monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

梅(むめ)

2010年02月06日 | 日本古典文学-和歌-春

しろたへの色はまがひぬあは雪のかかれる枝のむめのはつ花(嘉元百首)

いづれをかわきて折らまし梅の花えだもたわわに降れるしらゆき(新勅撰和歌集)

梅の花にほひも雪にうづもればいかにわきてか今朝は折らまし(玉葉和歌集)

かすめどもかくれぬものは梅のはな風にあまれる匂ひなりけり(風雅和歌集)

あさみどり春の空より散る雪にこずゑの梅もにほひぬるかな(新千載和歌集)

おほぞらは梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月(新古今和歌集)

月夜にはそれとも見えず梅のはな香をたづねてぞ知るべかりける(古今和歌集)

軒ちかきむめのこずゑに風すぎてにほひに覚むる春の夜の夢(秋篠月清集)

山里は垣ねの梅のうつり香にひとり寝もせぬここちこそすれ(後拾遺和歌集)


わがやどに咲きたる梅の月きよみ夜な夜な見せむ君をこそ待て(古今和歌六帖)

ねやちかき梅のにほひに朝な朝なあやしく恋のまさるころかな(後拾遺和歌集)

あかざりし君がにほひの恋しさに梅の花をぞけさは折りつる(拾遺和歌集)

我妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の木みるごとに心むせつつ涙しながる(万葉集)


年をへてかはらぬ梅のにほひにもなほいにしへの春ぞ恋しき(風葉和歌集)

梅が香にむかしを問へば春の月こたへぬかげぞ袖にうつれる(新古今和歌集)


梅と鶯

2010年02月05日 | 日本古典文学-和歌-春

梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあは雪ぞ降る(万葉集)

梅が枝のこずゑをこむる霞よりこぼれてにほふうぐひすのこゑ(後鳥羽院御集)

風わたる軒ばの梅にうぐひすの鳴きて木(こ)づたふ春のあけぼの(千載和歌集)

うぐひすの鳴きつる声にさそはれて花のもとにぞ我は来にける(後撰和歌集)

折る人のあたりに匂ふ梅が枝をあかずとや鳴くうぐひすの声(風葉和歌集)

あをやぎをかた糸に縒りてうぐひすの縫ふてふ笠は梅の花笠(古今和歌集)


鶯(うぐひす)

2010年02月04日 | 日本古典文学-和歌-春

うちなびき春さり来(く)れやみよし野の高城(たかぎ)の山にうぐひすの鳴く(夫木抄)

春たてば雪のした水うちとけて谷のうぐひす今ぞ鳴くなる(千載和歌集)

春とだに人はおとせぬ山かげの竹の戸あくるうぐひすのこゑ(心敬僧都十躰和歌)

あしひきのやま谷こえて野づかさに今は鳴くらむうぐひすのこゑ(万葉集)

ふりつもる雪きえがたき山ざとに春をしらするうぐひすの声(後拾遺和歌集)

雪かかるそともの梅はおそけれどまづ春告(つ)ぐるうぐひすのこゑ(風雅和歌集)

風わたる窓のくれ竹うちなびき春や来(き)ぬらし鶯の鳴く(宗尊親王三百六十首)

御園生(みそのふ)の竹のはやしにうぐひすはしば鳴きにしを雪は降りつつ(万葉集)

のどかなるかすみの色に春みえてなびく柳にうぐひすの声(風雅和歌集)

聞きくらす鶯の音のつくづくとただのどかなる春の山ざと(伏見院御集)


日本古典文学-和歌

2010年02月04日 | 日本古典文学-和歌

 当ブログの「日本古典文学-和歌」のカテゴリーでは、古典和歌を季節順に並べることを試みています。(恋の歌や雑の歌など、無季節の歌もなるべくそれっぽい季節のところに混ぜてしまおうと思ってます。)
 現在の暦をずらさないで陰暦の暦として使っているため、実際の季節とはズレがありますが、御了承ください。1~3月を春、4~6月を夏、7~9月を秋、10~12月を冬としています。

 和歌を選ぶ基準は、わかりやすい歌で、詞書なしでも歌意が取れる歌、室町時代以前の歌。百人一首は入れていません。
 作者は調べるのが面倒なので、載せませんでした。和歌を探すのに、手元にある本や、サイト「国際日本文化研究センターの「和歌データベース」などを利用しています。
 漢字と平仮名は勝手に自分なりに表記しています。掛詞として使用されている単語はなるべく平仮名で書くようにしています。

 また、ブログに載せたあとで適当な歌を発見したときは、付け加えたりしてます。

 参考にさせていただきたいような好サイトを発見! 水垣さんの「やまとうた」です。
 「和歌歳時記」と「雁の玉梓(ブログ)」を合わせて閲覧すれば、当ブログの和歌も充実しそうです。
 他にも「和歌のための文語文法」など、ゆっくり拝見したいカテゴリがたくさん!


春の三日月

2010年02月03日 | 日本古典文学-和歌-春

さえにける空はきさらぎ初春(はつはる)のかげにおぼめく今日のみか月(春夢草)

いでぬれどあるかなきかのかげならし雲まにかすむ春の三日月(文保百首)

なにはがた霞のまよりほの見えて波にかげろふはるのみかづ き(老若五十首歌合)

ぬしやたれ霞の袖に引く弓のかげあらはるる春の三日月(草根集)
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宵のまにほのかに人をみか月のあかで入りにし影ぞ恋しき(金葉和歌集・二度本)

知られじな霞にもるる三日月のほの見し人に恋ひわびぬとも(宝治百首)

ほのかなるおもかげばかりみか月のわれて思ふと知らせてしがな(宝治百首)

いにしへの春の空まで思へとやわれて入りぬるけふの三日月(春夢草)