徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

「この道」 ~北原白秋の半生~

2018-09-12 21:23:23 | 映画
 来年早々に楽しみな映画が公開される。佐々部清監督の「この道」だ。鈴木三重吉が興した「赤い鳥」運動に参画した北原白秋の半生を、山田耕筰との関係などを中心に描くらしい。佐々部監督の作品は最近こそ見ていないが、「日輪の遺産」(2011)あたりまではほとんど見ている好きな監督の一人。どんな白秋像を描くかお手並み拝見だ。
 昨年他界された「評伝 海達公子」の著者、規工川佑輔先生がご健在ならどれほど楽しみにされたかと思うと…
白秋の愛弟子でもあった公子について研究された規工川先生は、白秋についても精通しておられて、よくお話を聞かせていただいたものだ。この映画でそれがどう表現されているかじっくり見てみたい。
 北原白秋を大森南朋、山田耕筰をEXILE AKIRA、鈴木三重吉を柳沢慎吾が演じている。他の出演者は貫地谷しほり、松本若菜、小島藤子、由紀さおり、安田祥子、津田寛治、升毅、羽田美智子、松重豊など。


随兵寒合と「秋の色種」

2018-09-11 20:33:40 | 音楽芸能
 朝晩めっきり涼しくなり、明け方には布団が恋しいほどです。異常に暑い夏が続いたせいか、その落差を例年以上に感じます。
 今週末には熊本市秋の風物詩、藤崎八旛宮例大祭が行われます。昔から、この祭りを境に熊本は急に冷え込んで来ることから、熊本の人たちはこのことを「随兵寒合(ずいびょうがんや)」と言ってきました。確かに幼い頃、父に手を引かれて朝随兵を見に行く時、肌寒さに震えながら行っていた記憶があります。今では祭りの開催日が変動するようになったこともあり、「随兵寒合」を実感することが少なくなったような気がします。今年は「随兵寒合」が少し前倒しになったようです。
 野山へ行くと秋の草花が咲き始めました。この季節になるときまって聞きたくなるのが「秋の色種(あきのいろくさ)」。秋景色を描写したお座敷長唄の代表曲ですが、この映像はその一部「琴の合方」です。


三味線:今藤珠美社中
  筝:下田れい子
 鳴物:中村花誠と花と誠の会
 振付:中村花誠
 立方:ザ・わらべ

ブラタモリ 酒田編(9月29日放送)

2018-09-10 23:00:18 | 歴史
 今月29日(土)に放送予定の「ブラタモリ 酒田編」(NHK総合)は、わが熊本にもゆかりの町であり、放送が楽しみだ。酒田は東北は山形県、日本海に面し、かつて北前船の寄港地として栄えた港町。江戸時代の酒田は鶴岡とともに庄内藩の主要な町。この庄内藩は藤沢周平の小説「蝉しぐれ」や「たそがれ清兵衛」などの舞台となった架空の「海坂(うなさか)藩」のモデルでもある。
 庄内藩を経済的に支えたのが本間家。本間家は酒田を拠点に金融業や米取引、北前船交易などで莫大な富を築き、16万石の庄内藩主を超える財力を有していた豪商。歴代の本間家当主は私財を投げうって、明治維新期の戊辰戦争時まで庄内藩を支え続けたという。
 寛永九年(1632)に肥後熊本藩主を改易された加藤忠広は庄内へ配流となり、庄内藩主・酒井忠勝お預けの身となった。1万石を与えられ、母や側室、少数の家臣とともに丸岡に居を構えるが、実質的には蟄居であり、子を生すことは幕府から固く禁じられた。それから21年後に忠広が死去、忠広と同時に飛騨高山に配流された嫡男の光広はわずか1年で死去していたので加藤家は断絶したということになっていた。ところが、実際には忠広が丸岡でもうけた一男一女がいたと伝えられており、幕府の追及を逃れたこの二人の血筋が新堀加藤家と大山加藤家として今日まで続いているという。そして新堀加藤家は前述の酒田本間家と姻戚関係となり、大山加藤家は鶴岡市で富士酒造として酒造業を営んでいる。数年前、知人から鶴岡旅行の土産としていただいたのが富士酒造の「有加藤」だった。
 29日の放送では、本間家に伝わる加藤清正ゆかりの品も登場するらしい。
※「無題・休題-ハバネロ風味-」さんに資料を提供いただきました。


2011年に復元された北前船「みちのく丸」が酒田港に寄港した時の様子


酒田本間家本邸


鶴岡・富士酒造の日本酒「有加藤」



湊町華やかなりし頃を髣髴とさせる酒田舞娘。
動画の後半に熊本の「おてもやん」と原曲が同じだという「酒田甚句」が入っています。

落語「明烏(あけがらす)」

2018-09-08 15:40:13 | 音楽芸能
 「落語ディーパー!」(NHK-Eテレ)の新シリーズが始まった。毎回、春風亭一之輔師匠や若手落語家たちと堂々と渡り合う俳優の東出昌大の落語に対する造詣の深さに驚き。第1回は、遊廓を舞台にした廓噺(くるわばなし)の中でも代表的な「明烏」。吉原の遊女浦里と春日屋時次郎の情話を節付した新内節「明烏夢泡雪(あけがらすゆめのあわゆき)」がもとになっている。遊女との一夜が無粋なカラスの鳴声とともに明け、後朝の別れをせねばならない。そんなつれないものの象徴が明烏なのである。この落語の面白さは登楼する前と後で立場が逆転するオチ。

