けふぞかしなづ なはこべらせり摘みてはや七くさのおものまゐらむ(拾玉集)
うちむれて野沢の若菜つむにだにのどけき御代の春ぞしらるる(宝治百首)
春あさき雪消(ゆきげ)の水にそでぬれて沢田の若菜けふぞ摘みつる(新千載和歌集)
おのがすむ沢べの氷(こほり)したとけて鴨の羽いろの若菜をぞ摘む(夫木抄)
誰がためとまだ朝霜の消(け)ぬがうへに袖ふりはへて若菜つむらむ(続後拾遺和歌集)
君がため春日の野辺の雪間分け今日の若菜を一人摘みつる(宇津保物語)
里びとや若菜つむらし石の上(いそのかみ)はつ春雨のふるのなか道(夫木抄)
里人や野田の若菜をすすぐらむ汀(みぎは)ぞにごる玉川のみづ(夫木抄)
川上にあらふ若菜のながれきて妹があたりの瀬にこそ寄らめ(万葉集)