Aちゃんは、運動会で紅白リレーの選手になりたかった。
1年生でも2年生でも、補欠だった。
だから、今年こそはと、密かに朝のジョギングを続け、足腰を鍛えた。
両親は、そんなAちゃんの姿を見て、何とか選手にと願った。
選手を決める日がきた。
50メートル走でタイムがよかった子4人で、
リレーと同じコースを走り、
1位と2位が選手、3位が補欠である。
担任からは、「1回で決める。やり直しはない。」と念押しがあった。
スタート合図と共に、一斉に走り出した。
Aちゃんは、今年も3位だった。
その日の夕食で、お父さんから、「どうだった。」と訊かれた。
悔しさのあまり、言い訳がましく、
「スタート合図が変で、遅れたから、3位。今年も補欠。」と言った。
「じゃ、スタートがよかったら、選手になれたのか。」と訊くお父さんに、
「きっと、なれたと思う。」
Aちゃんは、強がった。
これが、ことを面倒にした。
お父さんは、担任に電話をした。
もう一度、リレー選手の選び直しを求めた。
「スタート合図が悪かったのでは。」とくり返し担任に迫った。
そして、「やり直しをしてください。」と要望を言い続けた。
それは、1時間以上にもおよんだ。
翌日遅く、今度は担任の自宅に電話があった。
ここでも、1時間を越える電話だった。
その翌日も、長い電話があった。
とうとう、担任は「もう一度だけ。」と承知した。
承知しない限り、その電話はくり返されると思ったからだ。
翌日、選手候補4人によるやり直しを行った。
「私のスタート合図が悪かったので、力を出せなかった友だちがいました。
もう一度、決め直しをします。」
と言って、スタート合図をした。
結果は、何一つ変わらなかった。
その夜、担任は電話を待った。
謝罪でなくても、反省やお礼でもよかった。
電話が鳴ることはなかった。
保護者からの苦情の一例である。
やり直した結果が同じたっだことが、幸いした。
仮に、着順が違っていたら、事は複雑な展開になり、
おそらく担任は、苦境に立たされたに違いない。
さて、7月27日、文科省は、
多忙化する学校現場の業務改善ガイドラインを公開した。
その中で、多くの教員が負担に感じていることとして、以下を上げている。
① 国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応
② 研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成
③ 保護者・地域からの要望・苦情等への対応
④ 児童・生徒、保護者アンケートの実施・集計
⑤ 成績一覧表・通知表の作成、指導要録の作成
大きく括るなら、
①、②、④、⑤は、事務処理のカテゴリーになるだろう。
簡単ではないにしても、これらへの負担感は、
ICTの有効活用やシステムの見直し等が
軽減への手がかりになると思う。
しかし、苦情等への対応は、益々難しさが増していくように思う。
法に抵触するような、苦情への対応策として、
弁護士の派遣制度を取り入れている教育委員会もある。
私も来て頂いた弁護士の方の助言に助けられた経験がある。
しかし、前述に類似した苦情の事例は、いたる所の学校にあるように思う。
どんな策も、これらの苦情をゼロにすることはできないが、
苦情を少なくしたり、苦情の解決を容易にしたりする手立てはあるように思う。
学校の危機管理は、
クライシスマネージメントではなく、リスクマネージメントが基本である。
苦情のない学校、苦情の少ない学校にすることが重要なのである。
それは、おきた苦情への対応に費やすエネルギーより、
はるかに少ないエネルギーで済むことである。
苦情等に対するリスクマネージメントのキーワード。
それは、学校に対する『確かな信頼関係づくり』である。
私は、その策として3つの視点を上げたい。
第一は、子どもと教師の信頼関係が基盤となる。
・分かりやすく教えてくれる教師、
つまり、様々な引き出しをもった指導力のある教師
・自分をはじめ子供たちを理解し、背中を押してくれる教師、
つまりは、子ども理解のできる教師
・親以外で、一番身近にいる大人として、そのしぐさやふるまい、喜怒哀楽に、
人として惹かれるものがある教師
子どもは、こんな教師の姿に信頼を寄せる。
そんな教師は、その子とだけの信頼関係ではなく、
多くの子どもと良好な関係を作ることができる。
だから、「先生が好き。」、「学級が好き。」、
「学校が好き。」と、広がっていく。
そんな想いの連鎖は、必ずや子ども自身に大きな変容をもたらす。
毎日を伸び伸びと楽しげに過ごす源になる。
保護者や地域は、そんな子どもを見るのである。
子どもの生き生きと成長する姿が、学校への信頼に繋がるのだ。
付け加えるなら、
毎日、学校での様子を嬉しそうに家族に話す子ども、
リレーの選手になれなくても、全力でその走りを応援する子ども、
授業で進んで挙手し、、間違いを恐れない子ども、
鼓笛パレードで胸を張って演奏する子ども、
そんな子どもを目の当たりにすることを通して、信頼に確かさが加わる。
学校には、多くの機会を設け、
教師と子どもの信頼関係に裏打ちされた、真に生きた子どもの姿を、
保護者や地域に伝える努力が、強く求められる。
なお、『確かな信頼関係づくり』の策・第2、第3は、後日とする。
路傍に咲く黄色のガーベラ(八重) 花言葉は「究極美」
