ふりさけて三日月みればひと目見し人のまよひきおもほゆるかも(万葉集)
飽かざりし人の眉ねによそへても名残ぞ惜しき三日月のかげ(夫木抄)
三日月のさやかに見えず雲がくれ見まくぞほしきうたてこの頃(拾遺和歌集)
知るらめやほのかに見えし三日月の空にも人を恋ひわたるとは(新続古今和歌集)
宵のまに上(うは)の空ゆく三日月の影ばかり見し人に恋ひつつ(続拾遺和歌集)
よひのまにいでて入(い)りぬる三日月のわれてもものを思ふころかな(古今和歌六帖)
ほのかなるおもかげばかりみか月のわれておもふと知らせてしかな(風雅和歌集)