どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

お百姓トロメと悪魔・・フランス

2019年10月19日 | 昔話(ヨーロッパ)

        なぞとき名人のお姫さま/フランスの昔話/山口智子:編・訳/福音館書店/1995年初版

 

 悪魔がほしがったのはトロメというお百姓の長男の魂。ただひきかえにりっぱな百姓家、小麦や干し草のつまった大きな納屋をいくつも、畑仕事むきの牛や馬もほしいだけやろうというもの。

 トロメは災難続きで、不作が続き、牛や馬が病気で次々に倒れ、その上おかみさんや子どもたちまで病気になって、にっちもさっちもいかなくなっていたのです。おもわず「こんなおれを助けてくれるのは、悪魔だけだろうな!」とさけんだのです。

 トロメは小さなみどりの悪魔に、オンドリが夜明けの歌をうたうちょうどそのとき、すっかりできていればと条件をだします。

 契約書に血のサインをし、家に帰ってみれば、小さな悪魔たちがすでに仕事をしていました。

 トロメはおくさんが、悪魔をたぶらかすようにできると思っていたのです。

 おかみさんは「自分の息子の魂を悪魔にわたすなんて、それじゃ、あんたも悪魔だよ」といいながらも、目をつけたのは五時までには、仕事をすませなければということ。とてもシンプルに、オンドリをつっついて、五時前に鳴かせると悪魔は逃げ出してしまいます。

 悪魔といっても、かぞえきれないほどの小さな悪魔です。イラストの悪魔は、とてもかわいく描かれています。 


みんなそれぞれ きのいいなかま

2019年10月19日 | 五味太郎

    みんなそれぞれ きのいいなかま/五味太郎/絵本館/1994年

 

 手のひらサイズの絵本で、一ページ一ページ独立していて 思わずニヤリです。

 家の中にある、ミルク入れ、電話(固定電話)、テレビ、テーブル、いす、タンス、時計、カバンなど、身近なものがでてきて なにやら やりとりです。

 「なんだかよくわからないけれど とにかく おこりっぽい とうがらし団」「会議ばかりやっているのに なんにも決まらないきゅうり会社の社員」「けっこう あちこち旅をしているのに いっこうに賢くならない 旅行カバン氏」というのは、人に対する皮肉?

 食べ物のメニューをとめている画鋲は、「いつも力をあわせてくらしている兄弟」で、葛飾北斎の絵は「北斎先生を目標に 今日も練習にあけくれる波の若者」とサーファーと重ねています。

 おっと とおもう視点がいっぱいです。

 そして最後は、皿の上の骨だらけの魚が 「ではみなさん ぼくはこれで 失礼しますごきげんよう と ていねいにあいさつするホネ氏」です。