風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

公証人

2009-10-05 01:16:15 | 日々の生活
 オーストラリアの所得税申告(6月期)にあたって、ある税額控除を受けるために、パスポートの使用頁のコピーを証明(出入国の履歴を証明)して貰って提出しなければならないというので、日本では他に頼む人を思い当たらず、公証人役場に出向きました。
 公証人は、あらためてWikipediaで調べてみると、ある事実の存在もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する人のことで、日本では、公証人法に基づき、30年以上の実務経験を有する法律実務家(裁判官・検察官・法務局長など)の中から法務大臣が任命する公務員で、公証役場(全国で約300ヶ所)で執務にあたり、公正証書の作成、定款や私署証書(私文書)の認証、事実実験、確定日付の付与などを行う(Wikipediaほか)のだそうです。堅苦しい説明ですが、遺言証書の作成などを行なうと言えば理解しやすいかも知れません。
 英米法では公証人はNotary Publicと言い、Wikipediaで公証人の英語表示を選ぶとそこに飛びます。日本公証人連合会のサイトを見ると、日本の公証人制度はフランス法やドイツ法をモデルにしたとあるので、英米法ではなく大陸法のそれ(Civil-law Notaries)にリンクさせるべきなのかもしれません。法律の専門化としての公証人に要求される資格(要件)が厳しい上、公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書としての公正証書は、高い証明力があり、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができるなど、極めて強い法的権限をもち得るからです。
 それでは英米法上の公証人はと言うと、そこまで要件が厳しくないようです。アメリカに至っては更に緩くて、かつてアメリカ滞在中、デビット・カード番号を悪用され、詐欺にあったことを宣誓供述(affidavid)しなければならなくなった時に、私の署名を(真正)証明してくれたのは、私が勤務していた現地会社の社長秘書、いつも冗談を言いあっていた普通のオバちゃんでした。簡単な講習を受ければ素人でも資格を取れて、手続きは無料です(全米に450万人いると言われます)。実はオーストラリアで、こうした認証を行なう任にあるのは、Notary Publicではなく、その下のレベルのJustices of the Peace (よくJPと略される)で、オーストラリアでは弁護士や会計士はもとより、医者や警察官や消防士など法律の専門家でなくてもこうした資格を持つことが出来て、やはり無料で請け負ってくれます。
 その程度の仕事を日本では公証人に頼まざるを得ず、パスポート記載事項の証明(三頁)に手数料はなんと11,500円もかかりました。日本全国で500人強しかいないという法律の専門家の所以でしょう。日本においては、およそこうした認証を必要とする行為自体がなく、従いそれを行なってくれる機関もないということでしょう。法律行為が身近にある欧米社会との違いを感じます。
 法は法でも、イスラム法の世界もあります。上の写真は、ジーンズをはいてもトドゥンは羽織るマレーシアの若者。
コメント
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