1年生でも2年生でも、補欠だった。
だから、今年こそはと、密かに朝のジョギングを続け、足腰を鍛えた。
両親は、そんなAちゃんの姿を見て、何とか選手にと願った。
選手を決める日がきた。
50メートル走でタイムがよかった子4人で、
リレーと同じコースを走り、
1位と2位が選手、3位が補欠である。
担任からは、「1回で決める。やり直しはない。」と念押しがあった。
スタート合図と共に、一斉に走り出した。
Aちゃんは、今年も3位だった。
その日の夕食で、お父さんから、「どうだった。」と訊かれた。
悔しさのあまり、言い訳がましく、
「スタート合図が変で、遅れたから、3位。今年も補欠。」と言った。
「じゃ、スタートがよかったら、選手になれたのか。」と訊くお父さんに、
「きっと、なれたと思う。」
Aちゃんは、強がった。
これが、ことを面倒にした。
お父さんは、担任に電話をした。
もう一度、リレー選手の選び直しを求めた。
「スタート合図が悪かったのでは。」とくり返し担任に迫った。
そして、「やり直しをしてください。」と要望を言い続けた。
それは、1時間以上にもおよんだ。
翌日遅く、今度は担任の自宅に電話があった。
ここでも、1時間を越える電話だった。
その翌日も、長い電話があった。
とうとう、担任は「もう一度だけ。」と承知した。
承知しない限り、その電話はくり返されると思ったからだ。
翌日、選手候補4人によるやり直しを行った。
「私のスタート合図が悪かったので、力を出せなかった友だちがいました。
もう一度、決め直しをします。」
と言って、スタート合図をした。
結果は、何一つ変わらなかった。
その夜、担任は電話を待った。
謝罪でなくても、反省やお礼でもよかった。
電話が鳴ることはなかった。
保護者からの苦情の一例である。
やり直した結果が同じたっだことが、幸いした。
仮に、着順が違っていたら、事は複雑な展開になり、
おそらく担任は、苦境に立たされたに違いない。
さて、7月27日、文科省は、
多忙化する学校現場の業務改善ガイドラインを公開した。
その中で、多くの教員が負担に感じていることとして、以下を上げている。
① 国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応
② 研修会や教育研究の事前レポートや報告書の作成
③ 保護者・地域からの要望・苦情等への対応
④ 児童・生徒、保護者アンケートの実施・集計
⑤ 成績一覧表・通知表の作成、指導要録の作成
大きく括るなら、
①、②、④、⑤は、事務処理のカテゴリーになるだろう。
簡単ではないにしても、これらへの負担感は、
ICTの有効活用やシステムの見直し等が
軽減への手がかりになると思う。
しかし、苦情等への対応は、益々難しさが増していくように思う。
法に抵触するような、苦情への対応策として、
弁護士の派遣制度を取り入れている教育委員会もある。
私も来て頂いた弁護士の方の助言に助けられた経験がある。
しかし、前述に類似した苦情の事例は、いたる所の学校にあるように思う。
どんな策も、これらの苦情をゼロにすることはできないが、
苦情を少なくしたり、苦情の解決を容易にしたりする手立てはあるように思う。
学校の危機管理は、
クライシスマネージメントではなく、リスクマネージメントが基本である。
苦情のない学校、苦情の少ない学校にすることが重要なのである。
それは、おきた苦情への対応に費やすエネルギーより、
はるかに少ないエネルギーで済むことである。
苦情等に対するリスクマネージメントのキーワード。
それは、学校に対する『確かな信頼関係づくり』である。
私は、その策として3つの視点を上げたい。
第一は、子どもと教師の信頼関係が基盤となる。
・分かりやすく教えてくれる教師、
つまり、様々な引き出しをもった指導力のある教師
・自分をはじめ子供たちを理解し、背中を押してくれる教師、
つまりは、子ども理解のできる教師
・親以外で、一番身近にいる大人として、そのしぐさやふるまい、喜怒哀楽に、
人として惹かれるものがある教師
子どもは、こんな教師の姿に信頼を寄せる。
そんな教師は、その子とだけの信頼関係ではなく、
多くの子どもと良好な関係を作ることができる。
だから、「先生が好き。」、「学級が好き。」、
「学校が好き。」と、広がっていく。
そんな想いの連鎖は、必ずや子ども自身に大きな変容をもたらす。
毎日を伸び伸びと楽しげに過ごす源になる。
保護者や地域は、そんな子どもを見るのである。
子どもの生き生きと成長する姿が、学校への信頼に繋がるのだ。
付け加えるなら、
毎日、学校での様子を嬉しそうに家族に話す子ども、
リレーの選手になれなくても、全力でその走りを応援する子ども、
授業で進んで挙手し、、間違いを恐れない子ども、
鼓笛パレードで胸を張って演奏する子ども、
そんな子どもを目の当たりにすることを通して、信頼に確かさが加わる。
学校には、多くの機会を設け、
教師と子どもの信頼関係に裏打ちされた、真に生きた子どもの姿を、
保護者や地域に伝える努力が、強く求められる。
なお、『確かな信頼関係づくり』の策・第2、第3は、後日とする。
路傍に咲く黄色のガーベラ(八重) 花言葉は「究極美」
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