袖は、脇から背中にもってゆき、まるでチョウチョの羽のような形にします。「ああいうの可愛くて、いいなぁー」と、ミモロは、ちょっと羨ましそう。
さて、新成人の男子たちも、なかなか袴姿が決まっています。

決勝に残った男子は、次の出番までドキドキ。愛知県から参加した男子たち。弓の引きかたをミモロに教えてくれました。

「わーなんかこのポーズ、ボルトみたい…」

ミモロは、楽しくてたまらない様子。「がんばってねー」と、声援を送り、見送ります。
「競技会、どうなったかなぁー」とミモロは、応援したくて競技会を見に行きます。
でも…「ワーン、見えない…」

そこには、大勢の人がいて、姿すら見ることができませんでした。
姿は、見えなかったけれど、新成人の人たちが放った矢は、きっと未来に向かって勢いよく飛んでいったことでしょう。

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