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多くの映画ファンがそうであるように、僕もグレン・ミラーと聞いて、本人よりも先にジェームズ・スチュワートの顔を思い浮かべるくらい、演じた人のキャラクターが確立した珍しい伝記物だ。もともとジミー・スチュワート自身がユニバーサルに企画を持ち込んだといわれているが、ちょうどこの頃は、アンソニー・マン監督作品に立て続けに主演していた時期で、マン:スチュワートのコンビは、「ウィンチェスター銃'73」など西部劇が多く、音楽物は意外な気がしたものだ。“アメリカの良心”とも謳われたジミー・スチュワートは、アンソニー・マン以外にもフランク・キャプラ、アルフレッド・ヒッチコック、ジョン・フォード、ビリー・ワイルダーなど大監督たちにも重用された。僕のオールタイム・ベストワン男優はジミー・スチュワートだ。さらにこの映画の魅力は妻ヘレンを演じたジューン・アリソンだ。これまた当時彼女には“理想の妻”というような呼び名があったが、ジミー・スチュワートとは都合3回、夫婦役を演じている。ジューン・アリソンはこの映画の他にも「若草物語」や「マッコーネル物語」などを見て大好きになった想い出がある。それからこの映画の最大の魅力はなんといっても“スイング・ジャズ”。ごきげんなグレン・ミラーサウンドが聴ければもう「オール グッド!」。