いかでかく思いひそめけむ梓弓わがこころをも引きかへさばや(亀山殿七百首)
あづ さゆみ引きはりもちてゆるさずと我が思ふ妹は知るや知らずや(古今和歌六帖)
手もふれで月日へにける白真弓(しらまゆみ)おきふしよるはいこそねられね(古今和歌集)
置きて行かば妹はま愛(かな)しもちてゆくあづ さの弓の弓束(ゆづ か)にもがも(万葉集)
おくれゐて恋(こ)ひばくるしも朝猟(あさがり)の君が弓にもならましものを(万葉集)
梓弓すゑのたづ きはしらねども心は君に寄りにしものを(万葉集)
梓弓ひきみひかずみ昔よりこころは君によりにしものを(新勅撰和歌集)
あづ さゆみ引けばもとすゑわが方によるこそまされ恋しきことは(古今和歌六帖)
わが心ひけば本末(もとすゑ)よるも寝ず打つや弓弦(ゆづ る)のおとをだに聞け(草根集)
みちのくの安達の真弓引くやとて君にわが身をまかせつるかな(後拾遺和歌集)
たがかたに心いるとも梓弓あらぬかたにもひく心かな(続後拾遺和歌集)
なにゆゑかあづ さの真弓かくばかり憂き人にしも心引くらむ(延文百首)
いさやまた人のつらさもしら真弓ひくかたにこそ心よるらめ(光明峯寺摂政家歌合)
あだ人の心のすゑもしらまゆみ引けど寄り来ぬ恋の道かな(宝治百首)
みちのくの安達の原のしら真弓こころこはくも見ゆるきみかな(拾遺和歌集)
我が恋は安達の真弓もとよりやこころづよさのためしには引く(宝治百首)
いつまでか人に心をつき弓のゆるむかたなきもの思はまし(為尹千首)