社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

介護主体のホスピス型グループホームの提唱を  岡部医院 (月刊GPnet 2005 7月)

2008-04-17 16:24:11 | 医学
宮城県にある「岡部医院」の理事長(恐らく医師)と医療ソーシャルワーカーの共著。
岡部医院は医師や看護師のみならず、MSW、ケアマネ、OT、鍼灸師、ボランティアコーディネーターがおり、チームを組んでいる。ここでのソーシャルワーカーの役割はすべてケアマネと並列で列記され、「連絡調整職種」と認識されている。

引用
「MSWやケアマネージャーは在宅開始前より介入し、医療費や体制の説明、相談、社会資源の紹介、環境調整を行う。(中略)医療費の不安や環境の不備のため在宅に移行できないケースも少なくない。正しい情報を提供し、在宅療養の不安要素を少しでも減らすという意味において重要な役割を果たす。」


「医療を受けられるために、療養環境を整える」…これは私自身の研究結果においても、明らかになった役割の一つだ。このことを、共著であれ医師の立場から明示してもらえたことは大きい。
在宅で介護をしようと腹をくくる、もしくは「家で死にたい」と意志表示をする…
これを患者さんや家族が抵抗なく行えるためには、多くの問題をクリアにしなければ実現は難しい。
だからこそ、さまざまなスキルを持った専門家が、各々の専門性を発揮し、支援していく必要があるのだろう。

ソーシャルワーカーの専門性…教科書的なことは理解でき、必要性は自分は感じている。しかし在宅医療の領域は俄然、少数派。介護保険対象者であればケアマネと混同され、出る幕がないことが無くもない…。
他職種が「自分たちは苦手だが、これをやってくれる専門家は必要!!」みたいな研究結果は、ないものだろうか…
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わが国は医療が進歩する一方で、課題の多い在宅ターミナルケア(月刊GP net 2005 7月号)

2008-04-16 18:40:11 | 医学
京都にある、大原在宅診療所の医師たちによる実践報告。
がん患者のみならず、高齢者のケースについても報告している。
在宅ターミナルを希望する患者は、グループ内の医療機関からの紹介、グループ外医療機関からの紹介、患者もしくは家族がインターネットなどで知り、直接相談してくる場合・・・の3パターンある。本来であれば、患者家族・紹介元医療機関・在宅診療所の3者合同のカンファレンスを開催した後に、主治医を移行することが望ましい。しかしグループ外医療機関から紹介を受ける場合、ある日突然病院連携室から連絡が入り、主治医からは紹介状が送られてくることが多い。

→病診連携が十分に行えていないことで、診療所の医療者と患者家族の信頼関係の構築に支障を来し、患者家族も、紹介元の病院に気持ちを残し続けてしまうことを指摘。今後の課題としている。


・病診連携がスムーズに行えているかどうかで、その後の役割分担の明確さが目に見えて違ってくる。これは私も、自身の経験から痛感している。
・疾患に対する不安、生活に対する不安に加え、役割分担が不明確であった場合は「主治医の存在があいまい」という、新たな問題を患者家族に背負わせてしまう。


上記のようなことを取り除くためにも、スムーズな病診連携は重要。「連携」を自身の専門技術としているソーシャルワーカーは、ここでも役割を発揮できるのではないだろうか?



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在宅での看取りのケア 家族支援を中心に  宮崎和加子 (日本看護協会出版会)2006

2008-04-15 14:52:24 | 看護学
訪問看護師の在宅ターミナルの役割を、事例を通して具体的に紹介。それ以外にも、在宅ターミナルの概要も整理されている。


昨日のブログで、緩和ケアにおけるソーシャルワーカーの役割で「コーディネート」も重要なもののひとつであることが、頭の中で整理できた。でも、ソーシャルワーカーが存在しない医療チームも多くあるわけで、そのチームのコーディネーターはどの職種なのか?という素朴な疑問が残った。在宅においては、医療的なニーズが高ければ、介護保険対象者であっても、訪問看護師がコーディネーターの役割を果たすこともあるだろう…と考え、この文献を読んだ。
結果…やはり、訪問看護師の役割として「コーディネーター」があることが記され(P.96)、在宅ターミナルケアの中心的な役割を担う(P.107)とも記されている。この文献では、「ソーシャルワーカー」は「相談員」の一員としてまとめられ、チームの一員というよりも、「地域の相談窓口」であったり、「訪問看護を依頼してくる窓口」(P.106)として記されている。


・在宅ターミナルケアでのソーシャルワーカーの「コーディネーター」の役割は、チーム全体のものではなく、あくまで所属機関にとどまるものなのか?
・これまでの文献を通して、ターミナルケア(緩和ケアとイコールでよいのかは、未だ模索中…)+在宅ケア+在宅医療でのソーシャルワーカーの役割には、「人権擁護」「コーディネーター」」というキーワードが浮上…自身の頭の整理
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保健医療ソーシャルワーク実践2 第1章第2節2-4緩和医療における倫理とソーシャルワーク(2004)

2008-04-14 21:07:11 | 社会福祉学
・緩和医療はガン患者を対象とするため、「医の倫理」と切り離せないものである
・ソーシャルワーカーの役割として、医療チーム内のコーディネートも重要であるが、患者や家族に対しての権利擁護も同様に重要である。筆者の実践現場では、その役割がきちんと果たせている

引用
「緩和医療におけるソーシャルワーク実践は、倫理的課題であるがん患者のインフォームドコンセントと自己決定が保障されるよう、家族を支え、家族の防衛を緩和することが必要」


