どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぼくはワニのクロッカス

2019年08月09日 | 絵本(外国)

   ぼくはワニのクロッカス/作・ロジャー・デュボアザン 訳・今江 祥智 島 式子/童話館出版/1995年

   

 ワニといえば歯がキザキザで、こわもて。

 古いかしの木にすんでいたワニのクロッカスは、みんなとなかよくやっていけると思っていましたが、みつかると銃でドカンとやられると、小さくなってくらしていました。

 あひるのバーサは、ワニに同情して、お百姓のスイートピーさんのところにつれていきます。

 ところが、スイートピーさんのところの馬や牛、ぶた、にわとり、やぎは大騒ぎ、イヌのココも声がかれるほどほえたてました。

 でも、あひるのバーサのとりなしで、みんなと仲間としてやっていくことに。

 いつかスイートピーさんにもわかってもらえると、みんなで藁でベッドを作り、バーサは食べるものをはこびました。

 スイートピーさんや奥さんが納屋にやってくるときは、すばやくクロッカスを、干し草の中にかくしました。

 ところが、おくさんが納屋にリンゴをとりにきたとき、クロッカスは見つかってしまいます。

 「ワ、ワ、ワニ!」奥さんは、金切り声をあげると一目散にかけだし、すぐにスイートピーさんに報告。スイートピーさんも納屋へと急ぎます。

 その前に、イヌのココがみつけた納屋の下の板をはずして、クロッカスをかくします。

 なんとか、その場をすごしますが、クロッカスは奥さんを驚かしたことにさびしくなりました。

 しかし、バーサから奥さんが花が好きなことをきいて、大好きという気持ちを伝えるため、夜明け前に野の草と真っ白いひなぎくの花束をつくってポーチの小さなテーブルにそっとおいておきます。

 テーブルの花束をみて、奥さんはおおよろこび。でも誰かわかりません。

 クロッカスは、それからも しだにとりまぜて むらさきいろの花束、きいろい花束、紫色の花束を小さなテーブルにはこびます。。

 奥さんは、毎日花束とのであいが たのしみになります。でも、だれが?

 次の日、まだ暗いうちからポーチのどあにかくれて ようすをうかがっていました。

 花束がワニのものだと知った奥さんは、「なんて こころやさしいワニ くんだろう」と花束のお礼を いいました。

 それからは花壇の手入れは、奥さん、クロッカス、バーサのしごとになりました。

 

 やさしい動物やお花もたくさん出てきて、とても楽しそうな一家でした。

 クロッカス、スイートピーはいずれも花の名前。

 後半の展開をみると、名前が花の名前だったことに、うまく結びついていました。

 落ち着いた色合いの絵も趣があって素敵でした。