ドーナツのあなのはなし/パット・ミラー・文 ヴィンセント・X・キルシュ・絵 金原瑞人・訳廣済堂あかつき/2019年
ドーナツの話らしく、文、絵とも円形のなかです。
諸説あるようですが、1847年、アイヴァンホー号のコック助手だった16歳のハンソン・グレゴリーが、パン生地をラードで揚げた朝食が、どうしても中の方が、生のままなので、食べると胃の中に大砲のたまがおちたようで、水夫たちが”おもり”とよんでいたのに、缶のまるいふたをつかって、”おもり”の、まんなかに、まるいあなをあけたのが最初と紹介しています。
ただグレゴリーは、36歳の時、船の仕事をやめ、鉱山技師として働いています。帆船が蒸気船に追い抜かれたのが理由でした。
1941年、ドーナツを発明したのは、わたしの祖母だと主張する人があらわれ、グレゴリーの従妹の息子とニューヨークで「大ドーナツ論争」がおこなわれ、グレゴリーの主張が正しいと判断されました。
1948年グレゴリーは、「ドーナツのあなの発明者」として、アメリカ、パン協会から功績をたたえられます。
どうでもよさそうですが、一番最初に発明したという栄誉は、ゆずれないのかも。
もうひとつ興味ぶかいのは、第一次大戦中、救世軍のヘレン・バヴィアンズとほかの女性たちが、戦場の近くでドーナツをつくって兵士たちにくばったのを記念して、1938年に6月の最初の金曜日が「ドーナツの日」になったということ。
1847年というのは第一次世界大戦よりだいぶ前ですから、やはりグレゴリーさんが、最初だったのかも。