足ふきの上にすわったネコ/しずくの首飾り/ジョーン・エイキン・作 猪熊葉子・訳/岩波少年文庫/2019年
昔話では、おばあさん、おじいさんなどが突然あらわれ、主人公を手助けしてくれるのですが、女の子エマに赤、青、ねずみ色の服と子ネコのサムをくれたのは。妖精のおばあさん。
エマがどんどん大きくなって、服がみんな小さくなったとき、一緒に住んでいるルウおばさんは貧乏でエマに服ををかってやることができず、服をぬいで洗ったら、ちぢんで、もうきられなくなってしまうからと、エマと服を一緒に洗い、服を着たままのエマをものほしづなにぶらさげて、かわかしました。
そこへやってきた妖精のおばあさんが、ものほしづなにぶらさがっているエマを見て大笑い。
妖精のおばあさんからたすけおろしてもらったエマが、おばあさんにアップル・パイをあげると、三枚の服と子ネコをもらったのでした。
エマはルウおばあさんと古いバスのなかに、すんでいました。ルウおばあさんは、バスの近くのラクストン・スーバーブ卿の果樹園で、リンゴをもぎ、店におくり出す仕事をしていました。
毎日もらうおかねはたった一円。そしてくさりかけのリンゴだけが、おばあさんの収入でした。
でも、エマはくさりかけのリンゴで、アップル・ソ-ス、アップルケーキ、リンゴのさとうかけをつくりました。
ルウおばあさんが、ねずみ色の服で足ふきをつくり、子ネコが、その足ふきにすわったとき、エマが「大きなミートパイとアイスクリームをルウおばあさんのごはんにほしいわ」というと、その願い事がかなうことにきがつきました。
エマは、絵の具を手に入れ、でラクストン・スーバーブ卿の果樹園の白いへいに、果樹やキツネやリス、ウサギがパンやゼリーをたべているところを描きました。ところが、ラクストン・スーバーブ卿のいかりをかい、すぐにでていくようにいわれてしまいます。
エマとおばあさんがすんでいる古いバスは、ラクストン・スーバーブ卿の果樹園の白いへいのそばにありました。
バスを動かすようにいわれたとき、子ネコが足ふきの上に、とびのっていました。
ラクストン・スーバーブ卿が、おんぼろバスなんか空に吹き飛ばせばいいんだと叫ぶと、バスは雲の上に着陸します。
サムが足ふきにいると食べ物も手にはいります。
サムの足ふきで願いがかなうなら、どこへでもいくことができますが、二人は雲の上で暮らすことにしました。
おんぼろバスで、雲の上で暮らすという作者の発想にびっくりです。
ところで、作者のジョーン・エイキン(1924-2004)は、イギリス国籍の方。12歳になるまでは家でカナダ人の母親に勉強をみてもらっていましたが、幼いころから詩や物語をつくっていたといいます。19歳で結婚、30歳のとき夫が亡くなり、二児をかかえて、本格的に作家の道を歩みはじめたと紹介されていました。