どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

あかい自転車

2019年10月18日 | 絵本(外国)

    あかい自転車 ビッグ・レッドのながい旅/ジュード・イザベラ・文 シモーネ・シン 志多田 静・訳/六耀社/2017年

 

 自動車やガソリンがたかすぎ、荒れた狭い道で便利な自転車を必要とする人々。

 隣の家の芝をかり、落ち葉をかき集め、雪かきをしたお駄賃をこつこつとためて、レオが買ったのは、真っ赤な色をした自転車。ビッグ・レッドと名付けた自転車で学校、スイミング・プール、サッカーの練習にもかよいます。

 そんなレオも大きくなって、新しい自転車に乗りかえなければならない時がおとずれ、レオはビッグ・レッドを自分と同じくらい大事にしてくれる人にあげようと思いました。

 中古自転車を、貧しくても買えない遠い国に集めておくっている団体のことを知って、レオは自転車を寄付することにきめました。

 コンテナにつみこまれたビッグ・レッドは、西アフリカへ。さらにトラックにのせられ、ついたアセリッタという少女のもとへ。

 アセリッタは、これまで自転車にのったことがなく、心配していましたが、やがて自転車は大活躍。トウモロコシの収穫。トウモロコシからつくった飲み物、自分でつくったプラスチックのバッグ、シアの実からつくったバターを市場にはこびます。

 時がたつにしたがってくたびれてきた自転車でしたが、修理されて、救急自転車にうまれかわり遠くの村へ薬をとどけたり、病気になった人を病院につれていきました。

 一台の自転車の行方をおいながら、ものを大事にするという原点を考えさせてくれる絵本です。自転車だと修理する技能の習得も車ほどではなく、設備もそれほど必要ありません。

 自転車が貴重な乗り物だという世界がまだまだ多いということでしょうか。

 タンガニーカ湖でパンを山のようにつんでいる自転車、タンザニアで山のように積まれた材木をはこぶ自転車、ウガンダで大量のバナナを運ぶ自転車の写真が印象的です。

 人びとから寄付された自転車を、必要な国に届ける活動をしているさまざまな非営利団体の情報ものっています。