▼「明烏(あけがらす)」あらすじ


 新内節「明烏夢泡雪」をもとに音曲、歌舞伎、落語など多くの「明烏モノ」が作られた。それらに共通するのは浦里・時次郎という登場人物の名前。近年、話題となった笑福亭鶴瓶の新作落語「山名屋浦里」も遊女浦里の名前を借りている。熊本県牛深地方の民謡「牛深三下り」(下の映像)の唄い出しにも「明烏夢泡雪」の一節が引用されている。


〽浦里 嘆けば みどりも嘆く もらい泣きする 明烏

あの日のこと

2018-09-06 17:05:41 | ニュース
 朝起きると同時につけたテレビは北海道の地震のニュースを伝えていた。画面で見る光景に2年半前の悪夢がよみがえる。午後になって震度7だったという情報。やっぱりそうかと納得。テレビを見ながら2年半前のあの日々のことをつい振り返っていた。
 二晩を車中で明かした後、当時94歳の母にとってこれ以上は無理と判断。近くの中学校に設けられた避難所を覗いて見たが、そこも母には無理と判断。やむなく、姉婿の親族が経営する保育園の一室に泊めてもらい食事まで提供してもらい助かった。ただ、水が出ない不便さを実感させられた。それからしばらく余震は続いた。車は命綱だったので給油に行ったが、スタンドは軒並み売切れ。あきらめて帰ろうとすると、今度は道路の大渋滞に巻き込まれた。水や食料ほか生活用品を買い求める人々が在庫している店を探し回っていた。今でもゾッとするような思い出だ。おそらく北海道の被災者の皆さんも同じような目に遭っているのだろう。


近くのマンションがわが目を疑うような変わり果てた姿に(2016年4月17日)

舞台で死ぬのが本望 玄海竜二さん

2018-09-05 18:04:37 | 音楽芸能
 今週末の9月8日、嘉穂劇場(福岡県飯塚市)における「全国座長大会」を復帰公演とすることを目標にリハビリに励んでいた玄海竜二さんが、先日、誤嚥性肺炎で再び倒れたという。幸い大事には至らなかったものの、舞台復帰には暗雲が。玄海さんはそれでもギリギリまで出演を目指すようだ。「舞台の上で死ぬのが本望」とおっしゃるが、まだまだ大衆演劇役者としての夢を見果てぬ夢に終わらせてほしくない。


薔薇の名前(100分 de 名著)

2018-09-04 22:41:36 | 文芸
「100分 de 名著」(NHK Eテレ)今回は「薔薇の名前」。30年ほど前公開の大好きな映画だが、ウンベルト・エーコの原作を読んだことはない。映画を見ただけでは謎が解け切れなかった(謎は謎のまゝでもいいのだが…)ので、今回「100分 de 名著」で取り上げてもらったのは好都合だ。

 物語の舞台は14世紀初頭。対立する教皇側と皇帝側の間を調停するための密使として北イタリアの修道院に派遣される修道士ウィリアムと見習いアドソ。到着早々、彼らは謎の連続殺人事件に遭遇し修道院長に事件解決を依頼されます。遺体発見の場は「ヨハネの黙示録」に描かれた世界終末の描写と酷似。持ち前の論理的な思考を駆使して推理を続けるウィリアムはやがて修道院内の図書館の奥に納められている一冊の本が事件の鍵を握っていることに気づきます。一体誰が何のために殺人を行っているのか? 一冊の本に秘められた謎とは? 果たしてウィリアムはその謎を解くことができるのか?(100分 de 名著のサイトより)

 映画のイメージを僕なりの表現をすると、「異形の修道院に棲む異形の修道士たち。そこで起きる摩訶不思議な殺人事件」。今回の番組で、映画では解けなかったいくつかの謎が解けるだろうか。


第410回 藤崎八旛宮例大祭 御能組

2018-09-03 18:24:10 | イベント
 熊本市の秋の風物詩、藤崎八旛宮例大祭が10日後に迫った。この祭は藤崎八旛宮が創建された承平5年(935)の頃から行われていた神仏習合の行事「放生会(ほうじょうえ)」を起源とし、1080余年の歴史を有するといわれる。現在、祭のメイン行事となっている御神幸「随兵(ずいびょう)」は、慶長3年(1598)に豊臣秀吉の死によって終結した「慶長の役」からの無事帰還を感謝して加藤清正が始めたと伝えられる。御神幸の御旅所で行なわれるのが御能奉納。今年は第410回を数える。ということは、戦争や天変地異などによって祭が中止された年も何度かあったであろうことを考えると、「随兵」と同時に始まったことがわかる。これほどの長い歴史を有する御能組は全国でも珍しいと思われる。御旅所の能舞台は今にも朽ち果てそうなおんぼろになってしまったが、毎年、喜多流・金春流による能を見ていると、熊本の悠久の歴史を感じるのである。

  日 時 9月16日(日)9:00~
  場 所 段山御旅所 能楽殿
  出 演 喜多流・金春流 


能「高砂」





能「半蔀」

ブラタモリ 那須編

2018-09-01 22:26:18 | テレビ
 今夜は久しぶりのブラタモリ。しかも熊本編以外では初めてのかつて居住したことのある地域であり、30数年前の懐かしい想い出を振り返りながら楽しんだ。「千本松牧場」や「南ヶ丘牧場」や「りんどう湖」などの観光スポットももちろん懐かしいのだが、なかでも蛇尾川は会社事業所の近くでもあり、その荒漠たる風景が印象深く残っており、特に懐かしかった。
 会社の先輩からよく聞かされたのは、工場用地を買収する時の苦労話。石ころだらけの那須野原に入植した人たちは、開墾時の苦労が並大抵ではなかったため、土地に対する愛着が誰よりも強く、用地買収は難航を極めたという。今日では首都圏からも近い一大リゾート地のイメージがあるが、不毛の地を開拓していった先人たちの血のにじむような苦労を忘れてはならないとあらためて思った。