きのふまで雪にこもりしみよし野の霞はけさや立ちはじむらん(別本和漢兼作集)
巻向の檜原の山のふもとまで春のかすみはたなびきにけり(玉葉和歌集)
愛宕山まだ降る雪も消えなくにしきみが原に霞たなびく(夫木抄)
春の来るけしきはそらにしるきかな吉備のをやまの峰のかすみに(夫木抄)
よもの山かすみのころもすそ野までたちかさねたる春のあけぼの(快明詠百首和歌)
あさみどりかすみわたれるたえまより見れどもあかぬ妹背山かな(新勅撰和歌集)
ほのぼのと明石の門(と)より見わたせば大和島山かすみたなびく(夫木抄)
春はなほ千里(ちさと)のほかをおもふにも霞にかぎるあけぼのの空(寂連法師集)