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「奇跡の人」のアーサー・ペン監督が亡くなった。彼の作品で最もヒットしたのは「俺たちに明日はない(1967)」だと言われている。しかし、「奇跡の人」なくしてアーサー・ペンの成功はあり得なかっただろう。三重苦の偉人ヘレン・ケラーを教育したアン・サリバン先生の物語は、もともと舞台劇としてアン・バンクロフト、パティー・デュークの配役で演じられ、その演出を担当したアーサー・ペンが自ら、同じ配役で映画化したものだ。映画でも二人の演技は凄かった。その年の、アカデミー主演女優賞と助演女優賞をダブル獲得したのは当然といえる。映画デビュー作の「左きゝの拳銃(1958)」も含め、「奇跡の人」以降も「逃亡地帯(1966)」、そして「俺たちに明日はない」など、社会性の強い作品を次々と発表していたが、晩年は徐々に影が薄くなっていったのは残念だ。ちなみに「奇跡の人」とは、ヘレン・ケラーに奇跡を起こしたアン・サリバンのことだ。
※アン・サリバン役のアン・バンクロフトとヘレン・ケラー役のパティー・デューク