そもそも、終末期でのソーシャルワーカーの役割はなんだろうか?という疑問から、この章を読んだ。自分の解釈として「終末期医療=緩和医療」とスッキリとさせてよいのか否かはおいといて…。
側面的なアプローチのみならず、患者や家族と向き合い、その発言や立場が保障されるよう働きかけることが必要とのこと。


緩和ケア病棟は1つの空間でチームが成り立っていることが多いため、(倫理的な)問題が複雑で、ややあいまいであっても、スタッフ同士が顔を合わせて話し合いができるため、共有しやすいのではないだろうか。
在宅の場合、医療チーム以外に他機関でケアチームが構成されていたり、インフォーマルなチーム(?)存在することが多いため、問題の共有化が難しいこともある。
だからこそ、ソーシャルワーカーの「コーディネーター」としての役割、ないし「ネットワーカー」としての役割が必要になってくるんだろうと思う。
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保健医療ソーシャルワーク実践2 第2章第2節各論4 在宅医療とソーシャルワーク(2004)

2008-04-13 23:06:16 | 社会福祉学
在宅医療とソーシャルワークについて、その展開を論じている。
やや表面的な内容で、具体性がない印象を受ける。いわゆる「テキスト」だからなのか…。
ソーシャルワークに求められている機能は、チーム(在宅ケア、在宅医療)がうまくいくためのコーディネーターである…とのこと。


求められている機能…「コーディネーター」。これはチーム医療の必要性がいわれ、浸透しつつある現在では、どの領域でも同じなのではないだろうか?そう思い、次の各論「高齢者医療とソーシャルワーク」を読み進めると、やはりそうであった。

「在宅医療におけるソーシャルワーカーの特徴」…これについてのもう少し深い言及はないだろうか。
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新ホスピス宣言  山崎章郎 米沢慧 (雲母書房)2006

2008-04-12 12:20:49 | 医学
ケアタウン小平での実践内容のみならず、ホスピスの歴史や日本での現状についても言及。両者の対談方式で展開されている。

日本のホスピスケアは、医療保険に組み込まれ、緩和ケア病棟の創設を機に発展をしてきたが、そのことで対象者ががん末期とエイズ患者に限定をされてしまっている現状を危惧。対象者はもっと広くあるべきで、もちろん病棟で終結すべきものではないと主張している。
ケアタウン小平は、医療サービスなどの提供機関として地域に発信をし、ホスピスケアを越えたコミュニティケアを展開している。


 ・疾患や年齢によって「ホスピスケア」を分けてしまうのは違うのではないか?という山崎氏に共感。
 ・山崎氏は介護支援専門員の資格も有しているため、その視点から患者や家族にアドバイスを可能とのこと。
  →介護も含めて、社会・生活面からのアプローチもできる医師や看護師が増えたら、ソーシャルワーカーの専門性は何とするのか?ますますソーシャルワーカーの立場が…
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特別養護老人ホームにおけるターミナルケアの実践・鳥海房枝(March 2008 月刊福祉)

2008-04-10 15:33:30 | 社会福祉学
特養あじさい荘での看取りの実践報告

・入居時に「逝き方」を本人・家族と考えている
・介護職員も死期が近づく時の身体の変化を把握していて、必ずしも看護職のみが ケアに入り込んでいる訳ではない


生活指導員(≒ソーシャルワーカー)についての記載はなし。「介護職員」の介護の在り方、姿勢が中心


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介護・福祉現場における看取りの現状と課題・中西三春(March 2008 月刊福祉)

2008-04-10 14:59:54 | 社会福祉学
在宅死を実践した訪問看護ステーションと、看取りの実践経験があるグループホームを対象とした調査研究。

訪問看護師がケアプランへの関与が大きくなるケースは、ケアマネージャーの利用者宅への訪問回数が多く、両職種の「協働」が援助のポイントになっている…という考察結果。

グループホームでの看取りの実践については、介護職員を「福祉職」として取り上げ、その内容を記している。


ソーシャルワーカーは、登場していない。社会福祉から見ても、ターミナルケアでの「ソーシャルワーク」というのはマイナーなものなのだろうか。

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在宅医療におけるソーシャルワークの実践報告(医療と福祉 No.80 Vol.40-No.1)

2008-04-10 11:13:11 | これまでの活動
日本医療社会事業学会で大きな反響をいただいたので、書面で事例の詳細を紹介したいということで、修士論文をコンパクトにまとめました。

 概要
 厚生労働省が提案している、「在宅医療における分類別の提供体制のあり方」を 踏まえ、以下のカテゴリー別に1事例づつ援助経過を紹介。
 ・高齢者など看護や介護が中心の在宅医療
 ・患者自ら医療技術を用いる在宅医療
 ・在宅末期医療

 ・主治医不在者への診察とアセスメント←このカテゴリーについては、自身の経験から、別枠として設ける必要があると判断し、追加している
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在宅医療におけるソーシャルワーク~その役割と機能~ (第25回 日本医療社会事業学会 発表)

2008-04-10 11:01:38 | これまでの活動
自身の修士論文が原案。
在宅医療領域のソーシャルワーカーの役割と機能を、業務分析結果を踏まえて報告。

 研究結果
在宅生活は、医療環境が整っていない場合が多いため、その不都合を最小限にとどめられるよう、在宅医療の領域のソーシャルワーカーは、療養生活そのものの基盤作りから支援していることが明らかになった。これは病院のソーシャルワーカーにはみられにくい、特徴的な役割のひとつだと考えられる。またこのような役割を果たすことで、在宅酸素が必要な人、進行性の難病を抱える人、末期状態にある人など、いわゆる重症患者の在宅生活を支援していくことに有効な機能を果たしていることが明らかになった。
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