いやといったピエロ/ミーシャ・ダムジャン・作 ヨゼフ・ウイルコン・絵 いずみ千穂子・訳/セーラー出版/1988年初版
あるサーカス団で、こっそりサーカスを後にしたのは、サーカスのへんてこなピエロのペトロニウスと ごうじょっぱりのロバ、ポニーのフエルデイナンド、キリンのルイーゼ、ライオンのグスタフ、そしてイヌのオットーでした。
それぞれに理由がありました。
ピエロはがやりたいのは、みんなにお話をすること。ロバも本当はごうじょうっぱりではありませんでした。ポニーは、おしえこまれた芸だけをやっているのがいやでした。
キリンのルイーズは首を見せてお金儲けにつかわれるのがいやでした。ライオンのグスタフは、いつかふるさとのアフリカへかえりたいと思っていました。そしてイヌのオットーは首のくさりがきらいでした。
逃げ出した動物たちが、森の中で「いよいよ ぼくたちは 自由だ」「すばらしい 人生が はじまるぞ」「苦労も いろいろ あるだろうがな」「芸術家に 苦労は つきものよ」と話し合います。
ピエロの提案で、みんなは自分たちの手による自由なサーカスを作ることにしました。
仕事をし、テントとトランペットを買い入れて、かれらがつくったのは、「こどもとゆめみるひとのサーカス」でした。
なんとも愛らしい動物たちで、夢をかなえた先には、どんなことがまっていたでしょうか。
いわれたとおりにするだけで、やりたいことができないことに疑問を持つ。疑問をもつことまでは だれでもできそうですが、その先を切り開くのは、難しい。しかし、その一歩を踏み出したのは、仲間の存在でした。