monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

平知盛を植物にたとえると

2011年09月20日 | 日本古典文学

 「平家花ぞろへ」より、平知盛を花(というか木)にたとえている文章を抜き出します。(「室町時代物語集成12」角川書店)
 平知盛は、清盛の四男。壇の浦の戦いで平氏滅亡を見届けた知盛は、錨(いかり)をかついで(あるいは、鎧を二枚身に付けて)海へ身を投げ自害しました。

 見目(みめ)よりはじめて、気色・事柄(ことがら)優(いう)に、よき人とおぼゆ。中宮の御はらからと申したるに、つゆあかぬことなく、めやすくこそ見え給ふめれ。
 神無月朔日ころ、降りみ降らずみうちしぐれたる雲まより夕日かげときどき漏り出でて、いろいろに濃く薄きもみぢの、まことに錦をひきわたせるやうなるに、風すこし吹き出でて、下葉かつ散るほどにぞ思ひよそへ給ふ。
  龍田姫織るやこずゑの唐錦(からにしき)しくものもなく見ゆる色かな


紅葉(もみぢ)

2011年09月20日 | 日本古典文学-和歌-秋

かりがねの聞こゆるなへにみわたせば四方(よも)の木ずゑも色づ きにけり(和泉式部集)

見るままにもみぢ色づ くあしひきの山の秋風さむくふくらし(風雅和歌集)

こもりくの初瀬の山は色づ きぬしぐれの雨はふりにけらしも(万葉集)

おしなべてもみぢの色になりにけり時雨に染まぬこずゑなければ(中宮亮顕輔家歌合)

天のはら時雨にくもる今日しもぞもみぢの色はてりまさりける(西宮歌合)

くれなゐの時雨ふればやいそのかみふるたびごとに野べを染むらむ(新千載和歌集)

野べごとにしぐれに染まるいろいろのもみぢの錦たれか織りけむ(快明詠百首和歌)

秋ふかくなりにけらしな鈴鹿山もみぢは雨とふりまがひつつ(新勅撰和歌集)

みなかみに風やふくらし山川の瀬々のもみぢの色ふかく見ゆ(順集)

いかだしのかざす紅葉の色に見よこの川かみの秋のふかさは(宝治百首)

にはのおもに散りてつもれるもみぢ葉は九重にしく錦なりけり(千載和歌集)

なみださへ時雨にそへてふるさとはもみぢの色も濃さぞまされる(伊勢集)

ちしほまで染むるもみぢを見るよりも袖のなみだや色まさるらん(中務内侍日記)

秋風にあへず散りぬるもみぢ葉のゆくへさだめぬ我ぞかなしき(古今和歌集)

ものごとに秋ぞかなしきもみぢつつうつろひゆくをかぎりと思へば(万葉集)

(2009年11月9日の「紅葉(もみぢ)」の記事は削除しました。)