なぞとき名人のお姫さま/フランスの昔話/山口智子:編・訳/福音館書店/1995年初版
悪魔がほしがったのはトロメというお百姓の長男の魂。ただひきかえにりっぱな百姓家、小麦や干し草のつまった大きな納屋をいくつも、畑仕事むきの牛や馬もほしいだけやろうというもの。
トロメは災難続きで、不作が続き、牛や馬が病気で次々に倒れ、その上おかみさんや子どもたちまで病気になって、にっちもさっちもいかなくなっていたのです。おもわず「こんなおれを助けてくれるのは、悪魔だけだろうな!」とさけんだのです。
トロメは小さなみどりの悪魔に、オンドリが夜明けの歌をうたうちょうどそのとき、すっかりできていればと条件をだします。
契約書に血のサインをし、家に帰ってみれば、小さな悪魔たちがすでに仕事をしていました。
トロメはおくさんが、悪魔をたぶらかすようにできると思っていたのです。
おかみさんは「自分の息子の魂を悪魔にわたすなんて、それじゃ、あんたも悪魔だよ」といいながらも、目をつけたのは五時までには、仕事をすませなければということ。とてもシンプルに、オンドリをつっついて、五時前に鳴かせると悪魔は逃げ出してしまいます。
悪魔といっても、かぞえきれないほどの小さな悪魔です。イラストの悪魔は、とてもかわいく描かれています。