うす霧の空はほのかに明けそめて軒のしのぶに露ぞ見え行く(風雅和歌集)
ふる里の軒に生(お)ふてふ忍ぶ草しのびに君を恋ふるころかな(現存和歌六帖)
ひとりのみながめふるやのつまなれば人をしのぶの草ぞ生(お)ひける(古今和歌集)
ひとりしてながむるやどのつまに生ふるしのぶとだにも知らせてしかな(後拾遺和歌集)
あづま屋のをがやの軒のしのぶ草しのびもあへずしげる思ひに(千載和歌集)
荒れまさる軒のしのぶをながめつつしげくも露のかかる袖かな(源氏物語)
人知れずしのぶの草に置く露のみだれてのみや思ひ消えなむ(現存和歌六帖)
人しれずしげるおもひは軒におふるしのぶにつらき草の名ぞうき(草庵集百首和歌)
明け暮れは昔をのみぞしのぶぐさ葉ずゑの露にそでぬらしつつ(新古今和歌集)
(2009年11月5日の「しのぶ草」の記事は削除しました。)