どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

やまのバス

2019年08月30日 | 絵本(日本)

    やまのバス/文・内田鱗太郎 絵・村田エミコ/佼成出版社/2009年 

 

 病院帰りのおばあさんたったひとりのバスが、終点につくと、運転手の山田さんは、峠から山の村をながめていました。山田さんが25年間かよいつづけた道でした。

 それも今日で最後。バスは廃線になります。

 山田さんは、なみだで かすんでいく 山に、ふとつぶやいていました「だれでもいいから、のってくれたら、 バスは なくならないのになぁ」

 つぶやきは、風にのってクヌギの森や、湖のほとりまで運ばれていきます。

 「だれでもいいから・・・ だれでもいいから・・・」

 すると、めったに 人のいない、バス停に イノシシの親子が たっていました。

 はじめはびっくりした山田さんですが「お客は だれでもいいんでしょう」といわれ、次の停留所でクマ、キツネの親子も のせます。

 イノシシのお代はヤマイモ、クマのお代は、ニジマスとミツバチの巣、キツネのお代は、柿とクリ。

 まちのてまえ停留所で動物たちは、山田さんをみおくります。

 山の幸をみたバス会社の社長さん、市長さんはバスツアーを企画し おくやまいきのバスは今日も走っています。

 モノトーンの木版画ですが、柿、栗、キノコ、ヤマイモ、ニジマスには、色がついています。

 紅葉やバス乗客のほっぺの色合いが、楽しそうです。

 それにしても山道に手すりがゆれるレトロなバスです。

 ラストが甘いようにも思いますが、経済性ばかり追求される世の中、まだまだ残していきたいものがたくさんあります。