ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

東山の職人工房をめぐるツアー。漆の塗り師、金箔加工、甲冑工房など、ものづくりの現場を見学。

2013-06-24 | イベント

ある日、ミモロは、京都新聞で、面白そうなイベントの記事を見つけました。それは、京都造形芸術大学と東山区などによる「手しごと職人のまち東山再発見プロジェクトチーム」が企画する職人工房をめぐる見学ツアーです。
「ご近所に、職人さんの工房がいろいろあるって、知らなかったー。参加してみよう」と、さっそく電話で申し込み。

「東山職人弾丸ツアー」と称されるこの見学ツアーは、今回で3回目。東山区の畳、陶芸、竹籠、おけなど、さまざま職人さんの工房を巡る5つのルートが設定されています。ミモロが参加するのは、ご近所の「粟田ルート」です。
ツアーの引率および解説などをしてくださるのは、京都造形芸術大学の関本徹生教授と、学生さんたち。

「ミモロちゃんの家の近所の粟田地区は、鎌倉時代に刀鍛冶職人さんたちが住む、職人団地だったんですよ。そして1867年のパリ万博に『粟田焼』という優れた陶器を出展し、大いに栄えました。その後、時代の流れで廃れてしまったんです」とのお話。「へぇー全然知らなかったー」とミモロは、目をパチクリ。
さぁ、いよいよツアーがはじまりました。ミモロも、はぐれないように、みんなの後に続きます。

まず1軒目に、一行が向かったのは、永田塗り師さんという漆を使って五月人形などの甲冑を作る工房です。
「えーこのおうちなら、よく前を通っているよー。ここに漆の工房があるのー」とビックリ。

ごく普通の町家だと思っていた建物の2階に上がると、そこで、永田さんが作業をしていらっしゃいました。

刷毛、そして甲冑の部品などが並び、そこに漆を幾重にも塗り重ねてゆきます。

「これなぁに?」とミモロは、そばの棚に並ぶ品に興味津々。

「それは、五月人形の兜の飾りと、甲冑の一部です」「なるほどー」漆は重ねると強度を増し、水にも強く、実際の鎧兜にも使われてきました。穴の部分は、赤や黒などの紐を通すところです。

座っている場所の後ろ側の押入れのようなところが、漆を乾かす場所。
湿気を帯びた布をそばに置くことで、漆の湿気が取れるのだとか…。湿気が湿気を取る…「なんか不思議…」と、よく理解できないミモロです。

「現在は、注文がありますが、自分の次の時代には、なかなかむずかしいと思います」と。後継者がいたとしても、需要が減少すれば、その技術は、次第に廃れてしまいます。五月人形だけでなく、古い甲冑の修復や再現などにも、永田さんの技術が、必要とされているのです。


さて、次は、独自の技法で金箔を貼る「岡田萬治金箔加工美術」へ。
「えーここもよくお散歩で通っているところ…」

「屋根に金色の鐘馗さまが乗ってるー」。さすが金箔の工房、通常は、瓦と同じ色の鐘馗像が、こちらでは金色。
「みなさん、ようこそ…」と、岡田さん。まずは、金箔加工のお話を伺います。

ここでは昔ながらの金箔接着法にとどまらず、さまざまな素材に金箔を接着させる新しい技術開発なども行われ、従来より、強度の向上、工期の短縮、コスト削減などを実現しています。それにより、金箔加工の可能性が、格段に広がりました。
2階の作業場には、まばゆい金の粉や、道具が。

ミモロ、触っちゃダメよ。「うん…」と、言いながらも興味尽きないミモロです。

「日本文化を作ってきた技術を、昔ながらの方法でやっているだけでは、今のニーズに対応できず、その将来性も危ぶまれます。技術は、時代と共に変わっていってもいいんじゃないかと…。金箔を貼る方法も、昔の人がおよびもつかない技術を、現代は、持つことができ、それにより、金箔加工がむずかしい素材などにも、可能になるんですから・・」と、岡田さん。「なんか職人さんというよりアーティストって感じ…」と密かに思うミモロです。

最近、PCやスマートホンカケースなどの素材にも金箔加工をして、注目を浴びているそう。

「きっと中国やアラブのお金持ちは、ベンツやロールスロスなんかも金色に加工したいんじゃない?」
金箔加工は、あらゆる素材に対応し、そのニーズは、ますます拡大しそう。時代と共に生きる…そんな工房でした。

さて、最後に訪れたのは、これもよく前を通っている三条通沿いにある美術甲冑「粟田口 清信」です。

「えーここにも工房があったのー。いつも何をしているおうちかと思ってたー」と、ミモロが利用するバス停のすぐそばにある建物でした。

こちらは、100年以上も昔ながらの技法を今に伝え、実際の甲冑と全く同じ作り方で、美術甲冑を作っています。

小さな兜の内側も、すべて手作業の釘止め。「本物の兜と同じ方法で作られてるんだって…すごい…」

鎖帷子も、すべて本物の技術で…。
「飾る美術品であっても、そこに本物を求める方のためにお作りしています。本物に限りなく近いミニチュアです」と、ご店主の中嶋さん。
ミニチュアとはいえ、本物の技術を駆使した作品には、自ずと品格と迫力が漂っています。


こちらも、甲冑の再現や修復などに、その技術が使われているそう。さすが京都…。

締めくくりは、粟田神社で。
関本先生の締めくくりのお話など…「初めて参加したミモロちゃんは、いかがでしたか?」と感想を求められ…
「あのー。すごく盛りだくさんの内容で、普通、観光ではいけない職人さんの工房を見学できて感激しました!ミモロの住む近くに、こんなに素晴らしい技術をもった職人さんが、いらっしゃるって、全然知らなくて…。京都ってすごいですねー。関本先生、学生の皆さん、お世話になりました。とても楽しかったでーす。また、次も参加したいなぁーよろしくお願いします」とミモロ。ホントに知的好奇心を刺激するツアーでした。

*次回は、11月ごろを予定しているそう、興味のある方は、ぜひ「まか通ブログ」を検索してください。


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コメント (3)
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