ゆきとどいた生活/星新一YAセレクション/和田誠・絵/理論社/2008年
生活のすべてが、自動化された未来。
朝になると、音楽がわき、大輪の花弁のような銀色のスピーカーから、目覚ましコール。
マジックハンドのようなものが、テール氏を抱き起し、浴室へ。シャワーも自動。その間に洗濯も。
服もきせてくれ、朝食も自動的にでてくるので、テール氏がやることはない。
会社へは、都市のいたるところにはりめぐらされたパイプをとおって出勤です。
テール氏の乗り物がパイプ道路をとおって、会社につくと、他の社員が「おはよう。テール君。どうしたんだい、ばかに顔色が悪いじゃないか」と、声を掛けます。しかし反応がありません。医者にみせると、「テール氏は前から心臓が弱かったので、その発作を起こしたのです」「いつでしょうか」「そうですね。死後、約十時間ですから、昨晩というところでしょう」。
未来も会社に出勤するというのがあるのでしょうか。やはり、出勤しないと死んだのがわからないので、これからも会社に通う必要がありか?
途中まで、おお便利な生活と感心していると、オチで背筋が寒くなります。