「さ濡る」という単語の初例として、日本国語大辞典・第二版では、『初学和歌式』(1696年)からの例が添え得られていますが、600年近くさかのぼる用例があります。
月清みあけのの(ゝ)原の夕露にさゝめ分来(く)る衣(ころも)さぬれぬ
(雑廿首、野、仲実、1399)
『和歌文学大系15 堀河院百首和歌』明治書院、2002年、256ページ
さゝめかりのはらの露にさぬれつゝこひの衣の面影そたつ
(巻第四百二十三・後鳥羽院御集、詠五百首和歌、雑百首)
塙保己一編『続群書類従・第十五輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1981年、596ページ
なみのやの-うらにすむてふ-あまなれや-しほにさぬれて-ころもくちけり
(歌枕名寄・9642)日文研HPの和歌データベースより