東山に工房を構える職人さんを訪ねる「東山職人弾丸ツアー」に参加したミモロ。1ルート3軒の工房を訪ねます。2番目の場所は、東山安井にある「京すだれ専門の店 田中すだれ店」。伊勢神宮の式年遷宮にも祭具を納めたお店です。

60年以上、すだれ一筋のお店で、お話しくださるのは、4代目のご店主の田中実さん。


「京すだれは、外に掛ける日除けなどに使う外掛けすだれ、茶室用のすだれ、そして室内に掛ける座敷すだれがあります。座敷すだれは、部屋の区切りに使ったり、また御簾とよばれるものは、高貴な方のお顔を直接見ないために間に下がれたりしました。うちでは、機械を使った外掛けすだれと、手で編みあがる御簾があります。今回は、機械編みの外掛けすだれの作り方をお見せします」と田中さん。
では、まず外掛けすだれの作る工程を見学します。素材は、葭、蒲(がま)、萩などです。


この形に似せて作った食べ物が、「蒲鉾」なんだそう。「へぇーそうなんだ~」
今回見せていただく仕事の素材は、葭(よし)。アシと同じですが、アシは悪しに通じることから、ヨシと呼ぶのだとか。「昔は、琵琶湖産のものを使っていたんですが、環境が悪くなったのか、葭の茎が黒ずんで使えなくなりました。現在は、中国産を使っています」と、田中さん。
店には、長さや太さが揃った葭の束が…。


すだれに編む前に、葭の表面をきれいに整えます。


「これは機械で編みます…」機械編みと言っても、オートメーションではなく、葭の太い根元方向と細めな先端方向を交互に1本1本をセットして、足元のペダルを踏んで糸を渡してゆきます。「なんかハタ織りみたい…」とミモロ。
田中さんのデモンストレーションの後、参加者が実際にすだれ編みを体験します。ミモロも挑戦!
「これが機械です」古いミシンを思い出させる黒い機械。長年使い続ける大切な機械です。


「え~と、葭をここにセットするんだよね~」。先ほど見た作業を思い出しながら…1本葭を取り、機械の穴に入れてゆきます。


次に、足元のペダルを踏むと、機械がガチャンと音を立て自動的に糸が葭に巻きつき、編める仕組み…。
「このペダル踏まなくちゃ…」人間なら葭をセットし、ペダルを踏むのは、立ったままできますが、ミモロは小さいのでいちいち降りなくてはなりません。


「編めたかな~」田中さんに持ち上げてもらい、葭の具合を確認します。


「あ、ちゃんとできてる…面白い…」とミモロ。体験は3本ほどの葭を編むだけ、だから面白いと言えるのです。機械を使っても、1日数枚しか編めないそう。根気のいる仕事です。
つづいて、すだれの形を整える作業に挑戦です。体験用に用意された幅の狭いすだれの端を切りそろえます。

さぁ、ミモロもやってみましょう。端を切る用ののこぎりを抱えて…「ヨイショ…まっすぐ切れてるかな?」


みんなに助けてもらいながら、がんばるミモロです。
手編みの御簾づくりも見学しました。亀甲編みという模様を作りながら編み上げる、熟練の技が必要なもの。


次々に糸巻を動かして…使われるのは、細い竹。1日わずかしか編めないので、完成にはかなり時間が必要です。

「これ動かしてた~」と近くで見学。


昔の建築物は、すべて自然素材からできたもの。自然の恵みなのです。今、安価なすだれも多く出回っていますが、やはり、厳選された素材を丁寧に編み上げる「京すだれ」には、趣が備わっています。
掛けるところにあったサイズをオーダーできるのも魅力。外掛けすだれなら10年。座敷すだれなら20年以上は使えるそう。
夏の暑さを防ぐ、省エネのためにも、いっそう外掛けすだれの需要は高まっているとか。
「こんなすだれ掛けたら、素敵だね~」とミモロ。ぐっと家に風情がプラスされますね。
葭の外掛けすだれは、幅95.5センチ、長さ115センチで9000円。サイズや素材によって値段は変わります。
現在、息子さんと一緒に作業をなさる田中さん。

「後継者がいるから、材料が仕入れられます」と。これから先も、京すだれは健在。
「ありがとうございました」とミモロ。「また、いらっしゃい…」と笑顔で見送ってくださいました。

さぁ、いよいよ最後の和菓子店の見学へ…・
*「田中すだれ店」京都市東山区東山安井東入ル 075-561-2512 9:00から日暮れ(不在の時も…)日曜・祝日休み

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