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末の松山 波越さじとは
最近、女性からフラれた男が逆恨みして、ストーカー行為に及んだり、最悪のケース、女性を殺害したりという事件が後を絶たない。これらの事件を取り上げたテレビ番組などでは「最近の男はあきらめが悪い」とか「女々しくなった」とかいう話をよく聞く。
そうだろうか。もともと女性より男性の方があきらめが悪く、女々しいのだという説もある。
実はこの歌、別れたくない男ごころの歌である。詠んだのは平安時代中期の歌人で肥後の國司も務めた清原元輔(きよはらのもとすけ)、清少納言のお父さんでもある。この歌を現代風に訳すと
約束しましたよね。お互いに袖を絞るほど泣き濡れて。永遠の愛を誓ったあなたが心変わりするなど、まるで末の松山を波が越えるような、あり得ないことだと。
女性から別れを告げられ、別れたくない男の切々たる想いが伝わってくる。つまり、男は平安時代の昔からちっとも変わらないのだという気もするのである。もっとも清原元輔のような大歌人ともなると、口から出まかせで詠むこともあったらしいから、清原元輔にこの歌のような状況があったかどうかはわからない。