
熊本民謡「おてもやん」は、今日では、三味線と踊りの師匠だった永田イネさんが明治時代後期に作詞・作曲したという説が定説となっている。しかし、永田イネ説が定説になったのは割と最近のことで、昭和57年(1982)4月に発行された「熊本県大百科事典」には熊本民謡「おてもやん」について、「唄が完成したのは幕末のころというのが一応の定説・・・」として永田イネやおてもやんのモデルについてはひと言も触れていない。これは永い間、永田イネさんのご家族や関係者が事情があって伏せてこられたことが影響しているようだ。しかし、徐々に断片的に明らかになってきた事がらを検証し、事実と事実を繋ぎ合わせ、「おてもやん」誕生の物語を紡ぎあげられたのが小山良先生(小山音楽事務所主宰)で、その著書「くまもと人物紀行 おてもやん」(2006年6月熊本出版文化会館発行)が、それまで諸説あった「おてもやん」の起源を、一気に永田イネ説に収斂させた。来週16日(火)は永田イネさんの命日である。