さえにける空はきさらぎ初春(はつはる)のかげにおぼめく今日のみか月(春夢草)
いでぬれどあるかなきかのかげならし雲まにかすむ春の三日月(文保百首)
なにはがた霞のまよりほの見えて波にかげろふはるのみかづ き(老若五十首歌合)
ぬしやたれ霞の袖に引く弓のかげあらはるる春の三日月(草根集)
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宵のまにほのかに人をみか月のあかで入りにし影ぞ恋しき(金葉和歌集・二度本)
知られじな霞にもるる三日月のほの見し人に恋ひわびぬとも(宝治百首)
ほのかなるおもかげばかりみか月のわれて思ふと知らせてしがな(宝治百首)
いにしへの春の空まで思へとやわれて入りぬるけふの三日月(春夢草)