うちなびき春さり来(く)れやみよし野の高城(たかぎ)の山にうぐひすの鳴く(夫木抄)
春たてば雪のした水うちとけて谷のうぐひす今ぞ鳴くなる(千載和歌集)
春とだに人はおとせぬ山かげの竹の戸あくるうぐひすのこゑ(心敬僧都十躰和歌)
あしひきのやま谷こえて野づかさに今は鳴くらむうぐひすのこゑ(万葉集)
ふりつもる雪きえがたき山ざとに春をしらするうぐひすの声(後拾遺和歌集)
雪かかるそともの梅はおそけれどまづ春告(つ)ぐるうぐひすのこゑ(風雅和歌集)
風わたる窓のくれ竹うちなびき春や来(き)ぬらし鶯の鳴く(宗尊親王三百六十首)
御園生(みそのふ)の竹のはやしにうぐひすはしば鳴きにしを雪は降りつつ(万葉集)
のどかなるかすみの色に春みえてなびく柳にうぐひすの声(風雅和歌集)
聞きくらす鶯の音のつくづくとただのどかなる春の山ざと(伏見院御集)