「名残の雪」という用語は、日本国語大辞典・第二版には以下の二つの語釈があります。
①春先まで消え残っている雪。
②春になってから降る雪。
①は用例が記載されておらず、②は1780年の辞書例が記載されています。語釈①の用例として古そうな和歌があります。
あまの原春とも見えぬ眺めかなこぞの名残の雪の曙
(六百番歌合、余寒)
『六百番歌合・六百番陳情(岩波文庫)』岩波書店、1936年、28ページ
とし暮し名残の雪やおしからん跡たにつけて春はきにけり
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、守覚法親王、春)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、576ページ